解説

保育所が他の社会福祉施設を併設するときの設備・職員の兼用(第8条)

他の社会福祉施設を併設するときの設備と職員の兼用について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第8条が認める範囲を、第1項の原則、第2項の適用除外、保育所だけに付くただし書に分けて整理します。従うべき基準にあたる部分と、条例・所管の確認が必要な点も確認できます。

第8条は3つの層でできている。原則、除外、保育所のただし書

第8条は、児童福祉施設が他の社会福祉施設を併せて設置するとき、必要に応じて設備と職員の一部を兼ねられると定めたうえで、兼ねられない範囲を第2項で除き、保育所についてはそのただし書で戻しています。

三つを順に読まないと、保育所で何が兼ねられるかを取り違えます。

第8条の構造(e-Gov で確認、確認日 2026-10-13)
部分条文の内容ひと言でいうと
第1項他の社会福祉施設を併せて設置するときは、必要に応じ、当該児童福祉施設の設備及び職員の一部を、併せて設置する社会福祉施設の設備及び職員に兼ねることができる兼ねてよい(原則)
第2項本文第1項は、入所している者の居室及び各施設に特有の設備、並びに入所している者の保護に直接従事する職員については、適用しない居室・特有の設備・直接従事する職員は兼ねられない
第2項ただし書ただし、保育所の設備及び職員については、その行う保育に支障がない場合は、この限りでない保育所は、保育に支障がなければ、本文の除外にあたるものも兼ねられる

第1項は、兼ねてよい設備と職員を「必要に応じ」「一部」と限定する

第1項は、兼ねることができると定めますが、「必要に応じ」「一部」という限定が付いています。

条文は、どの設備、どの職員を兼ねられるかの一覧を示していません。

具体的な可否は条文からは決まらないため、所在地の条例と所管の案内で確かめる事項です。

第11条第1項(食事)は、自園の調理室だけでなく、第8条により調理室を兼ねている他の社会福祉施設の調理室で調理する方法も、施設内で調理する方法に含めています。

調理室の兼用は、第8条を根拠にした実際の使い方のひとつです。

食事の提供の条文は『保育所の食事の提供(第11条)』で整理しています。

第2項本文は、居室・特有の設備・直接従事する職員を、兼用の対象から外す

第2項本文は、入所している者の居室、各施設に特有の設備、入所している者の保護に直接従事する職員には、第1項を適用しないと定めています。

条文の「入所している者」に、通所の保育所の子どもがどう当てはまるかは、条文だけでは決まりません。

「兼ねられる」という第1項だけを読んで、併設の計画を立てない

第1項だけを読むと、設備も職員も広く兼ねられるように見えます。第2項本文は、居室・特有の設備・直接従事する職員を外しています。

兼用を考える設備と職員を一つずつ挙げ、第2項本文の除外にあたるかを、所管の自治体に先に確かめます。

保育所だけは、保育に支障がなければ、除外されたものも兼ねられる

第2項ただし書は、保育所の設備と職員について、行う保育に支障がない場合は、本文の除外を適用しないと定めています。

ただし書は保育所についてだけ書かれています。

ただし、何が「保育に支障がない」にあたるかは、条文に基準が書かれていません。

支障の有無を、施設の側で判断して決めず、所管の自治体の案内に沿って確かめます。

ただし書の「支障がない」を、兼用してよい根拠にしない

条文は、保育に支障がない場合という条件を置くだけで、その判断の方法や基準を示していません。

条文の定めではなく確認の進め方の一例として、兼用の内容を整理した書面を用意し、所管の自治体の考え方を確認します。

第2項の一部は従うべき基準。条例の文言を確認する

設備運営基準の第1条は、第8条第2項のうち、職員に係る部分と設備に係る部分を、都道府県が条例を定めるときに従うべき基準として挙げています。

職員に係る部分は第1号、設備に係る部分は第2号に、それぞれ「入所している者の保護に直接従事する職員に係る部分」「入所している者の居室及び各施設に特有の設備に係る部分」と限定して挙がっています。

第1項は、この部分には含まれていません。

従うべき基準でも、施設に適用されるのは所在地の条例です。

条例が、国の省令のどの部分をどう書いているか、併設について追加の定めがないかを、国の省令と並べて確かめます。

併設の兼用を点検する順序

点検は、兼用の候補の洗い出し、第2項本文の除外、ただし書、条例の順に進めると抜けが減ります。

  1. 兼用を考える設備と職員を一つずつ書き出す

    併設する施設と共用する予定の設備と職員を、すべて挙げます。どれが兼用できるかは、この段階では決めません。

  2. 第2項本文の除外にあたるかを確かめる

    「入所している者の居室及び各施設に特有の設備」「入所している者の保護に直接従事する職員」にあたるものは、本文では兼用の対象外です。保育所の設備と職員がこれにあたるかは、所管の自治体に確かめます。

  3. 除外にあたるものは、ただし書で保育に支障がないかを確かめる

    保育所は、保育に支障がなければ兼用できる余地があります。支障の有無は、所管の自治体に確かめます。

  4. 条例の文言と所管の案内を並べる

    国の省令と条例の文言を並べ、併設に関する追加の定めがないかを確認します。

よくある質問

保育所は、併設する別の社会福祉施設と職員を兼ねることができますか。

第8条第1項は、必要に応じ、職員の一部を兼ねることができるとしています。ただし、入所している者の保護に直接従事する職員は第2項本文で外れ、保育所はただし書で、保育に支障がない場合は兼ねられる余地があります。実際の可否は所管の自治体に確認してください。

保育所のただし書の「保育に支障がない」は、どう判断しますか。

条文に判断の基準は書かれていません。兼用する設備や職員の内容を整理して、所管の自治体に確認してください。

兼用している調理室は、第11条の施設内調理にあたりますか。

第11条第1項は、第8条により調理室を兼ねている他の社会福祉施設の調理室で調理する方法を、施設内で調理する方法に含めています。実際の取扱いは、所在地の条例と所管の案内で確認してください。

この記事で、自園の兼用が基準に適合しているか分かりますか。

分かりません。この記事は条文の構造の説明で、適合の判定や指導監査の結果の見込みを示すものではありません。所管の自治体に確認してください。

確認したうえで、公定価格を試算する

確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。設備や職員の兼用が基準に適合しているかは、試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」2件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

  • 公定価格とは・決まり方:保育所の計算方法と基本分単価の内訳

    保育園の公定価格の決まり方を解説。公定価格とは、特定教育・保育等に要する費用の額で、保護者の保育料とは別の施設側の総額です。基本分単価の内訳は地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4つで決まります。計算は基本分単価・加算・減算・園児数の4手順で、試算画面の入力欄も確認できます(子ども・子育て支援法第27条第3項)。

    関連する理由:

  • 保育所の職員の一般的要件(第7条)と研修の機会の確保(第7条の2)

    保育所の職員の要件と研修の機会の確保について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第7条と第7条の2を整理します。職員個人の努力と施設の義務の違い、条文が決めていないこと、点検の順序を条文に沿って確認できます。

    関連する理由: 共通する試算入力/共通する一次資料

  • 保育所の食事の提供(第11条):自園調理の原則と献立・栄養

    保育所の食事の提供について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第11条が求める5項目(施設内調理、献立と栄養量、食品の種類と調理方法、あらかじめ作成した献立、食を営む力の育成)を、条文に沿って整理します。従うべき基準にあたる点と、条文が決めていないことも確認できます。

    関連する理由: 共通する試算入力/共通する一次資料

  • 保育園の業務管理体制の整備と届出(法令遵守責任者・施設数別の基準・届出先)

    施設型給付を受ける保育園の設置者が、子ども・子育て支援法第55条で求められる業務管理体制の整備と届出を整理します。確認を受けている施設の数による整備の基準、届書に書く事項、届出先の3区分、届出後の報告や立入検査、勧告までを確認できます。

    関連する理由: 共通する試算入力

「減算・報告・申請の期限を確認したいとき」の解説一覧へ