保育所の委託費とは何か(公定価格との関係・子ども・子育て支援法附則第6条)
委託費とは、市町村が私立保育所に支払う費用の名前で、額は公定価格の基準で算定した費用の額に相当します。
子ども・子育て支援法附則第6条第1項は、都道府県・市町村以外の者が設置する保育所について、当分の間、第27条第3項第1号の基準(公定価格)で算定した費用の額に相当する額を、市町村が保育所に委託費として支払うと定めています。この場合、第27条の施設型給付費の規定は適用されません。
公定価格は金額を決める基準、委託費は私立保育所に対するその支払いの名前、という関係です。公定価格そのものの定義と決まり方は、公定価格とは・決まり方で確認できます。
無償化は保護者の利用者負担額の扱いを変える制度で、こども家庭庁の説明資料にこの算定方法を書き換える記述は見当たりません(次節)。
無償化で変わる利用者負担額と、変わらない公定価格の算定方法
幼児教育・保育の無償化は、保護者が支払う利用者負担額を令和元年10月からゼロとして扱う制度です。こども家庭庁の説明資料には、公定価格に基づく施設への算定方法自体を無償化のために書き換えるという記述は見当たりません。
利用者負担額は、無償化以前から世帯の所得の状況等に応じて市町村が定めてきた項目です。無償化は、この利用者負担額の扱いを変えるものであり、施設側の算定の枠組みそのものを新設するものではありません。
無償化前後の比較図が示す、変わる部分と変わらない部分
こども家庭庁の資料にある無償化前後の比較図では、無償化前は保護者負担の枠が「保育料」と「実費(副食費等)」の2段で構成されていました。
無償化後は「保育料」の段が「無償化(給付)」に置き換わるだけで、実費(副食費等)の段はそのまま保護者負担として残ります。
「無償化=実費まで含めて全て無料」ではない
通園送迎費、食材料費、行事費などは、これまでどおり無償化の対象外で保護者が負担します。
副食費(食材料費)だけは別枠の免除制度があるため、対象かどうかを次の記事で確認する。
無償化の対象:3〜5歳と0〜2歳の住民税非課税世帯の違い
こども家庭庁の説明資料(令和7年10月作成)は、年齢によって無償化の対象となる世帯の条件が違うことを示しています。
3〜5歳は世帯の所得を問わず対象で、0〜2歳は保育の必要性の認定を受けた住民税非課税世帯に限られます。
| 年齢 | 対象となる世帯 | 資料の記載 |
|---|---|---|
| 3〜5歳 | すべてのこども | 利用者負担額は「零」 |
| 0〜2歳 | 保育の必要なこどものうち、市町村民税非課税世帯に限る | 利用者負担額は「零」 |
| 0〜2歳(課税世帯) | 無償化の対象外 | 市町村が定める利用者負担額を支払う |
上の整理は令和7年10月作成の資料に基づきます。令和8年度の取扱いは、こども家庭庁の掲載ページと所在地の市町村で確認してください。
保護者負担が残る項目と、多子軽減の範囲
無償化の対象になるのは利用料(保育料)の部分で、通園送迎費、食材料費、行事費などは対象外です。資料も、保護者が直接負担しているこれらの費用を無償化の対象外としています。副食費・主食費の扱いは副食費・主食費は保護者から徴収する費用、施設側の通園送迎加算の条件は通園送迎加算の算定条件で分けて確認できます。
多子世帯の軽減は無償化とは別の仕組みで、保育認定の2号・3号が対象です。同時に利用する最年長の子どもから数えて第2子は半額、第3子以降は無償とされ、年収約360万円未満相当の世帯は年齢制限や同時入所の要件が外れます。
| 段階 | 決まる場所 | この記事での扱い |
|---|---|---|
| 施設が受け取る額 | 公定価格(国の定める単価)と、市町村から支払われる委託費 | 試算ツールで計算する |
| 保護者が払う額 | 市町村が定める利用者負担額と、施設が定める実費(送迎費・食材料費・行事費など) | 試算ツールでは扱わない |
多子軽減の上限額や、副食費の免除対象は、世帯の所得や市町村によって扱いが変わります。副食費の免除を受け取る側の施設の加算は副食費徴収免除加算で説明しています。
試算での考え方
このサイトの試算は、公定価格に基づく施設への算定額を扱うものであり、無償化による利用者負担額の扱いを個別に計算する機能ではありません。無償化後の利用者負担額の具体的な金額や、世帯ごとの適用区分は、所轄の市町村へ確認してください。
よくある質問
- 無償化によって、保育所が受け取る公定価格の金額自体が減りますか。
この記事が確認した資料からは、無償化のために公定価格の算定方法自体を変更するという記述は見当たりません。
- 副食費(給食費)も無償化の対象ですか。
原則として対象外です。副食費は、これまでどおり施設による徴収または保護者負担が基本とされています。一部世帯向けの免除は副食費徴収免除加算で説明しています。
- この試算ツールで、無償化後の保護者の実質負担額を計算できますか。
できません。このツールは施設が市町村から受け取る額を試算するもので、世帯ごとの利用者負担額の算定は扱っていません。
自園の条件で試算する
所在地・利用定員・年齢別の園児数を入れると、基本分単価と実装済みの加算・減算から月額を計算します。
公定価格の試算を開くこの試算に利用者負担額や無償化給付の計算は含まれません。副食費(食材料費)に関わる加算は副食費徴収免除加算で説明しています。
ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 子ども・子育て支援法
平成24年法律第65号/複数年度対象外/確認日 2026-10-08
- 幼児教育・保育の無償化 利用者負担
該当なし/令和7年度対象外/確認日 2026-09-10