解説

公定価格とは・決まり方:保育所の計算方法と基本分単価の内訳

保育園の公定価格の決まり方を解説。公定価格とは、特定教育・保育等に要する費用の額で、保護者の保育料とは別の施設側の総額です。基本分単価の内訳は地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4つで決まります。計算は基本分単価・加算・減算・園児数の4手順で、試算画面の入力欄も確認できます(子ども・子育て支援法第27条第3項)。

公定価格とは(通知の定義・法第27条第3項・保護者の保育料との違い)

保育園の公定価格とは、特定教育・保育等に要する費用の額のことです。「保育園」は日常の呼び名で、制度上は保育所や認定こども園、小規模保育などの地域型保育に当たります(子ども・子育て支援法第7条)。給付の仕組みは、確認を受けた認定こども園等が施設型給付費(第27条)、小規模保育などが地域型保育給付費(第29条)、私立保育所は委託費(附則第6条)と分かれます。

この記事と試算は保育所を対象にしています。

「特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について」(こども家庭庁の通知)の第1が「特定教育・保育等に要する費用の額(以下「公定価格」という。)」と定義し、算定の基準は内閣総理大臣(こども家庭庁)の告示に定めるとしています。

法律の根拠は子ども・子育て支援法第27条第3項第1号です。教育・保育の区分、保育必要量、施設の所在する地域等を勘案して、通常要する費用の額をもとに内閣総理大臣が定める基準で算定した額、と書かれています。

保護者の保育料との違いは、同じ第27条第3項の構造で分かります。

施設型給付費の額は、第1号の額(公定価格で算定した費用の額)から、第2号の額(世帯の所得の状況などを勘案して市町村が定める額、つまり保護者の利用者負担)を引いたものです。公定価格は施設に入る費用の総額、保育料はそのうち保護者が負担する部分で、別の金額です。

私立保育所は、支払いの名前が変わります。

子ども・子育て支援法附則第6条は、都道府県と市町村以外の者が設置する保育所について、当分の間、第27条の施設型給付費ではなく市町村から保育所へ委託費として支払うと定めています。委託費の額は公定価格の基準で算定した費用の額に相当する額で、保護者からの費用の徴収は市町村が行います。

以下の4手順は、この公定価格を園の条件から組み立てる方法です。

基本分単価の内訳は、4つの条件で決まる

公定価格を「園に対して決まる金額」と考えると、計算の形が見えなくなります。

実際は園児ひとりごとに単価が決まり、それを人数分だけ足し上げたものが施設の額です。

そのため、定員が同じ園でも、在籍する園児の年齢構成が違えば額は変わります。

2号・3号の認定区分と年齢区分の対応は認定区分(2号・3号)と年齢区分の対応で説明しています。

ここで扱う公定価格は施設側の額で、保護者が支払う保育料(利用者負担額)とは別です。保育料の金額や減免は、この試算では扱いません。無償化との関係は幼児教育・保育の無償化と公定価格算定の関係で説明しています。

離島などで行われる「特例保育」の給付は、認可保育所の公定価格とは別の条文で定められています。違いは特例保育と特例地域型保育給付費で整理しています。

この「園児ひとりごとの単価」が、告示の別表に載っている基本分単価です。

基本分単価の内訳は、地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4つの条件です。試算ではこの4条件と年齢別の人数を入力し、結果の年齢・保育必要量ごとの行で内訳を確認します。

  1. 施設の所在地(地域区分)

    地域ごとの人件費の差を反映する区分です。園児の住んでいる場所ではなく、施設のある場所で決まります。

  2. 利用定員(定員区分)

    定員が小さいほど園児ひとりあたりの単価は高く、大きいほど低くなります。規模による効率の差を単価で調整する仕組みです。

  3. 園児の年齢(年齢区分)

    配置基準が手厚い年齢ほど単価が高くなります。区分は乳児・1、2歳児・3歳児・4歳以上児の4つです。

  4. 保育必要量

    保育標準時間の認定か、保育短時間の認定かで分かれます。開所時間や実際の利用時間ではなく、認定の区分で判断します。

単価の数字そのものは、地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量ごとの単価表で確認できます。出典の告示別表と確認日も、そのページに載せています。

令和8年度の基本分単価表を見る

地域区分は施設の所在地で決まる

地域区分は全国共通の対応表で決まっており、表に載っていない市町村は「その他」の区分になります。

判定に使うのは施設の所在地であって、園児の居住地ではありません。市外から通う園児がいても区分は変わりません。

対応表は公定価格に関するFAQの別添として公表されています。表題に過去の年度が入っていても、現行版のFAQに収録されているものが今の対応表です。

地域区分8区分の基本分単価(定員20人・乳児・保育標準時間の例)
地域区分基本分の単価
20/100332,430円
16/100322,970円
15/100320,600円
12/100313,500円
10/100308,770円
6/100299,300円
3/100292,200円
other285,100円

表示条件: 利用定員 20人、乳児、保育標準時間。令和8年度の検証済み基本分データから表示。

地域区分が変わると単価の水準も変わりますが、地域だけでなく定員区分・年齢区分・保育必要量によっても額は変わります。自分の市町村がどの区分に当たるかは『地域区分の表にない市町村は「その他」として試算する』で確認できます。

定員区分は「認可定員」ではなく「利用定員」で見る

定員区分は、市町村の確認で設定された利用定員で判定します。

認可定員と利用定員が違う園では、認可定員のほうを使うと定員区分がずれ、園児全員分の単価が丸ごと変わります。

分園がある園は、定員区分と在籍数を混ぜない

基本分単価、処遇改善等加算(区分1・2)及び施設長を配置していない場合の定員区分は、本園と分園の利用定員を合計して確認します。一方、園児数は本園・分園ごとに分けて単価へ掛けます。

本園・分園それぞれの確認済み利用定員を合計して定員区分を確かめ、月初の在籍数は施設ごとに入力する。ほかの加算・減算は項目ごとに対象・人数の扱いを確認する。

定員区分ごとの基本分単価(乳児・保育標準時間の例)
利用定員区分基本分の単価
20人332,430円
21-25人309,320円
26-30人292,200円
31-35人279,460円
36-40人271,300円
41-45人272,690円
46-50人264,820円
51-55人259,130円
56-60人254,570円
61-70人247,320円
71-80人241,950円
81-90人237,720円
91-100人229,930円
101-110人227,610円
111-120人225,620円
121-130人223,950円
131-140人222,550円
141-150人221,310円
151-160人221,160円
161-170人220,170円
171+人219,270円

表示条件: 地域区分 20/100、乳児、保育標準時間。令和8年度の検証済み基本分データから表示。

定員区分が変わると単価の水準も変わりますが、必ず一様に下がるわけではありません。実際の額は地域区分・年齢区分・保育必要量によっても変わるため、自園の条件での比較は『利用定員を変更すると、基本分単価はどう変わるか』の試算で確認します。

年齢区分は「年度年齢」で決まり、年度の途中で変わらない

ここが実務でもっとも誤解されやすいところです。

公定価格の年齢区分そのものは各月初日の満年齢で見ますが、年度の初日の前日の満年齢が一つ下の区分にあたる園児には、告示の注書きによって一つ下の区分の単価が適用されます。

結果として、年度の途中で誕生日を迎えても単価は変わりません。

年度の初日の前日時点の満年齢(年度年齢)で数えれば、その園児の単価は年度を通して一定になります。

年度年齢と、適用される単価の年齢区分
年度年齢適用される単価の区分年度の途中で誕生日が来たら
0歳(乳児)乳児変わらない
1歳1、2歳児変わらない
2歳1、2歳児変わらない
3歳3歳児変わらない
4歳4歳以上児変わらない
5歳4歳以上児変わらない

年度の途中で生まれた園児は乳児に含めて数えます。

この扱いは加算の対象を決めるときにも効いてきます。年度年齢が2歳の園児には3歳児向けの加算が付かない、といった形です。

公定価格の計算方法(基本分単価・加算・減算・園児数の4手順)

基本分単価は出発点にすぎません。

実際の単価は、基本分単価に加算を足し、当てはまる減算を引いた額です。告示の別表第2(保育所)には、加算・減算・調整の列が⑦から㉞まで30項目並びます(令和8年度当初の告示。列番号は告示のとおり)。

番号の呼び方と留意事項通知との対応は項目番号(①〜㉞)の見方で説明しています。令和7年度との見直し事項の違いは令和7年度と令和8年度の見直し事項の比較にまとめています。

告示別表第2(保育所)の加算・減算・調整の列一覧(列⑦〜㉞)
告示の列項目種別解説記事
⑦処遇改善等加算(区分1・2)加算加算率の決まり方
⑧3歳児配置改善加算加算対象の年齢
⑨4歳以上児配置改善加算加算上と同じ
⑩1歳児配置改善加算加算上と同じ
⑪休日保育加算加算試算の考え方
⑫夜間保育加算加算対象施設
⑬減価償却費加算加算標準・都市部の区分
⑭賃借料加算加算地域類型と区分
⑮チーム保育推進加算加算追加配置人数
⑯副食費徴収免除加算加算対象児童の確認
⑰分園の場合の調整調整(控除)分園の調整
⑱施設長を配置していない場合減算減算4項目
⑲土曜日に閉所する場合減算上と同じ
⑲a安全計画の策定等をしていない場合減算上と同じ
⑲b経営情報等の報告を行っていない場合減算上と同じ
⑳定員を恒常的に超過する場合減算定員超過の減算
㉑主任保育士専任加算加算月初利用子ども数での試算
㉒療育支援加算加算区分と試算
㉓事務職員雇上費加算加算加算率と試算
㉔処遇改善等加算(区分3)加算人数A・B
㉕冷暖房費加算加算地域区分
㉖除雪費加算加算豪雪地帯の確認
㉗降灰除去費加算加算降灰防除地域の確認
㉘高齢者等活躍促進加算加算年間総雇用時間区分
㉙施設機能強化推進費加算加算防災対策
㉚小学校接続加算加算取組区分
㉛栄養管理加算加算活用形態
㉜第三者評価受審加算加算3月分の試算
㉝特別地域保育体制確保対応加算加算特別地域・定員・認定の要件
㉞保育ICT推進加算加算3月分の確認
  1. 基本分単価を引く

    地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4つで1つに決まります。

  2. 加算を足す

    処遇改善等加算のように多くの園に共通するものから、休日保育や夜間保育のように実施している園だけのものまであります。加算の多くは定額ではなく、園ごとに市町村が認定した加算率を使う計算式です。

  3. 減算を引く

    施設長を配置していない場合や、土曜日に閉所している場合などが該当します。減算には、基本分単価と加算の合計に率を掛けるものと、定額を引くものがあります。

  4. 園児数を掛けて足し上げる

    年齢区分と保育必要量ごとに単価と人数を掛け、本園と分園それぞれで合計します。

基本部分から加算・調整・特定加算までの段階の順序は、公定価格の計算の流れに1枚の表でまとめています。

手順1の地域区分は試算画面の「市区町村」、定員区分は「本園の利用定員」の欄で決まります。

年齢区分と保育必要量は、同じ画面の「本園の月初在籍児童数」の表に、年度年齢と保育必要量ごとの人数を入れて決まります。

手順1の入力欄(市区町村・本園の利用定員・在籍児童数)を開く

加算は試算画面の「受けている加算」の欄で、市町村の認定を受けているものだけを選びます。

処遇改善等加算を選ぶと加算率(a)(b)(園ごとの認定で決まる割合)の入力欄が表示されるので、認定結果の通知にある値を入れます。

手順2の入力欄(受けている加算)を開く

加算の額を「表から探す」つもりでいると詰まる

多くの加算は金額の表ではなく、「基礎額 + 係数 ×(園ごとの加算率 + 告示が定める率)」という計算式で書かれています。園ごとの加算率は市町村が認定するもので、告示を読むだけでは金額が出ません。

市町村から通知されている処遇改善等加算の加算率を手元に用意してから計算に入る。

減算は試算画面の「当てはまる減算」の欄で、施設長を配置していない場合などの当てはまる項目を選びます。

手順4の園児数を掛けた足し上げは試算画面が行い、結果の「計算の内訳」で年齢・保育必要量ごとの行を確認できます。

手順3の入力欄(当てはまる減算)を開く

私立と公立で根拠が違う

ここまでの説明は私立保育所を前提にしています。

公立保育所の公定価格は、告示の別表ではなく都道府県または市町村が定めます。同じ地域・同じ定員でも、算定の根拠そのものが別です。

よくある質問

基本分単価の内訳は何で決まりますか。

地域区分・利用定員の区分・園児の年齢区分・保育必要量の4つです。同じ施設でも、年齢別の在籍数や保育必要量の内訳が変われば、合計額も変わります。試算結果では年齢・保育必要量ごとの行で確認できます。

月の途中で入園・退園した園児はどう扱いますか。

保育認定の園児については、開所日数をもとに日割りする扱いが通知で定められています。

月初の在籍状況だけで計算すると、その分がずれます。

定員を超えて受け入れている場合はどうなりますか。

一定の状態が続いている施設には、公定価格の合計に調整率を掛ける減算があります。適用の判定には過去2年度の状況が必要です。詳しくは『利用定員を恒常的に超えて受け入れると、公定価格はどう減るか』で解説しています。

地域区分の表に自分の市町村が見当たりません。

表に載っていない市町村は「その他」の区分として扱います。載っていないこと自体は異常ではありません。

上乗せの補助がある自治体では、その分も公定価格に含まれますか。

含まれません。自治体独自の上乗せや横出しは、全国共通の公定価格とは別枠で、金額や要件は所在地の自治体に確認してください。実費徴収との違いは『実費徴収・上乗せ徴収は、公定価格の試算に含まれるか』で解説しています。

こども家庭庁が公開している公定価格試算ソフトと、このツールはどう違いますか。

対応年度が異なります。こども家庭庁の公定価格試算ソフト(保育所版)は更新が止まっており、最新版の告示・通知・FAQへは対応していません。

このツールは現行の告示・通知・FAQに基づいて計算しており、実装済みの加算・減算の範囲は結果画面の「この試算に含まれていない項目」で確認できます。ソフトの結果と合わない場合の見方は『国の試算ソフトとの差』で解説しています。

自己試算した公定価格が、実際の受給額と乖離するのはなぜですか。

地域区分の判定誤りです。地域区分は施設の所在地で決まり、園児の住所や法人所在地から推測すると取り違えます。詳しくは『地域区分の表にない市町村は「その他」として試算する』で説明しています。

加算要件の未充足です。多くの加算は施設の状態だけでは自動的に付かず、市町村の認定を受けているかどうかで入力欄を選びます。詳しくは『配置改善加算はどの年齢の園児に付くか』で説明しています。

処遇改善等加算率の算出誤りです。加算率(a)(b)は職員構成から推測せず、認定結果の通知にある値を確認します。詳しくは『処遇改善等加算の加算率はどこで決まるか』で説明しています。

この試算はいずれも入力した条件に基づくモデル計算で、実際の受給額を保証するものではありません。

自園の条件で試算する

所在地・利用定員・年度年齢別の園児数を入れると、基本分単価と実装済みの加算・減算から月額を計算します。

結果の年齢・保育必要量ごとの行で基本分単価の内訳を確認し、使った告示と通知、年度と予算枠、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目も確認します。

公定価格の試算を開く

基本部分から加算・調整・特定加算までの段階の順序を確認できます。

公定価格の計算の流れを1枚の表で確認する

加算を個別に見ていくときは、次の2ページから読めます。

加算を1つずつ見る最初の例として、認定内容と追加配置人数の確認手順を扱います。

チーム保育推進加算の要件と加配人数を確認する

ほぼ全園に関わる加算で、加算率の決まり方を扱います。

処遇改善等加算の加算率はどこで決まるかを確認する

この記事も試算も、告示・通知の本文を確認した範囲だけを扱います。個別の適用可否や申請の判断は、所在地の市町村へ確認してください。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

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ほかの解説

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