解説

利用定員を恒常的に超えて受け入れると、公定価格はどう減るか

利用定員を超えて子どもを受け入れた場合の、公定価格における恒常的な定員超過の減算を解説します。該当性の確認、調整率、試算ツールへの入力方法を整理します。

この記事は制度の一般的な整理です。個々の施設の算定可否や自治体ごとの運用は判断しません。実際の取扱いは、各自治体の窓口と最新の公式資料で確認してください。

自園の条件で金額を確かめるには、利用定員、月初の年齢別在籍数、施設の所在地(市区町村。地域区分が決まります)の3つを用意します。公定価格の試算を開く

試算画面で自園の条件に名前をつけて保存しておくと(このブラウザ内に最大3件。外部へは送りません)、制度が改定されたときに同じ条件で金額を出し直せます。

恒常的な定員超過に対する減算の時期

告示別表第2には、定員を恒常的に超過する場合の調整(列⑳)が定められています。

市町村による確認で設定された利用定員の範囲内での受入れが原則ですが、年度途中の利用希望者増加等で定員を超えて受け入れても、実際の入所児童数に応じて給付が行われます。定員超過そのものが直ちに減算につながるわけではありません。

「定員超過なら即減算」ではなく、「一時的な超過は給付継続、恒常化した超過だけが減算対象」という2段構えです。

恒常的な超過かどうかは、継続状況と年間平均在所率で確認する

恒常的な定員超過への該当性は、月ごとの人数だけで自己判定せず所轄市町村に確認します。公定価格に関するFAQは、過去の継続した超過状況と各年度の年間平均在所率を用いて判断すると定めています。

  1. 継続した状態を確認する

    留意事項通知は、直前の連続する2年度間、常に利用定員を超えていることを求めています。1年度だけの超過は、この要件の対象外です。

  2. 在所率は年間平均で見る

    月ごとの一時的な超過ではなく、年度を通じた平均の在所率で判定します。利用定員、月初の利用子ども数、過去年度の実績をそろえて市町村へ確認します。

留意事項通知(別紙2・保育所)が定める適用の要件
項目通知の定め
連続する年度直前の連続する2年度間、常に利用定員を超えている
年間平均在所率上記の各年度で120%以上
在所率の式当該年度内の各月初日の利用子ども数の総和 ÷ 各月初日の利用定員の総和
適用が外れる場合指導監督等で利用定員の見直しが行われたとき、または地域の需要の動向等から年間平均在所率が120%以上にならないと市町村長が認めたとき。見直し等が行われた日の属する月の翌月(月初日に要件を外れた場合はその月)から調整が無くなる
認定する人施設が所在する市町村長が、施設の利用状況を確認して認定する

二つの条件は両方を満たす必要があります。自園が認定の対象かどうかは、市町村長が施設の利用状況を確認して認定するため、この記事では判定しません。

仮の数字で、在所率の計算から減算の有無までを追ってみます。

以下は説明用に作った架空の園の例で、実在の園や自治体の実績ではありません。利用定員は年間を通じて毎月初日に20人、月初日の利用子ども数は各月とも定員を超えているものとします。年間では、利用定員の総和が20人×12か月で240人、利用子ども数の総和が年度ごとに下表のとおりとします。

仮の数字による年間平均在所率の計算例(架空の園)
年度利用子ども数の総和利用定員の総和年間平均在所率120%以上か
前々年度300人240人300 ÷ 240 = 125%該当
前年度(例A)288人240人288 ÷ 240 = 120%該当
前年度(例B)276人240人276 ÷ 240 = 115%該当しない

例Aは、直前の連続する2年度とも120%以上で、各月も定員を超え続けているため、恒常的な定員超過として市町村長が認定する可能性がある状態です。

例Bは前年度が115%で要件を外れるため、この通知の要件には当たりません。どちらも、実際に減算されるかどうかと調整率は、市町村への確認で決まります。確認済みの率が得られて初めて、前節の手順で試算に入力します。

市町村へ確認するときにそろえる資料(上の通知の要件に対応)
そろえるもの確認する内容対応する通知の定め
直前2年度の各月初日の利用定員年度ごとの利用定員の総和在所率の式の分母
直前2年度の各月初日の利用子ども数毎月、利用定員を超えていたか、年度ごとの総和連続する年度の要件と、在所率の式の分子
年度ごとの年間平均在所率120%以上か年間平均在所率の要件
利用定員の見直しや、需要の動向に関する事情適用が外れる場合に当たるか適用が外れる場合
当月に適用する調整率自園の区分での率市町村長の認定と調整率の確認

確認済みの調整率を使い、告示が定める基数から減算する

市町村に確認した調整率を、告示が定める対象列の合計に乗じて減算します。恒常的な定員超過に該当した場合は、利用子ども数・定員区分等に応じた率を使います。副食費徴収免除加算は、この基数から除かれます。

率を引く表の読み方は、保育所の定員超過の調整率の表の読み方で説明しています。

告示別表第2の列⑳は、対象列の合計に「別に定める調整率」を乗じるとだけ書き、率は同じPDFの42〜49ページの調整率の表にあります(令和8年こども家庭庁告示第9号で確認)。調整率は自治体・対象月・定員区分等の確認が必要です。ツールは適用可否や率を自動で決めず、市町村に確認済みの率だけを入力して、根拠となる単価の内訳を表示します。

未確認の率を推測入力しない

率が未確認のまま入力すると、試算は根拠のない金額になります。ツールに値を入れなければ、この減算は計上しません。

恒常的な定員超過への該当性と、当月に適用する調整率を所轄市町村に確認してから入力する。

恒常的な超過は、利用定員の見直し指導にもつながる

FAQは減算の算定に加えて、市町村の対応についても述べています。

恒常的な定員超過の状態にある施設・事業に対しては、利用定員の見直しに向けた指導を行う必要があると明記されています。

利用定員は市町村の確認手続きで設定されるため、実際の利用人数が恒常的に定員を超えている場合は、利用定員の適正化とあわせて、認定定員の変更(都道府県等の認定権者への認可・届出)も必要になり得ます。この変更手続き自体は自治体ごとに窓口・様式が異なるため、所在地の市町村へ確認してください。

試算での扱い

市町村確認済みの調整率を入力した場合だけ、試算結果にこの減算を含めます。値が未確認なら空欄のままにし、結果には含めません。欠員とは別に、超過側にも調整の仕組みがある点を押さえてください。

定員超過と欠員は、減算の有無が非対称
比較項目定員恒常超過欠員(定員に対する在籍不足)
減算の有無恒常化すると、市町村確認済みの調整率による減算あり欠員自体を理由にした追加の減算はない
総額への効き方確認済みの調整率を、告示が定める対象列の合計に乗じて減算する単価の水準は変わらず、単価×人数の計算対象人数が欠員分だけ減る
該当性の確認恒常的な超過に当たるかどうかは市町村へ確認が必要確認不要(在籍数を入力するだけで総額に反映される)

この表の「欠員」は、児童の実際の在籍数が利用定員を下回る状態を指します。公定価格に関するFAQは「欠員」という言葉を、施設長の職務不履行(施設長を配置していない場合の調整)を指す意味でも使っており、そちらは実際に減算の対象になります。児童の在籍不足と施設長の配置状況は別の論点として扱ってください。

よくある質問

減算の適用可否と率は、市町村確認を正本にします。

年度途中に定員を超えて受け入れたら、その月から給付が減りますか。

一時的な超過だけでは、直ちに恒常的な定員超過の減算とはなりません。過去の継続状況と年間平均在所率を所轄市町村に確認してください。

年間平均在所率が高い年度があれば、すぐ減算されますか。

すぐに自己判断しません。FAQが定める継続状況と年間平均在所率の要件を、当年度の資料と市町村確認で照合してください。

このサイトの試算結果には、恒常的な定員超過の減算が含まれますか。

市町村確認済みの調整率を入力した場合に限り含まれます。該当性・調整率はツールが自動判定しないため、未確認なら市町村へ確認してください。

自園の条件で試算する

定員恒常超過は、市町村確認済みの調整率を入力した場合だけ反映します。所在地・利用定員・年齢別在籍数を入力すると、確認済みの加算・減算を含めて試算します。

公定価格の試算を開く

次に知りたいこと:保育所が利用定員を超えて子どもを受け入れてよい場合(運営基準第22条のただし書き5つ)、利用定員を変更すると、基本分単価はどう変わるか。

この記事も試算も、告示・FAQの本文を確認した範囲だけを扱います。恒常的な定員超過に該当するかどうかの判定と、実際の調整率は、所在地の市町村へ確認してください。

次に知りたいこと:保育所が利用定員を超えて受け入れてよい場合(運営基準第22条)、保育所の「認可定員」と「利用定員」の違い。

自園の条件で金額を確かめるには、利用定員、月初の年齢別在籍数、施設の所在地(市区町村。地域区分が決まります)の3つを用意します。公定価格の試算を開く

試算画面で自園の条件に名前をつけて保存しておくと(このブラウザ内に最大3件。外部へは送りません)、制度が改定されたときに同じ条件で金額を出し直せます。

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この記事が参照した一次資料

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