解説

延長保育事業の補助は、公定価格の加算に含まれるか

延長保育事業は、公定価格(施設型給付費・委託費)とは別に、市町村の交付金で運営される地域子ども・子育て支援事業です。法的根拠と財源構成の違いを、法律の条文と公式資料で確認し、この試算の対象範囲を説明します。

延長保育事業は、公定価格とは別の章に置かれた制度

延長保育事業は、通常の利用日・利用時間帯以外に保育を行う事業として、多くの認可保育所で実施されています。

この事業は、子ども・子育て支援法第59条に定める「地域子ども・子育て支援事業」の一つです。公定価格(施設型給付費・委託費)を定める第27条とは、法律上別の章に置かれています。

子ども・子育て支援法は、施設型給付費(第27条)を第二章「子ども・子育て支援給付」に、延長保育事業を含む地域子ども・子育て支援事業(第59条)を第四章に、それぞれ分けて規定しています。第59条第2号は、通常の利用時間帯以外の保育を「時間外保育」と定義し、この事業に対する市町村の支援を定めています。

財源も、施設型給付費とは別建て

地域子ども・子育て支援事業は、国が定める算定基準に基づく告示単価ではなく、市町村への交付金というかたちで財源が組まれています。

こども家庭庁が公開する制度説明資料は、地域子ども・子育て支援事業の費用負担割合を「国・都道府県・市町村それぞれ1/3」と明記しており、延長保育事業もこの枠組みに含まれます。

これに対し、公定価格(施設型給付費・委託費)は、告示が定める基本分単価に各種加算・減算を加減して算定される、別の仕組みです。延長保育事業の補助単価・実施要件は市町村ごとの実施要綱で定められるため、全国一律の告示単価としては扱えません。

「延長保育の実施」が公定価格の加算の要件になる場合との違い

公定価格の一部の加算は、延長保育・一時預かりなど通知が列挙する事業等の実施を、認定要件の一つとして確認します。高齢者等活躍促進加算と事務職員雇上費加算は通知が挙げる事業等のいずれかを実施していること、主任保育士専任加算は通知が挙げる事業等を複数実施していることが求められます(保育所の場合)。

この場合に問われるのは、延長保育事業などを実施しているという事実であり、延長保育事業そのものの補助額を公定価格の加算として受け取るわけではありません。

「延長保育の実施要件」と「延長保育事業の補助」を混同しない

上記の加算は、延長保育の実施を要件の一つとして確認するだけで、延長保育事業の補助単価・補助額はこれらの加算の計算に含まれません。延長保育事業の補助を受ける場合は、市町村の実施要綱に基づく別の手続きで受け取ります。

延長保育事業の補助単価・申請方法は、公定価格の告示ではなく、所在地の市町村が定める延長保育事業実施要綱を確認してください。

公定価格と延長保育事業の違い(比較表)と確認先の順序

公定価格(施設型給付費・委託費)と延長保育事業の比較
比べる点公定価格(施設型給付費・委託費)延長保育事業
法律上の位置づけ子ども・子育て支援法第27条(第二章の給付)同法第59条(第四章の地域子ども・子育て支援事業)
金額の決まり方告示が定める基本分単価に加算・減算を加減市町村ごとの実施要綱で定める(全国一律の告示単価ではない)
財源施設型給付費として支給市町村への交付金(国・都道府県・市町村が各1/3)
確認先告示・通知と、市町村の認定所在地の市町村(子育て支援担当課)
  1. 知りたいのが「加算の要件」か「補助額」かを分ける

    延長保育を実施しているかどうかが問われるのは加算の認定要件、補助単価や申請方法は事業の話です。

  2. 加算の要件なら、各加算の記事と通知で確認する

    高齢者等活躍促進加算・事務職員雇上費加算・主任保育士専任加算では、通知が挙げる事業等の実施が要件の一つになります。

  3. 補助額・申請方法なら、市町村の実施要綱で確認する

    全国共通の値はないため、所在地の市町村(子育て支援担当課)に当該年度の要綱を確認します。

病児保育・一時預かりなど、他の別制度と公定価格との関係を一覧で比べられます。

公定価格とは別の制度の早見表を開く

試算での扱い

この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行い、延長保育事業の補助額は試算に含みません。

延長保育の実施状況は、高齢者等活躍促進加算・主任保育士専任加算など一部加算の入力条件として確認しますが、その入力は加算の認定要件の確認であり、延長保育事業の補助額そのものではありません。

延長保育事業の補助単価・実施要件は市町村ごとに異なるため、全国共通の値として試算へ組み込むことはできません。金額の見込みが必要な場合は、所在地の市町村(子育て支援担当課)へ直接確認してください。

同じように加算と事業が分かれる例として、保育体制強化加算と保育体制強化事業の違いもあります。

よくある質問

延長保育事業の補助額は、この試算の結果に含まれますか。

含まれません。延長保育事業は公定価格(施設型給付費・委託費)とは別の地域子ども・子育て支援事業で、市町村の交付金で運営されます。

延長保育を実施していると、公定価格の加算が増えますか。

延長保育の実施は、高齢者等活躍促進加算・主任保育士専任加算など一部の加算で、認定要件の一つとして確認されます。ただしこれは実施の事実を確認するものであり、延長保育事業の補助額そのものが公定価格の加算に加算されるわけではありません。

延長保育事業の補助単価は、どこで確認できますか。

延長保育事業は市町村ごとの実施要綱に基づく事業のため、補助単価・申請方法は所在地の市町村(子育て支援担当課)へ直接確認してください。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(施設型給付費・委託費)を試算します。

延長保育事業の補助額は試算に含まれないため、別途所在地の市町村へ確認してください。

公定価格の試算を開く

次に知りたいこと:公定価格と別建ての国の補助事業一覧

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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