解説

保育園の業務管理体制の整備と届出(法令遵守責任者・施設数別の基準・届出先)

施設型給付を受ける保育園の設置者が、子ども・子育て支援法第55条で求められる業務管理体制の整備と届出を整理します。確認を受けている施設の数による整備の基準、届書に書く事項、届出先の3区分、届出後の報告や立入検査、勧告までを確認できます。

業務管理体制の整備は、確認を受けた設置者の義務

子ども・子育て支援法第55条第1項は、特定教育・保育施設の設置者などの特定教育・保育提供者に、業務管理体制の整備を求めています。

整備の目的は、第33条第6項などの義務の履行を確保することです。

第33条第6項は、設置者に、子どもの人格を尊重し、この法律と命令を守り、誠実に職務を行うよう定めています。

市町村の確認を受けた保育園の設置者は、園の規模にかかわらず、業務管理体制を整える立場にあります。

ここでいう特定教育・保育提供者には、特定教育・保育施設の設置者のほか、特定地域型保育事業者と特定乳児等通園支援事業者が含まれます。この記事は、保育園の設置者を中心に整理します。確認を受けていない認可外の施設は、この条文の対象外です。

整備する内容は、確認を受けている施設・事業所の数で決まる

整備の基準は、子ども・子育て支援法施行規則第45条が定めています。

基準は、設置者が確認を受けている施設または事業所の数で3つに分かれます。

数えるのは法人の園の数ではなく、確認を受けている施設・事業所の数です。

数が増えるほど、整備すべき内容が積み上がります。

確認を受けている施設・事業所の数別の整備の基準(施行規則第45条、確認日 2026-10-18)
確認を受けている施設・事業所の数法令遵守責任者の選任法令に適合するための規程の整備業務執行の状況の定期的な監査
1以上20未満必要条文上は求められない条文上は求められない
20以上100未満必要必要条文上は求められない
100以上必要必要必要

1つの園を運営する法人も、法令遵守責任者の選任は必要です。

規程の整備が加わるのは20以上、定期的な監査が加わるのは100以上です。

規程や監査の中身の細かい決まりは、条文にはありません。

届出は、遅滞なく、届書で行う

業務管理体制の整備について、設置者は遅滞なく、届書を提出します(施行規則第46条第1項)。

書く事項は、施設の数に応じて増えます。

届書に書く事項(施行規則第46条第1項、確認日 2026-10-18)
事項書く必要がある設置者
事業者の名称または氏名、主たる事務所の所在地、代表者の氏名・生年月日・住所・職名すべて
法令遵守責任者の氏名・生年月日すべて
法令に適合するための規程の概要確認を受けている施設・事業所が20以上
業務執行の状況の監査の方法の概要確認を受けている施設・事業所が100以上

届書の様式や提出方法は、届出先の自治体が案内しています。様式の細かい点は、この記事では扱いません。届出先の窓口で最新の様式を確認してください。

届出先は、確認を受けた施設の所在地で3つに分かれる

届出先は、第55条第2項が3つに分けています。

確認に係る施設・事業所がどの区域にあるかで、届出先が決まります。

保育園を1つの市町村だけで運営している設置者は、その市町村長に届け出ます。

届出先の区分(子ども・子育て支援法第55条第2項、確認日 2026-10-18)
確認に係る施設・事業所の所在地届出先
すべてが1つの市町村の区域にある市町村長
2つ以上の都道府県の区域にある内閣総理大臣
上の2つ以外(1つの都道府県内で、2つ以上の市町村にある場合など)都道府県知事

経営情報の報告先と混同しない

経営情報の報告は、所在地の都道府県知事へ行います。業務管理体制の届出は、施設の所在地の広がりで届出先が変わり、1つの市町村だけなら市町村長です。

届出先は、確認を受けているすべての施設・事業所の所在地を並べて、3つの区分のどれに当たるかで決める。経営情報の報告先は『経営情報等の報告は、誰が・いつ・どこへ行うか』で確認できます。

届け出た後に変わったとき

届け出た事項に変更があったときは、遅滞なく、届け出た先に変更を届け出ます(第55条第3項、施行規則第46条第2項)。

法令遵守責任者が代わったときが、その例です。

届出先の区分が変わるときは、手続が増えます。

施設の所在地の広がりが変わって届出先の区分が変わった場合は、変更後の届書を、変更後の届出先と変更前の届出先の両方に届け出ます(第55条第4項、施行規則第46条第3項)。

施設の数が20や100をまたぐと、届書に書く事項が増えます。

変更の届出が要るかは、届出先に確認してください。

届出の後は、報告・立入検査・勧告がある

届出の後も、必要があると認められれば、報告の命令や立入検査、勧告が行われます。

届出を受けた市町村長等は、必要があると認めるときに、設置者に報告や帳簿書類の提出を命じたり、職員が質問や立入検査をしたりできます(第56条第1項)。

業務管理体制が基準に従って整備されていないと認めるときは、期限を定めて、整備するよう勧告できます(第57条第1項)。

  1. 勧告

    期限を定めて、基準に従って体制を整備するよう求められます。

  2. 公表

    勧告に従わなかったときは、その旨が公表されることがあります(第57条第2項)。

  3. 命令と公示

    正当な理由なく措置をとらなかったときは、措置をとるよう命じられ、命令したことが公示されます(第57条第3項・第4項)。

命令に違反した場合の確認への影響などは、この記事では扱いません。実際の運用は、届出先の自治体に確認してください。

園で確認しておく順序

  1. 確認を受けている施設・事業所の数を数える

    法人が運営する園のうち、確認を受けているものを数えます。20と100が、整備すべき内容の境目です。

  2. 届出先の区分を決める

    確認を受けているすべての施設・事業所の所在地から、市町村長・都道府県知事・内閣総理大臣のどれに当たるかを決めます。

  3. 届出済みかと、届出の内容が今も合っているかを確かめる

    届書に書いた法令遵守責任者が今も在籍しているか、届書に書いた事項が変わっていないか、届出先の区分が変わっていないかを確認します。届け出た事項や区分が変わっていれば、変更の届出が要ります。届出済みかどうかは、届出先の窓口に確認してください。

次に知りたいこと:経営情報の報告、指導監査、認可と確認の違い

業務管理体制の届出を押さえたら、毎年の報告、監査での確認事項、認可と確認の関係の順に見ます。

毎事業年度の報告は『経営情報等の報告は、誰が・いつ・どこへ行うか』、指導監査で見られる点は保育所の指導監査で確認される事項と関連記事の対応表、認可と確認の違いは保育所の「認可」と「確認」の違い(両方必要な理由)で整理しています。

よくある質問

園が1つだけの法人でも、法令遵守責任者を選任しますか。

施行規則第45条は、確認を受けている施設・事業所が1以上20未満の設置者にも、法令遵守責任者の選任を求めています。園長が兼ねてよいかなど、人の要件は条文に書かれていないため、届出先に確認してください。

法人が運営する園の数が20を超えれば、規程が必要ですか。

数えるのは、確認を受けている施設・事業所の数です。20以上になると、法令に適合するための規程の整備が加わります。園の数と確認を受けている数が違う場合は、確認を受けている数で判断します。

届出をしていないと、公定価格は減りますか。

条文には、未届出を公定価格の減算とする定めはありません。この記事では、届出と減算の関係は判定しません。公定価格の減算は『減算4項目は、いつから・どう計算されるか』で確認できます。

この記事で、自園の届出が足りているか判定できますか。

できません。この記事は、法令の定めを整理したものです。届出済みかどうか、様式、運用は、届出先の自治体に確認してください。

公定価格を試算する

所在地、利用定員、年齢別の園児数を入力します。業務管理体制の整備や届出の有無は、試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

  • 公定価格とは・決まり方:保育所の計算方法と基本分単価の内訳

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    関連する理由:

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    家庭的保育事業の公定価格にある「食事の提供について自園調理又は連携施設等からの搬入以外の方法による場合」の調整を、留意事項通知の別紙5と家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準の第15条・第16条から整理します。調整の対象、搬入施設の範囲、認定の主体、調整額の算定対象を確認できます。

    関連する理由: 共通する試算入力

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    家庭的保育事業の公定価格にある「土曜日に閉所する場合」の調整を、留意事項通知の別紙5から整理します。閉所とみなす場合、共同保育で開所扱いになる場合、認定の主体と申請、調整額の決まり方を確認できます。

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    保育所の職員の要件と研修の機会の確保について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第7条と第7条の2を整理します。職員個人の努力と施設の義務の違い、条文が決めていないこと、点検の順序を条文に沿って確認できます。

    関連する理由: 共通する試算入力

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