解説

保育所の職員の一般的要件(第7条)と研修の機会の確保(第7条の2)

保育所の職員の要件と研修の機会の確保について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第7条と第7条の2を整理します。職員個人の努力と施設の義務の違い、条文が決めていないこと、点検の順序を条文に沿って確認できます。

第7条は職員の一般的要件、第7条の2は努力義務と研修の機会の確保

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第7条は職員が備える要件を、第7条の2は職員の自己研鑽と施設の研修の機会の確保を定めています。

保育所の職員は、児童福祉施設の職員として、この2つの条の対象になると読めます。

第7条・第7条の2の内容(確認日 2026-10-13)
条主語条文の求め方
第7条 職員の一般的要件児童福祉施設に入所している者の保護に従事する職員健全な心身を有し、豊かな人間性と倫理観を備え、児童福祉事業に熱意のある者であって、できる限り児童福祉事業の理論及び実際について訓練を受けた者でなければならない
第7条の2第1項 職員の努力児童福祉施設の職員常に自己研鑽に励み、法に定める施設の目的を達成するために必要な知識及び技能の修得、維持及び向上に努めなければならない
第7条の2第2項 施設の義務児童福祉施設職員に対し、その資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない

研修の機会を確保する義務を負うのは、職員個人ではなく施設

第7条の2第1項の主語は職員で、第2項の主語は児童福祉施設です。

職員個人に求められているのは、自己研鑽に励み、知識と技能の向上に努めることです。

研修の機会を確保するのは施設の側で、「確保しなければならない」と書かれています。

条文は、研修の回数、時間数、内容、外部研修と園内研修のどちらで行うかを定めていません。

「確保しなければならない」のは機会であり、受講した結果や修了の証明ではありません。

研修をどの程度の頻度で行えば機会を確保したことになるかは、この条文からは分かりません。

研修の案内を出しただけで、機会を確保したと決めない

職員が参加できる日程と勤務時間の調整がなければ、案内があっても機会が確保されたとは言い切れません。条文が求めるのは、職員が実際に研修を受けられる機会と読めます。

年度ごとに、研修の種類と日程、参加の方法(勤務の扱い、代替の職員の配置)を書き出し、全職員が少なくとも1つは参加できる形になっているかを確かめます。

第7条は、採用や資格の基準を決める条ではない

第7条は、職員が備えるべき人柄や姿勢の要件を挙げる条で、保育士資格や人数の基準を定める条ではありません。

保育所に置く保育士の数は、第33条が定めています。

第7条の「できる限り」訓練を受けた者という書き方も、訓練の修了を採用の条件にする趣旨とは読めません。

第7条の要件に当たるかどうかを、客観的な基準で判定する方法も、条文には書かれていません。

面接や採用の場でこの条を根拠に個別の応募者を判断することは、この記事の範囲ではありません。

労務に関わる判断は、社会保険労務士など専門家への相談が必要です。

実際に適用されるのは条例。第7条・第7条の2は参酌すべき基準にあたると読める

設備運営基準の第1条は、条例を定めるときに従うべき基準を第1号から第3号で列挙し、それ以外を第4号の参酌すべき基準としています。

第1条の第1号から第3号の列挙には、第7条も第7条の2も出てきません。

そのため、この2つの条は第4号の参酌すべき基準にあたると読めます。

参酌すべき基準は、自治体が地域の事情を踏まえて条例の内容を定める余地のある部分です。

研修の機会についての条例の書き方は、国の省令と同じとは限りません。

施設の所在地の条例と、所管の自治体の案内で確認する必要があります。

ほかの研修の定めとは別の条

第7条の2の研修の機会は職員の資質の向上全般を対象にし、感染症や安全などの個別の研修は別の条で定められています。

保育所では、衛生管理や安全計画、業務継続計画にも、それぞれ研修や訓練の定めがあります。

個別の研修を行っていることと、第7条の2の機会の確保は、それぞれ別に確かめます。

感染症・食中毒の予防の研修と訓練は『保育所の衛生管理と感染症・食中毒の予防の研修・訓練』、業務継続計画の研修と訓練は『保育所の業務継続計画(BCP)』で整理しています。

自園の研修の機会を点検する順序

点検は、研修の一覧、参加の方法、記録、条例の確認の順に進めると抜けが減ります。

  1. 年度内の研修を、種類ごとに一覧にする

    外部研修、園内研修、法令で個別に定められた研修を分けて書き出します。第7条の2の機会として数える範囲は、条例と所管の案内で確かめます。

  2. 職員区分ごとに、参加できる機会があるかを見る

    常勤、短時間勤務、非常勤の職員のそれぞれが、勤務の扱いを含めて参加できる形かを確認します。

  3. 参加の方法を決めて、周知する

    勤務時間内の扱い、代替の職員の配置、費用の負担を決め、職員に伝えます。

  4. 実施と参加の記録を残す

    条文は記録の様式を定めていませんが、機会を確保したことを後から示せるように、日付と参加者を残します。

  5. 条例の文言と所管の案内で照らす

    国の省令と条例の文言を並べ、研修について自治体が追加で示している内容がないかを確かめます。

よくある質問

保育所は、職員に研修を受けさせる義務がありますか。

第7条の2第2項は、児童福祉施設に、職員の資質の向上のための研修の機会を確保しなければならないと定めています。受講を義務づける定めではなく、機会の確保が義務です。実際の運用は、所在地の条例と所管の案内で確認してください。

職員が自分で研修を探して受ければ、施設の義務は果たされますか。

条文は、施設に機会の確保を求めています。職員個人の自己研鑽は第1項で別に求められているため、個人の受講だけで施設の義務を満たせるかは、この条文からは分かりません。所管の自治体に確認してください。

研修は年に何回行う決まりですか。

第7条の2には、回数や時間数の定めがありません。条例や所管の案内に定めがないかを確認してください。

第7条の要件を満たさない職員は、採用できませんか。

この記事では、そうとは言えません。第7条は職員の要件を挙げる条ですが、個別の採用の可否を判断する基準は書かれていません。労務に関わる判断は、専門家に相談してください。

この記事で、自園の研修が基準に適合しているか分かりますか。

分かりません。この記事は条文の構造の説明で、適合の判定や指導監査の結果の見込みを示すものではありません。所管の自治体に確認してください。

確認したうえで、公定価格を試算する

確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。職員の要件や研修の適合は、試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

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