解説

合併・事業譲渡で、利用定員はそのまま引き継がれるか

こども家庭庁が公表した合併・事業譲渡ガイドラインは、認可・確認の手続きが引き継がれるかどうかを、事業譲渡か合併か、合併なら運営法人の種類によって整理しています。利用定員が新たに確定し直され、試算をやり直す必要がある場面を説明します。

事業譲渡に伴う確認・認可の再取得

保育所等の事業譲渡(施設の運営をそのまま別の法人へ引き継ぐこと)は、運営法人の種類にかかわらず同じ手順を踏みます。

譲渡元の法人が施設の廃止承認を受け、譲受法人が新設の認可・確認を受け直すという形で手続きが進みます。

事業譲渡が成立すると、施設の確認・認可はいったん廃止・新設という形を取ります。譲渡後の利用定員は、譲受法人が新たに申請し直す手続きの中で確定します。

合併は、運営法人の種類によって引き継がれ方が違う

社会福祉法人・学校法人どうしの合併は、原則として権利義務を丸ごと引き継ぐ「包括承継」にあたります。

提供する事業に大きな変更がなければ、認可・確認を新規に取り直す必要はなく、設置者の変更届などの手続きで対応できます。

一方、特定非営利活動法人や株式会社が運営する施設の合併は扱いが異なります。

認可・確認は包括承継されず、事業譲渡と同じ手順で新たに申請を行う必要があります。

事業譲渡・合併3パターンの認可・確認の引き継ぎ方
パターン認可・確認の扱い利用定員
事業譲渡譲渡元は廃止承認、譲受法人は新設の認可・確認を受け直す譲受法人が新たに申請し直す手続きの中で確定する
社会福祉法人・学校法人どうしの合併包括承継。提供事業に大きな変更がなければ新規に取り直す必要はない認可・確認が引き継がれるため、原則として変わらない
特定非営利活動法人・株式会社が運営する施設の合併包括承継されず、事業譲渡と同じ手順で新たに申請する新設の認可・確認を受け直す手続きの中で確定する

利用定員の確定で基本分単価の定員区分も変わる

基本分単価は、施設の利用定員の区分によって単価の水準が決まります。

合併・事業譲渡にともなって利用定員が新たに確定した場合は、その新しい利用定員をもとに定員区分をあらためて確認する必要があります。

「合併・事業譲渡があった=定員区分が変わる」と決めつけると詰まる

社会福祉法人・学校法人どうしの合併で提供事業に大きな変更がない場合は、認可・確認そのものが引き継がれるため、利用定員も変わらないのが原則です。定員区分が変わるかどうかは、認可・確認を取り直すかどうかで決まります。

自法人のケースで認可・確認を取り直す必要があるかどうかは、所轄行政庁への事前相談で確認する。

この記事で扱わないこと

このガイドラインは認可・確認の手続きの整理が中心で、地域区分(施設所在地に基づく単価の区分)の扱いには触れていません。地域区分「その他」の判定は、『地域区分が「その他」になるのは、なぜか』で説明しています。合併・事業譲渡の可否判断、会計・税務処理、職員の労務対応といった個別の法務・税務判断も、この記事では扱いません。

試算での扱い

この試算ツールは、確定した利用定員を入力として使う月次のモデル計算であり、合併・事業譲渡そのものの可否や手続きは扱いません。利用定員が新たに確定したら、その値で試算をやり直してください。引継ぎ前後の条件を一つの試算に混ぜずに分ける整理の手順は、『合併・事業譲渡は引継ぎ前後で試算条件を分ける』で説明しています。

よくある質問

合併・事業譲渡があれば、必ず公定価格の試算をやり直す必要がありますか。

利用定員が変わらない場合(社会福祉法人・学校法人どうしの合併で提供事業に大きな変更がないケースなど)は、試算をやり直す必要は基本的にありません。利用定員が新たに確定した場合は、その値で試算し直してください。

特定非営利活動法人や株式会社が運営する施設は、合併するとどうなりますか。

認可・確認は包括承継されず、事業譲渡と同じ手続きで新たに取り直す必要があります。

このガイドラインには、公定価格の計算方法そのものが書かれていますか。

書かれていません。このガイドラインは合併・事業譲渡の進め方や認可・確認手続きを整理したもので、公定価格・基本分単価の算定基準は告示・通知が別途定めています。

自園の条件で試算する

利用定員が新たに確定したら、その値で基本分単価を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事も試算も、ガイドライン・告示・通知の本文を確認した範囲だけを扱います。合併・事業譲渡の進め方や個別の手続きは、所轄行政庁へお問い合わせください。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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