解説

保育所の公定価格は何で決まるか

認可保育所の公定価格は、施設の所在地・利用定員・園児の年齢・保育必要量の4つで基本の額が決まり、そこに加算と減算が乗ります。告示と通知のどこにその決まりがあるかまで示します。

基本分単価の内訳は、4つの条件で決まる

公定価格を「園に対して決まる金額」と考えると、計算の形が見えなくなります。

実際は園児ひとりごとに単価が決まり、それを人数分だけ足し上げたものが施設の額です。

そのため、定員が同じ園でも、在籍する園児の年齢構成が違えば額は変わります。

ここで扱う公定価格は施設側の額で、保護者が支払う保育料(利用者負担額)とは別です。保育料の金額や減免は、この試算では扱いません。

この「園児ひとりごとの単価」が、告示の別表に載っている基本分単価です。

基本分単価の内訳は、地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4つの条件です。試算ではこの4条件と年齢別の人数を入力し、結果の年齢・保育必要量ごとの行で内訳を確認します。

  1. 施設の所在地(地域区分)

    地域ごとの人件費の差を反映する区分です。園児の住んでいる場所ではなく、施設のある場所で決まります。

  2. 利用定員(定員区分)

    定員が小さいほど園児ひとりあたりの単価は高く、大きいほど低くなります。規模による効率の差を単価で調整する仕組みです。

  3. 園児の年齢(年齢区分)

    配置基準が手厚い年齢ほど単価が高くなります。区分は乳児・1、2歳児・3歳児・4歳以上児の4つです。

  4. 保育必要量

    保育標準時間の認定か、保育短時間の認定かで分かれます。開所時間や実際の利用時間ではなく、認定の区分で判断します。

地域区分は施設の所在地で決まる

地域区分は全国共通の対応表で決まっており、表に載っていない市町村は「その他」の区分になります。

判定に使うのは施設の所在地であって、園児の居住地ではありません。市外から通う園児がいても区分は変わりません。

対応表は公定価格に関するFAQの別添として公表されています。表題に過去の年度が入っていても、現行版のFAQに収録されているものが今の対応表です。

定員区分は「認可定員」ではなく「利用定員」で見る

定員区分は、市町村の確認で設定された利用定員で判定します。

認可定員と利用定員が違う園では、認可定員のほうを使うと定員区分がずれ、園児全員分の単価が丸ごと変わります

分園がある園は、本園と分園を別々に見る

本園と分園は、それぞれの利用定員に応じた区分で算定します。合算した定員で1つの区分を引くのではありません。

本園と分園で園児数を分けて把握し、区分もそれぞれ引く。合算した定員を使う加算もあるため、加算まで含める場合は項目ごとに確認する。

年齢区分は「年度年齢」で決まり、年度の途中で変わらない

ここが実務でもっとも誤解されやすいところです。

公定価格の年齢区分そのものは各月初日の満年齢で見ますが、年度の初日の前日の満年齢が一つ下の区分にあたる園児には、告示の注書きによって一つ下の区分の単価が適用されます

結果として、年度の途中で誕生日を迎えても単価は変わりません。

年度の初日の前日時点の満年齢(年度年齢)で数えれば、その園児の単価は年度を通して一定になります。

年度年齢と、適用される単価の年齢区分
年度年齢適用される単価の区分年度の途中で誕生日が来たら
0歳(乳児)乳児変わらない
1歳1、2歳児変わらない
2歳1、2歳児変わらない
3歳3歳児変わらない
4歳4歳以上児変わらない
5歳4歳以上児変わらない

年度の途中で生まれた園児は乳児に含めて数えます。

この扱いは加算の対象を決めるときにも効いてきます。年度年齢が2歳の園児には3歳児向けの加算が付かない、といった形です。

基本分単価に加算と減算が乗って、その月の単価になる

基本分単価は出発点にすぎません。

実際の単価は、基本分単価に加算を足し、当てはまる減算を引いた額です。告示の別表では、加算と減算あわせて27の項目が並びます。

  1. 基本分単価を引く

    地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4つで1つに決まります。

  2. 加算を足す

    処遇改善等加算のように多くの園に共通するものから、休日保育や夜間保育のように実施している園だけのものまであります。加算の多くは定額ではなく、園ごとに市町村が認定した加算率を使う計算式です。

  3. 減算を引く

    施設長を配置していない場合や、土曜日に閉所している場合などが該当します。減算には、基本分単価と加算の合計に率を掛けるものと、定額を引くものがあります。

  4. 園児数を掛けて足し上げる

    年齢区分と保育必要量ごとに単価と人数を掛け、本園と分園それぞれで合計します。

加算の額を「表から探す」つもりでいると詰まる

多くの加算は金額の表ではなく、「基礎額 + 係数 ×(園ごとの加算率 + 告示が定める率)」という計算式で書かれています。園ごとの加算率は市町村が認定するもので、告示を読むだけでは金額が出ません。

市町村から通知されている処遇改善等加算の加算率を手元に用意してから計算に入る。

私立と公立で根拠が違う

ここまでの説明は私立保育所を前提にしています。

公立保育所の公定価格は、告示の別表ではなく都道府県または市町村が定めます。同じ地域・同じ定員でも、算定の根拠そのものが別です。

よくある質問

基本分単価の内訳は何で決まりますか。

地域区分・利用定員の区分・園児の年齢区分・保育必要量の4つです。同じ施設でも、年齢別の在籍数や保育必要量の内訳が変われば、合計額も変わります。試算結果では年齢・保育必要量ごとの行で確認できます。

月の途中で入園・退園した園児はどう扱いますか。

保育認定の園児については、開所日数をもとに日割りする扱いが通知で定められています。

月初の在籍状況だけで計算すると、その分がずれます

定員を超えて受け入れている場合はどうなりますか。

一定の状態が続いている施設には、公定価格の合計に調整率を掛ける減算があります。適用の判定には過去2年度の状況が必要です。

地域区分の表に自分の市町村が見当たりません。

表に載っていない市町村は「その他」の区分として扱います。載っていないこと自体は異常ではありません。

上乗せの補助がある自治体では、その分も公定価格に含まれますか。

含まれません。自治体独自の上乗せや横出しは、全国共通の公定価格とは別枠です。金額や要件は所在地の自治体に確認してください。

自園の条件で試算する

所在地・利用定員・年度年齢別の園児数を入れると、基本分単価と実装済みの加算・減算から月額を計算します。

結果の年齢・保育必要量ごとの行で基本分単価の内訳を確認し、使った告示と通知、年度と予算枠、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目も確認します。

公定価格の試算を開く

この記事も試算も、告示・通知の本文を確認した範囲だけを扱います。個別の適用可否や申請の判断は、所在地の市町村へ確認してください。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説