解説

一時預かり事業の補助は、公定価格の加算に含まれるか

一時預かり事業は、公定価格(施設型給付費・委託費)とは別に、交付金の要件で扱われる地域子ども・子育て支援事業です。実施が加算や弾力運用の要件になる場面との違いを、法律と通知で確認します。

一時預かり事業は、公定価格とは別の章に置かれた制度

一時預かり事業は、家庭で保育を受けることが一時的に困難となった乳児・幼児などを、保育所や認定こども園などで一時的に預かる事業です。

この事業は、子ども・子育て支援法第59条が定める「地域子ども・子育て支援事業」の一つ(第10号)で、施設型給付費を定める第27条とは、法律上別の章に置かれています。

子ども・子育て支援法は、施設型給付費(第27条)を第二章「子ども・子育て支援給付」に、一時預かり事業を含む地域子ども・子育て支援事業(第59条)を第四章に、それぞれ分けて規定しています。私立保育所の委託費は同法附則第6条に基づくもので、その根拠は『私立保育所が委託費を受け取る根拠』で説明しています。第59条第10号は、この事業を児童福祉法第6条の3第7項に規定する一時預かり事業と定めています。

補助は、公定価格の告示ではなく交付金の側で扱われる

こども家庭庁が公開する制度説明資料(令和4年7月版)は、地域子ども・子育て支援事業を、市町村が実施し、国と都道府県が交付金を交付できる事業として整理しています。

公定価格の加算の通知が、一時預かり事業を「子ども・子育て支援交付金に係る要件に適合しており」という条件つきで挙げていることは、この事業の要件と補助が交付金の側にあることを示しています。

これに対し、公定価格は、告示が定める基本分単価に各種加算・減算を加減して算定する、別の仕組みです。委託費の経理通知は、一時預かり事業を「『一時預かり事業の実施について』(令和6年3月30日5文科初第2592号、こ成保第191号)に定める一時預かり事業」として引用しています。

「実施していること」が要件を満たす事業等になる公定価格の3つの加算

公定価格の留意事項通知は、保育所の3つの加算で、一時預かり事業(一般型)を、実施していれば要件を満たす事業等の一つとして挙げています。

問われるのは「一時預かり事業を、交付金の要件に適合する形で実施しているという事実」であり、一時預かり事業の補助額が加算として上乗せされるわけではありません。

一時預かり事業(一般型)を事業等の一つとして挙げる保育所の加算
加算通知での書き方
主任保育士専任加算主任業務に専任させるための代替保育士の配置に加え、通知が挙げる事業等を複数実施する施設が対象
事務職員雇上費加算事務職員の配置に加え、通知が挙げる事業等のいずれかを実施する施設が対象
高齢者等活躍促進加算高齢者等の雇用に関する要件に加え、通知が挙げる事業等のいずれかを実施していることが必要

一時預かり事業(一般型)は、いずれの加算でも、交付金に係る要件に適合していることに加え、月の平均対象子どもが1人以上いることが求められています。

通知には、年度当初から事業を開始する場合と、要件を満たした月以降の取り扱いも書かれています。そのため、主任保育士専任加算・事務職員雇上費加算・高齢者等活躍促進加算の確認記事で、認定内容と照らして確認します。

通知は、平成21年6月3日付けの通知以前に定める一時保育促進事業の要件を満たしていると認められ、実施しているものも、当分の間は一時預かり事業(一般型)に含むとしています。呼び名が「一時保育」でも当たるかどうかは、事業の要件によるため、所在地の市町村に確認してください。

実施していることが、委託費の弾力運用の条件になる場合もある

私立保育所の委託費の経理通知は、委託費を施設・設備の整備などに充てられる場合を定めています。対象は、別表1に掲げる事業等のいずれかを実施し、弾力運用の要件を満たす保育所です。充てられるのは、同一の設置者が設置する保育所等の整備などで、一定の範囲内に限られます。

別表1には、延長保育事業や、「一時預かり事業の実施について」に定める一時預かり事業などが挙げられています。

「一時預かりの実施」と「一時預かり事業の補助」を混同しない

上の加算も、弾力運用の条件も、一時預かり事業を実施しているという事実を確認するものです。一時預かり事業の補助額が、公定価格の加算の計算に含まれるわけではありません。

一時預かり事業の補助単価・申請方法は、公定価格の告示ではなく、所在地の市町村が示す交付の要件を確認する。弾力運用の枠組みは委託費の弾力運用で説明しています。国の実施要綱が定める一般型の対象児童と職員配置は、一時預かり事業実施要綱(一般型)の対象児童と職員配置(保育従事者2名・保育士1/2以上の原則と例外、令和7年3月31日の第一次改正)で整理しています。

試算での扱い

この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行い、一時預かり事業の補助額は試算に含みません。

3つの加算は、市町村から受けた認定の内容を確認したうえで入力する方式で、一時預かり事業を実施しているかどうかから加算の対象かを試算が判定することはありません。

この試算は、一時預かり事業の補助を計算する仕組みを持ちません。金額の見込みが必要な場合は、所在地の市町村(子育て支援担当課)へ直接確認してください。同じく公定価格とは別制度の延長保育事業は『延長保育事業の補助は、公定価格の加算に含まれるか』で説明しています。

よくある質問

一時預かり事業の補助額は、この試算の結果に含まれますか。

含まれません。一時預かり事業は公定価格(施設型給付費・委託費)とは別の地域子ども・子育て支援事業で、交付金の要件で扱われます。

一時預かり事業を実施していると、公定価格の加算が増えますか。

主任保育士専任加算・事務職員雇上費加算・高齢者等活躍促進加算では、一時預かり事業(一般型)が、要件を満たす事業等の一つとして挙げられています。ただし実施の事実を確認するもので、一時預かり事業の補助額が加算に上乗せされるわけではありません。ほかの要件を満たすかどうかは、市町村の認定内容で確認します。

「一時保育」と「一時預かり事業」は同じものですか。

通知は、平成21年6月3日付けの通知以前に定める一時保育促進事業の要件を満たして実施しているものも、当分の間は一時預かり事業(一般型)に含めると定めています。呼び名の同一性を定めたものではないため、「一時保育」という呼び名で実施している場合は、通知が定める要件に当たるかを所在地の市町村に確認してください。

一時預かり事業の補助単価は、どこで確認できますか。

公定価格の告示ではなく、交付金の要件に基づいて扱われる事業です。補助単価・申請方法は、所在地の市町村(子育て支援担当課)へ直接確認してください。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(施設型給付費・委託費)を試算します。

一時預かり事業の補助額は試算に含まれないため、別途所在地の市町村へ確認してください。

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ほかの解説

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