解説

保育士宿舎借り上げ支援事業は、公定価格の賃借料加算とは別の補助制度

保育士宿舎借り上げ支援事業は、公定価格(施設型給付費・委託費)の賃借料加算とは別建ての国庫補助金メニューです。対象物件・実施主体・確認先の違いと、この試算での扱いを一次資料で説明します。

対象になる「建物」が違う

賃借料加算は、保育所の用に供する建物が賃貸物件であることなど、告示・通知が定める条件を満たして市町村が確認した場合に、公定価格(施設型給付費・委託費)へ加算される仕組みです。

これに対して保育士宿舎借り上げ支援事業は、保育所等の事業者が保育士個人の居住用の宿舎を借り上げた場合の費用を補助する事業で、対象になる建物がそもそも異なります

賃借料加算の対象は「保育所の運営に使う建物」、保育士宿舎借り上げ支援事業の対象は「保育士が住む宿舎」です。同じ「賃借料」という言葉が使われますが、対象物件が別であることをまず区別してください。

根拠になっている予算の枠組みが違う

賃借料加算は、内閣総理大臣が定める公定価格の告示に基づき算定される、施設型給付費・委託費の加算項目の一つです。一方、保育士宿舎借り上げ支援事業は、公定価格とは別立ての国庫補助金メニューである「保育対策総合支援事業費補助金」の内数として実施されます。

こども家庭庁の令和8年度資料は、この事業を「保育対策総合支援事業費補助金」の事業一覧に掲げ、保育所等の事業者が保育士用の宿舎を借り上げる費用の一部を支援する制度としています。実施主体は、保育提供体制の確保のための実施計画が採択された市区町村です。

実施の有無・補助基準額・対象要件は、当該年度の国の条件と市区町村要綱で確認する

保育士宿舎借り上げ支援事業は、すべての市区町村が同じ内容で実施しているとは限りません。こども家庭庁の令和8年度資料でも、実施主体は実施計画が採択された市区町村に限られ、補助基準の上限額は市区町村単位で設定されています。自園に適用される条件は、国の当該年度の条件と所在市区町村の要綱で確認する必要があります。

  1. 実施の有無

    実施主体は、保育提供体制の確保のための実施計画が採択された市区町村に限られます。まず所在市区町村が当該年度に実施しているかを確認します。

  2. 補助基準額・対象要件

    補助基準額の上限や対象になる保育士の要件は、国の当該年度の条件と経過措置を踏まえて、市区町村の要綱に示されます。前年度の案内を流用せず、申請する年度の要綱を確認します。

特定の市区町村の金額をそのまま自園に当てはめない

国が定める当該年度の条件に加えて、市区町村別の補助基準上限額や要綱を確認する必要があります。ある市区町村の案内を、別の市区町村へそのまま当てはめることはできません。

所在市区町村の担当課(保育課等)で、実施の有無・補助基準額・対象保育士の要件を確認してください。

試算での扱い

この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)に特化しており、保育士宿舎借り上げ支援事業は試算の対象外です。賃借料加算を試算に入れる場合の手順は賃借料加算は、市町村が確認した地域類型と区分で試算するで説明しています。

保育士宿舎借り上げ支援事業の実施の有無・申請方法・補助基準額は、この記事・試算では扱いません。所在市区町村へ個別に確認してください。

よくある質問

保育士宿舎借り上げ支援事業を使えば、賃借料加算は不要になりますか。

両者は対象になる建物が異なるため、単純な代替関係ではありません。賃借料加算は保育所の建物、保育士宿舎借り上げ支援事業は保育士個人の宿舎が対象です。どちらの活用余地があるかは、それぞれの制度の対象条件を個別に確認してください。

自分の市区町村で保育士宿舎借り上げ支援事業をやっているか、この記事で分かりますか。

分かりません。実施の有無は市区町村ごとに異なり、この記事は制度の骨格(公定価格とは別の国庫補助金メニューであること)だけを説明します。所在市区町村の担当課へ確認してください。

この試算ツールで保育士宿舎借り上げ支援事業の補助額を計算できますか。

できません。この試算は公定価格(施設型給付費・委託費)の算定に特化しており、保育士宿舎借り上げ支援事業は試算の対象外です。

自園の条件で試算する

市町村確認済みの区分を選ぶと、賃借料加算を含む公定価格の内訳を試算します。保育士宿舎借り上げ支援事業は試算に含まれないため、あわせて所在市区町村へ確認してください。

公定価格の試算を開く

この記事が参照した一次資料

ほかの解説