解説

基本分単価の地域差は人件費部分だけに反映される

基本分単価は地域区分ごとに一律に高くなったり低くなったりするわけではありません。運営費の積算構造から、地域区分による差が人件費部分に限られる理由を説明します。

基本分単価の地域差が出る部分(人件費のみ)

基本分単価は地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4条件で決まりますが、この4つが単価に与える影響は同じ性質ではありません。

地域区分による差は、運営費の積算のうち人件費部分だけに出ます。事業費と管理費は、地域区分にかかわらず全国一律です。

運営費の積算根拠は、こども家庭庁が示す私立保育所の運営に要する費用についての通知です。この記事では、その積算構造のうち地域区分の扱いに限って説明します。

地域区分の根拠(国家公務員等の地域手当の支給割合)

地域区分そのものの根拠は、公定価格に関するFAQに示されています。

公定価格の地域区分は、国家公務員及び地方公務員の地域手当の支給割合に係る地域区分に準拠して設定されています。地域手当は公務員の給与を、勤務地の物価・賃金水準に応じて補正する制度です。

保育所の運営費に置き換えると、地域手当が補正しているのと同じ「勤務地による賃金水準の差」を、人件費の積算に反映させる必要があります。地域区分が積算に組み込まれているのは、この賃金水準差を映すためです。

ただし、地域手当の区分にそのまま従わない市町村があります。

公定価格に関するFAQは、平成27年度の制度施行時の経過措置(上記の設定方法により地域区分が下がる市町村等)があると注記しています。別添1では、経過措置が適用されている地域が[ ]で囲んで示されます。

当サイトのデータでは、宮城県大和町、茨城県石岡市・那珂市・東海村、千葉県木更津市・君津市・長柄町・長南町、東京都羽村市・檜原村、滋賀県野洲市、京都府城陽市・久御山町・宇治田原町、大阪府島本町、奈良県御所市・川西町の17市町村が該当します。FAQには経過措置の期間や、個々の市町村ごとの理由までは書かれていません。自園の区分は、別添1の表記どおりに使ってください。

人件費は地域区分別、事業費・管理費は全国一律

私立保育所の運営に要する費用についての通知は、事業費(給食材料費や保育材料費などの一般生活費相当)と人件費を分けて積算基準を示しています。

事業費は年齢区分だけで金額が決まり、地域区分による差はありません。地域区分別の年額が定められているのは人件費だけです。

  1. 事業費・管理費は全国一律

    子ども1人あたりの月額は、地域区分にかかわらず同じ金額で積算されています。

  2. 人件費は地域区分ごとの年額

    所長・主任保育士・保育士・調理員等の職種ごとに、地域区分に応じた年額基準が示されています。地域区分が上がるほど、積算上の人件費も高くなります。

人件費の積算額を、給与水準を下げる根拠にしない

通知は、この人件費の年額を予算積算上の額と位置づけており、処遇改善等加算(区分1・2・3)を含みません。1人当たりの積算額を理由に給与水準を引き下げることは不適切とされています。

積算上の人件費と、実際に支払う給与水準は別の話として扱う。給与の決定は施設の労務管理として別途判断する。

地域区分ごとの基本分単価の比較(代表条件をそろえた例)

地域区分による差だけを見るため、利用定員・年齢区分・保育必要量を同じ代表条件に固定します。下表の金額は記事本文に保存せず、現行の年度データから表示しています。

この差の内訳が、事業費・管理費ではなく人件費部分の積算であることは、通知の積算基準から確認できます。

地域区分8区分の基本分比較(代表条件)
地域区分基本分の単価
20/100150,500円
16/100146,280円
15/100145,220円
12/100142,050円
10/100139,940円
6/100135,720円
3/100132,550円
other129,380円

表示条件: 利用定員 20人、4歳以上児、保育標準時間。令和8年度の検証済み基本分データから表示。

実際の基本分単価は、施設所在地・利用定員・年度年齢別在籍数・保育必要量を入力して確認します。地域区分の判定方法は地域区分の対応表とその他の扱いで説明しています。

自園の所在地の市区町村がどの地域区分に当たるかは、全市区町村を検索できる一覧で確認できます。

市区町村別の地域区分の一覧を開く

地域区分の見直しは令和8年4月からは実施されない(確認日 2026-10-18)

令和6年8月の人事院勧告は、国家公務員の地域手当の級地区分を、市町村ごとの設定から都道府県を基本とする設定に見直し、1級地20%から7級地3%までの7区分を、1級地20%から5級地4%までの5区分にするとしました。こども家庭庁の資料(第8回子ども・子育て支援等分科会・令和6年12月19日・資料7)は、この内容を示したうえで、公定価格の地域区分への対応を、令和7年4月からの見直しは実施せず、引き続き見直し方法について議論を進めるとしています。

令和8年度の見直し事項(こども家庭庁・令和8年度公定価格・基準等の見直し事項)には、令和6年人事院勧告を踏まえた地域区分の見直しは令和8年4月からは実施せず、令和9年度に向けて引き続き検討と書かれています。令和8年度の基本分単価は、この記事で説明した従来の地域区分で算定します。

令和9年度以降に区分や額がどうなるかは、確認した資料に書かれていません。この記事では将来の区分や額を示しません。決まった内容は、こども家庭庁の公定価格のページで確認してください。

よくある質問

地域区分が高い地域は、事業費や管理費も高くなりますか。

いいえ。事業費と管理費は全国一律で、地域区分による差があるのは人件費部分だけです。

地域区分ごとの人件費の年額は、どこで確認できますか。

こども家庭庁が毎年度示す私立保育所の運営に要する費用についての通知に、職種別・地域区分別の年額基準が掲載されています。この記事では制度構造の説明にとどめ、年度ごとの金額は試算結果で確認してください。

自園の地域区分は何を見れば分かりますか。

施設の所在地を、公定価格に関するFAQに収録された地域区分対応表と照合します。対応表にない市町村は「その他」の扱いになります。詳しくは地域区分の表にない市町村の扱いで説明しています。

自園の条件で試算する

市町村を選択すると地域区分を表示し、基本分と実装済みの加算・減算を比較できます。

結果には計算過程、使った通知・告示、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を表示します。

所在地から地域区分を確認して試算する

この記事は、運営費の積算構造のうち地域区分の扱いを説明するものです。個別の給与水準の決定、労務管理上の判断は扱いません。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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