解説

地域区分によって基本分単価が変わるのは、人件費部分だけが地域差を映すから

基本分単価は地域区分ごとに一律に高くなったり低くなったりするわけではありません。運営費の積算構造から、地域区分による差が人件費部分に限られる理由を説明します。

基本分単価の地域差は、人件費部分にだけ出る

基本分単価は地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4条件で決まりますが、この4つが単価に与える影響は同じ性質ではありません。

地域区分による差は、運営費の積算のうち人件費部分だけに出ます。事業費と管理費は、地域区分にかかわらず全国一律です

運営費の積算根拠は、こども家庭庁が示す私立保育所の運営に要する費用についての通知です。この記事では、その積算構造のうち地域区分の扱いに限って説明します。

地域区分は、国家公務員等の地域手当の支給割合に準拠する

地域区分そのものの根拠は、公定価格に関するFAQに示されています。

公定価格の地域区分は、国家公務員及び地方公務員の地域手当の支給割合に係る地域区分に準拠して設定されています。地域手当は公務員の給与を、勤務地の物価・賃金水準に応じて補正する制度です。

保育所の運営費に置き換えると、地域手当が補正しているのと同じ「勤務地による賃金水準の差」を、人件費の積算に反映させる必要があります。地域区分が積算に組み込まれているのは、この賃金水準差を映すためです。

人件費だけが地域区分別で、事業費・管理費は全国一律

私立保育所の運営に要する費用についての通知は、事業費(給食材料費や保育材料費などの一般生活費相当)と人件費を分けて積算基準を示しています。

事業費は年齢区分だけで金額が決まり、地域区分による差はありません。地域区分別の年額が定められているのは人件費だけです

  1. 事業費・管理費は全国一律

    子ども1人あたりの月額は、地域区分にかかわらず同じ金額で積算されています。

  2. 人件費は地域区分ごとの年額

    所長・主任保育士・保育士・調理員等の職種ごとに、地域区分に応じた年額基準が示されています。地域区分が上がるほど、積算上の人件費も高くなります。

人件費の積算額を、給与水準を下げる根拠にしない

通知は、この人件費の年額を予算積算上の額と位置づけており、処遇改善等加算(区分1・2・3)を含みません。1人当たりの積算額を理由に給与水準を引き下げることは不適切とされています。

積算上の人件費と、実際に支払う給与水準は別の話として扱う。給与の決定は施設の労務管理として別途判断する。

代表条件をそろえて、地域区分ごとの基本分単価を比べる

地域区分による差だけを見るため、利用定員・年齢区分・保育必要量を同じ代表条件に固定します。下表の金額は記事本文に保存せず、現行の年度データから表示しています。

この差の内訳が、事業費・管理費ではなく人件費部分の積算であることは、通知の積算基準から確認できます

地域区分8区分の基本分比較(代表条件)
地域区分基本分の単価
20/100150,500
16/100146,280
15/100145,220
12/100142,050
10/100139,940
6/100135,720
3/100132,550
other129,380

表示条件: 利用定員 20人、4歳以上児保育標準時間。令和8年度の検証済み基本分データから表示。

実際の基本分単価は、施設所在地・利用定員・年度年齢別在籍数・保育必要量を入力して確認します。地域区分の判定方法は地域区分の対応表とその他の扱いで説明しています。

よくある質問

地域区分が高い地域は、事業費や管理費も高くなりますか。

いいえ。事業費と管理費は全国一律で、地域区分による差があるのは人件費部分だけです

地域区分ごとの人件費の年額は、どこで確認できますか。

こども家庭庁が毎年度示す私立保育所の運営に要する費用についての通知に、職種別・地域区分別の年額基準が掲載されています。この記事では制度構造の説明にとどめ、年度ごとの金額は試算結果で確認してください。

自園の地域区分は何を見れば分かりますか。

施設の所在地を、公定価格に関するFAQに収録された地域区分対応表と照合します。対応表にない市町村は「その他」の扱いになります。詳しくは地域区分の表にない市町村の扱いで説明しています。

自園の条件で試算する

市町村を選択すると地域区分を表示し、基本分と実装済みの加算・減算を比較できます。

結果には計算過程、使った通知・告示、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を表示します。

所在地から地域区分を確認して試算する

この記事は、運営費の積算構造のうち地域区分の扱いを説明するものです。個別の給与水準の決定、労務管理上の判断は扱いません。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

  • 地域区分の表にない市町村は「その他」として試算する

    施設所在地が地域区分の対応表に見当たらない場合は、入力ミスと決めつけず「その他」の扱いを確認します。所在地による判定と現行ツールでの確認順序を説明します。

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  • 保育所の公定価格試算で、対象外の手続を別に確認する

    全国共通の公定価格を試算するときも、試算対象外の制度・手続は別に根拠と所管を確認する必要があります。試算結果と個別確認を混ぜない順序を説明します。

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  • 年齢帯ごとの欠員は、基本分単価の総額にどう影響するか

    基本分単価は、利用定員の区分で単価の水準が決まり、年齢帯ごとの実際の在籍児童数をその単価に掛けて総額が決まります。欠員(定員に対する在籍不足)が総額にどう効くかと、定員超過との非対称性を説明します。

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  • 分園がある保育所は、利用定員の総和で定員区分を確認する

    分園がある保育所の基本分単価・処遇改善等加算(区分1・2)・施設長未配置の調整は、本園と分園の利用定員の総和で区分を確認します。所在地と在籍数を分けて確認する順序、現行試算の対象範囲を説明します。

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