解説

専門職の保育士みなし特例(令和8年度)の対象職種と要件

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等の専門職を、1人に限り職員配置基準において保育士とみなせる特例が令和8年度に新設されました。対象職種と要件、既存の看護師等の特例との関係を説明します。

専門職を1人に限り保育士とみなせる特例(新設)

障害のある子どもや医療的ケア児の保育所等の利用が増え、児童発達支援との併行通園も進むなか、特性に応じた専門的な支援を充実させる目的で、令和8年度から新しい特例が設けられました。

施設・事業の人材確保の状況に応じた対応ができるよう、看護師等の既存のみなし特例と同様に、対象となる専門職を1人に限り、職員配置基準において保育士とみなすことができます。

この特例は保育所を主な対象とし、認定こども園・小規模保育事業所・事業所内保育事業所にも新設されました。適用開始は令和8年度からです。

対象になる専門職と、共通して必要な要件

対象となるのは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員のいずれかに該当する者、または障害児の療育に関する知識・経験を持ち、その指導業務に5年以上従事した経験がある者です。心理担当職員には、大学・大学院で心理学を修め、心理療法の技術を有すること等の個別要件が定められています。

対象5区分ごとの個別要件
区分個別要件
理学療法士理学療法士であること
作業療法士作業療法士であること
言語聴覚士言語聴覚士であること
心理担当職員学校教育法の規定による大学(短期大学を除く)若しくは大学院で心理学を専修し、個人及び集団心理療法の技術を有する者、又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者であること
療育経験者障害児の療育に関する知識及び経験を有する者であって、障害児の療育の指導を行う業務に5年以上従事した経験を有する者であること

いずれの区分も、上記の個別要件に加えて子育てに関する知識・経験を持つことが共通の要件です。区分ごとの詳細は、所轄の市町村・こども家庭庁の公表資料で確認してください。

  1. 子育てに関する知識及び経験

    対象の専門職には、子育てに関する知識及び経験を有することが共通の要件として求められます。通知はこれを保育所等での勤続年数3年以上と解釈し、研修の修了でも該当扱いにできるとしています(下の「通知の留意事項」の節)。

  2. 保育士からの支援を受ける体制

    専門職が保育を行うに当たっては、保育士から支援を受ける体制を整えることが必要です。

資格を持っているだけで、みなし特例の対象と決めない

職種の資格だけでなく、子育てに係る業務の経験年数や、職種ごとに定められた個別の要件をすべて満たしているかを確認する必要があります。

対象となる専門職の経歴・資格が、通知が定める要件を満たすかを、所轄の市町村に確認する。

通知の留意事項:合同の組・支援する保育士・子育て経験の目安

令和8年4月8日付けの通知(こ成保第329号・8文科初第177号)は、保育所での取扱いの留意事項を整理しています。専門職が保育を行うときは、保育士と合同の組・グループを編成し、原則として同一の保育室等で保育を行わなければならないとされています。この通知は地方自治法に基づく技術的助言です。

通知が示す留意事項(保育所の場合)
論点通知の内容
体制専門職と保育士が合同の組・グループを編成し、原則として同一の保育室等で保育を行わなければならない
支援する保育士支援を担当する保育士は、その専門職が勤務する保育所での勤続年数が概ね3年以上で、常勤の者であることが望ましい。休暇時などに代替で支援する保育士も同様の者とすることが望ましい
療育経験5年以上障害児通所支援等の業務の経験があり、かつ児童発達支援センターや保育所等訪問支援事業所などで他機関への障害児支援の助言等の業務に5年以上従事していたこと
子育てに関する知識及び経験保育所等での勤続年数が3年以上である場合をいう。これに当たらなくても、子育て支援員研修の地域保育コースその他、都道府県知事又は市町村長が認める研修を修了していれば、該当するものとして取り扱って差し支えない
看護師等の特例との併用併用は可能。ただし看護師等を支援する保育士と、専門職を支援する保育士は異なる者とする

保育所の長には、職員が連携・協力する体制の確保、研修に参加する機会の確保、専門職以外の職員に業務の負担が過剰に偏らないようにする管理が求められています。小規模保育事業所(A型・B型)、事業所内保育事業所、認定こども園も、この趣旨を踏まえて取り扱うとされています。個別の職員が当てはまるかは、所轄の市町村に確認してください。運用の詳細は特定理学療法士等の特例の運用通知でも解説しています。

既存の看護師等のみなし特例とは、併用できる

保育所・認定こども園には、看護師等を1人に限り保育士とみなせる従来からの特例があります。

この専門職のみなし特例は、看護師等のみなし特例と併用でき、看護師等と専門職の合計2人を保育士とみなすことも可能です。

併用する場合、看護師等と専門職は、それぞれ別の保育士から支援を受ける体制を整える必要があります。同じ保育士が両方を兼ねて支援することはできません。

専門職の特例と看護師等の特例の比較と、確認の順序

看護師等の特例の要件は、看護師等の保育士みなし特例(保育所は乳児要件の撤廃、認定こども園は3分の1の上限)で詳しく説明しています。ここでは、2つの特例の違いを施設の種類ごとに並べます。

専門職のみなし特例と看護師等のみなし特例の比較
比べる点専門職(理学療法士等)看護師等(保健師・看護師・准看護師)
対象理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員、または療育の指導に5年以上従事した者で、子育ての知識・経験を持つ者保健師・看護師・准看護師
人数保育所では1人に限る保育所では1人に限る
保育所での併用看護師等と合わせて合計2人まで。それぞれ別の保育士から支援を受ける体制が必要専門職と合わせて合計2人まで。それぞれ別の保育士から支援を受ける体制が必要
認定こども園での上限専門職・小学校教諭等免許状所持者・都道府県知事が認める者・看護師等の合計が、配置基準上必要な職員数の3分の1以内同じ合計の中に数えられる(専門職と共通の上限)
乳児が少ない場合の追加要件本文では確認していない乳児(認定こども園は満1歳未満)が4人未満なら、知識・経験を持つ看護師等の配置と保育士等の支援体制が必要

認定こども園の3分の1の上限は、専門職にも及びます。幼保連携型認定こども園の基準(附則第9条)が、特定理学療法士等と看護師等を同じ合計に数えると定めているためです。保育所側の規定には、この比率による上限は見当たりません。

  1. 1. 施設の種類を確かめる

    保育所か認定こども園かで、人数の考え方(合計2人まで、または3分の1以内)が変わります。

  2. 2. 職員がどちらの特例に当たるかを確かめる

    看護師等は看護師等の特例、理学療法士等は専門職の特例の対象です。

  3. 3. 個別の要件と支援体制を確かめる

    専門職は経験年数などの個別要件を、看護師等は乳児の人数に応じた追加要件を確認します。併用するときは、別々の保育士から支援を受ける体制も必要です。

この記事・試算で扱わないこと

この記事は特例の対象職種と要件の枠組みを説明するもので、個別の職員がみなし特例の対象になるかどうかの判定は行いません。基本分単価の前提になっている年齢区分ごとの配置基準そのものは年齢別配置基準の比率と計算式で説明しており、みなし特例を反映した場合の公定価格への影響も、この記事では扱いません。

よくある質問

理学療法士を配置していれば、みなし特例の対象になりますか。

資格だけでは対象になりません。子育てに係る業務の経験年数など、通知が定める要件をあわせて満たしている必要があります。

看護師と専門職を両方みなし特例にできますか。

できます。ただし、それぞれ別の保育士から支援を受ける体制を整えることが条件です。

この試算ツールで、みなし特例を反映した配置基準を確認できますか。

できません。この試算は公定価格(委託費)の算定に特化しており、職員配置基準そのものの判定は試算の対象外です。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事も試算も、資料の本文を確認した範囲だけを扱います。みなし特例の適用可否の判断は、所轄の市町村へお問い合わせください。

次に知りたいこと:専門職の職種別早見表、みなし保育士(看護師)の特例、保育士配置の特例3種類。

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この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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