解説

保育所の公定価格の年度版比較(条件のそろえ方)

保育所の公定価格改定を確認するときは、前年度版と現行版の別表を同じ施設条件で照合します。年度を混ぜず、現行の保育所版試算の対象範囲を見分ける順序を説明します。

前年度版と現行版の単価表の区別

公定価格の公式掲載ページには、年度ごとの告示と、施設類型ごとの別表が掲載されています。改定を確認するときは、前年度版と現行版の行や金額を同じ表へ継ぎ足さず、それぞれの資料版として確認します。

改定差分は、前年度版と現行版を分け、同じ条件をそろえてから比較します。

公開日だけで資料版を選ばない

年度途中の掲載や改正がある場合、資料を見つけた日付だけでは、どの年度・予算枠の数値かを確定できません。前年度の補正と現行年度の当初を同じ比較列に置くと、改定差分を取り違えます。

告示名、対象年度、予算枠、適用期間、確認日を資料ごとに記録してから比較する。

処遇改善等加算の加算率と、令和7年度から令和8年度への要件の違いは、『処遇改善等加算の加算率はどこで決まるか』の年度差の表で確認できます。基本分単価を令和6年度と並べて見たいときは、『令和6年度と令和8年度の基本分単価の比較』で定員区分が一致する区分を確認できます。

現行年度の改定論点は、資料版と対象範囲を分けて確認する

現行年度の見直し資料には、保育士・幼稚園教諭等の処遇改善と、小規模な定員帯の保育所等における調理体制の充実が記載されています。いずれも改定資料で確認できる論点ですが、園ごとの単価や適用可否を、この説明だけから決めることはできません。

改定の名称だけで金額を読み替えず、現行年度の別表・対象範囲・認定済み条件を順に確認します。令和7年度との項目ごとの違いは令和7年度と令和8年度の見直し事項の比較、手元の通知と試算がずれたときの確認順は試算が委託費通知とずれたときの確認順で整理しています。

処遇改善の率や調理体制の対象定員帯は、改定資料の数値です。この記事では転記せず、資料版と確認日を示した一次資料一覧で確認します。

令和8年度の見直し事項のうち、人件費・減算・加算にかかわる3点

こども家庭庁の『令和8年度公定価格・基準等の見直し事項』(確認日 2026-10-08)は、保育人材の確保・テクノロジーの活用の項目の見直しのうち、人件費・減算・加算にかかわる次の3点を取り上げます。

いずれも園ごとの単価や適用可否を決める資料ではなく、制度の見直しの方向を知るための整理です。

令和8年度の見直し事項(保育人材の確保・テクノロジーの活用)
見直し事項資料の記載読むときの注意
保育士・幼稚園教諭等の処遇改善令和7年の人事院勧告を踏まえた+5.3%。公定価格上の人件費について、令和7年度補正予算で措置した+5.3%の改善を引き続き確保する5.3%は公定価格上の人件費部分の改善率で、単価全体が5.3%上がるという意味ではありません
経営情報等の報告を行っていない場合の減算の創設報告が義務化されたことに伴い、報告をしていない施設・事業所の基本分単価を減算する。令和8年7月から適用減算の対象は、報告期限から3か月以上経過した場合などに限られます。詳しい条件は別の解説で確認してください
保育ICT推進加算の創設ICT活用の責任者を置き、業務でのICT活用などをすべて行う施設・事業所に、ICT活用に係る費用を加算する活用の具体的な内容は令和8年度中早期に示す予定とされています。要件の全体は別の解説で確認してください

経営情報の報告と減算の条件は『経営情報を報告していないと減算になるか』、保育ICT推進加算の確認項目は『保育ICT推進加算の確認項目』で扱っています。

5.3%などの率は、資料に書かれた数値を紹介するものです。この記事の比較表や試算ツールの計算には使いません。個別の園の人件費や加算額への反映は、現行年度の別表と認定済みの条件で確認してください。

年度途中に改定される場合があることも確認する

公定価格の算定基準を定める告示は、年度当初(4月)の改正だけでなく、年度の途中に改正される場合があります。直近の令和6年度・令和7年度は、いずれも12月に告示の別表が改正されています。年度途中の改正は、公布の日から施行したうえで、当該年度の費用の額の算定について適用する形がとられています。

年度当初に確認した内容のまま、年度末まで固定されているとは限らない

年度途中の告示改正は、改正のたびに発出され、内容は年度により異なります(加算の新設など、必ずしも人件費の見直しとは限りません)。4月時点で確認した資料だけで、その年度の内容が確定していると判断しないことが必要です。

こども家庭庁の公定価格関連ページ(告示一覧)で改正の有無を定期的に確認し、所轄自治体からの通知もあわせて確認する。

この記事は、年度途中に改定される場合があることと確認先を示すもので、改正の有無・内容・適用時期を個別に判定するものではありません。最新の適用内容は、こども家庭庁のホームページと所轄自治体への確認から把握してください。

令和9年度の概算要求は、決定ではなく要求の段階

こども家庭庁の令和9年度予算概算要求(令和8年8月31日公表)のポイント資料には、0〜2歳を含む幼児教育・保育の支援について「予算編成過程で検討」と書かれています。2026年10月15日に資料のポイントと概要を確認した範囲では、公定価格の単価や処遇改善、配置基準の見直しを求める記載は見つかりませんでした(公定価格の記載は、給付事務のシステム改修の中で令和9年度の公定価格に対応する旨にとどまります)。

概算要求は各省庁の要求であり、決定ではありません。令和9年度の改定の有無と内容は、12月の予算案以降の公表で確認します。

確認した資料は、こども家庭庁「令和9年度予算概算要求のポイント」と「同 概要(事業別の資料集)」です。確認日は2026年10月15日で、改定の見通しを示すものではありません。確認予定は公定価格の決まり方とあわせて、更新履歴の「次に見直す予定の日」に載せています。

人事院勧告に伴う増額改定の差額分は、全額を賃金の改善に充てる

公定価格のうち、施設長・主任保育士・保育士・調理員など基本分単価の対象となる常勤職員の人件費は、国家公務員の給与に準じて算定されています。人事院勧告で国家公務員の給与が増額されると、補正予算で改定内容を反映し、その年度の4月にさかのぼって公定価格が引き上げられます(年度によっては引き下がる場合もあります)。

この単価改定による差額分は、処遇改善等加算の通知で、その全額を職員の賃金の改善(法定福利費等の事業主負担分を含む)に充てるものと定められています。

基本分単価の金額は、地域区分・利用定員区分・年齢区分・保育必要量区分ごとの単価表で確認できます。

令和8年度の基本分単価一覧を開く
増額改定の差額分の扱い(処遇改善等加算の通知・こども家庭庁の説明資料)
確認する点通知・説明資料の記載
対象になる差額当初予算の単価から補正後の単価への増額分。支払っている給与に増額割合を掛けた額ではない
使いみち全額を職員の賃金の改善(法定福利費等の事業主負担分を含む)に充てる。処遇改善等加算による賃金改善の前提として求められる
支払う職員予算上は基本分単価の対象職種だが、各園・法人の給与規程に基づき全職員が対象になり得る。通常の教育・保育以外の事業にのみ従事する職員は対象外
算定方法原則は単価が変わる項目の差額を年間で合計する。算式1〜4による簡便な方法も選べ、どちらの額を使うかは施設・事業所が判断する
支払い時期遡って引き上げる目的の補正予算で措置されたものであり、一時金等による迅速な支払いが求められる
自治体からの通知市町村長は、加算当年度内に人件費の改定があった場合、その影響額を設置者・事業者へ速やかに通知する

差額分を、次年度の給与表の見直しと切り離さない

通知は、増額改定を加味した次年度以降の給与表・給与規程の改定にも計画的に取り組むよう要請することを定めています。説明資料では、補正後の人件費部分は基本的に翌年度の単価にも反映される見込みとされています。

差額分を一時金で支払うだけで終えず、翌年度の給与規程の改定予定も記録する。

この表は通知(令和8年4月8日最終改正)と、こども家庭庁の説明資料(令和7年10月6日掲載)の記載をまとめたものです。差額の具体的な額や、自園の算定方法の選び方は、所轄自治体からの通知で確認してください。この試算ツールは差額分の使途を計算しません。

改定のたびに見る一覧:令和8年度に新設・変更された加算と減算

令和8年度の見直しで新設・変更された加算・減算と、確認する記事(出典:令和8年度公定価格・基準等の見直し事項)
項目令和8年度の扱い確認する記事
特別地域保育体制確保対応加算創設特別地域保育体制確保対応加算の記事
保育ICT推進加算創設保育ICT推進加算の確認の記事
療育支援加算・専門職の保育士みなし特例障害児保育充実のための専門職の活用等として見直し・特例を創設療育支援加算の専門職の記事、保育士みなし特例の記事
安全計画の策定等を行っていない場合の減算創設(令和8年7月から)安全計画の減算の記事
経営情報等の報告を行っていない場合の減算創設(令和8年7月から)経営情報の未報告の減算の記事
3歳児の年齢別配置基準の経過措置期間を令和9年度末(令和10年3月31日)までとする年齢別配置基準の記事
処遇改善(保育士・幼稚園教諭等)令和7年人事院勧告を踏まえ+5.3%処遇改善等加算の記事

表は、見直し事項の資料に挙がっている項目のうち、加算と減算の記事がある範囲だけを抜き出したものです。資料に挙がっていない項目が、制度として無いという意味ではありません。項目の全体と令和7年度との違いは令和7年度と令和8年度の見直し事項の比較で確認できます。

次に知りたいこと

・金額そのものを探すとき:令和8年度の単価表の探し方の記事と、基本分の公定価格の決まり方の記事

・加算の種類を一覧で見たいとき:加算の確認先の分類の記事

・手元の通知と試算がずれたとき:試算が委託費通知とずれたときの確認順

比較する条件を固定する

年度版を照合するときにそろえる条件
そろえる条件分けて記録する条件
施設類型と認定区分前年度版・現行版の資料名と版
施設所在地と地域区分各年度に対応する別表
利用定員、年齢区分、保育必要量各年度の加算・減算の掲載状況

所在地、利用定員、年齢区分、保育必要量が違えば、表の参照先も変わります。年度だけを変えた比較にしたい場合は、これらの条件を先に固定し、差分の理由を分けて読みます。

年度差分を見る前に、比較対象の施設条件が同じかを確認します。

現行ツールの結果は、現行版の保育所条件として読む

  1. 現行版の内訳を保存する

    試算に使った所在地、利用定員、年齢別在籍数、選択した加算・減算と、結果に表示される資料版を一組で残します。

  2. 過去年の金額を推測で差し替えない

    前年度の別表を確認していない段階で、現行版の単価だけを置き換えて差額を作りません。加算・減算の扱いも資料版ごとに確認します。

  3. 対象外を別に確認する

    現行ツールの結果は、過去年との比較額や個別の給付額を示すものではありません。過去年の比較は、対応する一次資料で別に照合します。

このサイトは現行の私立保育所の基本分を対象にしたモデルです。年度をまたぐ差額、個別の請求額、改定の適用可否は計算・判定しません。

改定のたびに見直す項目の順番と、確認する記事

年度更新・年度途中の改定で見直す項目と、確認する記事
順番見直す項目確認する記事
1対象年度と、前年度との違い令和7年度と令和8年度の見直し事項の比較
2新設・変更された加算と減算上の「令和8年度に新設・変更された加算と減算」の表
3年度途中の人件費改定と、差額の扱い公定価格の人件費改定(年度途中)の仕組みと差額の扱い
4年次の申請・報告の時期と提出先加算の年次申請・年次報告の時期と提出先一覧
5試算と委託費通知がずれたとき試算が委託費通知とずれたときの確認順

順番は、確認の手戻りを減らすためのこの記事での整理で、制度が定める順序ではありません。個別の単価や適用可否は、この表だけから決めず、各記事と現行の別表・通知で確認してください。

改定内容は、確認する順序を決めてから読む

改定の概要を見たら、最初に何を確認しますか。

対象年度と資料版を先に確認します。そのうえで、自園の施設類型・所在地・利用定員が、見直し資料と現行別表のどちらの範囲に入るかを分けて確認します。

処遇改善の記載があれば、試算額へそのまま足せますか。

足せません。処遇改善等加算は認定済みの条件と現行別表を確認してから扱い、改定概要の記述だけで個別額を決めません。

調理体制の見直しは、すべての保育所に同じように反映されますか。

一律には扱いません。対象となる施設条件と現行別表の扱いを確認し、この試算で未接続の条件は所轄の案内と一次資料へ戻って確認します。

現行の保育所条件を確認する

  1. 比較条件を整理する

    施設類型、所在地、利用定員、年齢区分、保育必要量を、年度版をまたいで比較できる形に整理します。

  2. 現行の保育所条件を試算する

    現行の所在地、利用定員、年齢別在籍数と、実装済みの加算・減算を入力します。

  3. 前年度版は別表で照合する

    前年度版の比較は、現行の結果を読み替えず、対応する告示・別表と適用期間を確認してから行います。

所在地・利用定員・年齢別在籍数を入力し、現行の保育所版としての内訳と、資料版・確認日を確認できます。

現行の保育所条件を試算する

この記事は、年度別の資料を混同しないための確認手順です。個別の給付額、改定の適用可否、請求額は判断しません。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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