解説

認可保育所を民間の賃貸物件で設置できる条件(4点)

社会福祉法人以外の株式会社などが、民間の貸主から土地・建物を借りて認可保育所を設置するときの条件を、国の通知「不動産の貸与を受けて保育所を設置する場合の要件緩和について」で整理します。登記の原則と例外、賃借料の水準、資金の保有、収支予算書への計上の4点です。自治体ごとの運用は別に確認します。

民間の賃貸物件でも、通知の条件を満たせば認められる

認可保育所の経済的基礎の要件では、保育所に必要な物件は、原則として所有しているか、国または地方公共団体から借りていることとされています。民間の貸主から借りる物件はこの原則にあてはまりません。ただし、国の通知「不動産の貸与を受けて保育所を設置する場合の要件緩和について」は、条件を満たす場合に民間の貸主からの貸与を認めています。

社会福祉法人以外の者は、土地または建物を国・地方公共団体以外の者から借りていても差し支えないとされ、そのための条件が4点示されています。

経済的基礎の全体(物件・資金・財務の3要件)は『株式会社が認可保育所を設置するときの「経済的基礎」の中身』で説明しています。この記事は、そのうち物件の要件の例外にあたる賃貸物件の条件だけを扱います。

通知が示す4つの条件

社会福祉法人以外の者が賃貸物件で保育所を設置するときの条件(通知 第1の3)
条件通知の内容
登記借りている土地・建物には、原則として地上権または賃借権を設定し、登記する。登記しなくてもよいのは、安定的な事業の継続性が図られると判断できる場合(例: 建物の賃貸借期間が契約で10年以上、貸主が地方住宅公社に準ずる法人や地域の基幹的交通事業者等の信用力の高い主体)
賃借料の水準地域の水準に照らして適正な額以下であること
賃借料の財源と資金の保有安定的に賃借料を支払える財源があること。あわせて、1年分の賃借料と、1,000万円(1年分の賃借料が1,000万円を超える場合はその賃借料相当額)を基本として、事業規模に応じ、安定的に運営できると都道府県等が認めた額の合計額を、普通預金・定期預金・国債等で保有すること
収支予算書賃借料とその財源が、収支予算書に適正に計上されていること

登記は原則で、賃貸借期間10年以上などの場合は省略できます。賃借料は地域の水準以下にとどめ、資金の保有と収支予算書への計上が加わります。

登記の例外と、資金の減額は、通知に書かれた範囲で認められる

  1. 登記を省略できる例

    通知は、次のいずれかに当たる場合などを、安定的な事業の継続性が図られると判断できる例に挙げています。建物の賃貸借期間が賃貸借契約で10年以上とされている場合。貸主が、地方住宅公社もしくはこれに準ずる法人、または地域における基幹的交通事業者等の信用力の高い主体である場合。

  2. 資金を減額できる場合

    資金のうち1,000万円を基本とする部分については、地上権・賃借権の登記、賃貸借契約期間の長さなど施設使用の安定性の高さ、申請者の総合的な財政力、公的補助による継続的な賃借料補助、これまでの施設の経営実績などを勘案し、賃貸施設でも安定的に事業経営が認められる場合に、2分の1を目途とする範囲内で減額して差し支えないとされています。

通知の減額の定めは、1,000万円を基本とする部分についてのものです。1年分の賃借料に相当する額は、通知上は別に保有する額として示されています。実際にいくらの資金が必要と認められるかは、都道府県等が事業規模に応じて判断します。

資金の額は通知の数字だけでは決まらず、都道府県等が認めた額になります。

自治体ごとに確かめること

全国共通の部分と、自治体へ確認する部分
項目全国共通(国の通知)自治体ごとに確認
登記原則は登記。賃貸借期間10年以上などの例外がある例外を認める範囲、登記の代わりに求める書類
資金の保有1年分の賃借料と、1,000万円を基本に都道府県等が認めた額認める額の考え方、残高の示し方
賃借料の水準地域の水準に照らして適正な額以下適正とみなす水準の確認方法

通知は国から都道府県・指定都市・中核市へ宛てた技術的な助言です。実際の審査の基準や提出書類は、申請先の自治体が定めます。賃貸物件で設置を考えるときは、物件を決める前に、所在地の自治体の保育主管課へ事前に確認してください。

通知の4点を土台に、書類の種類と認める額は自治体ごとに確かめます。

所在地・定員・年齢別の人数から基本分単価を試算し、賃借料を含めた年間の収支を考える出発点にできます。試算は目安であり、認可の可否を判断するものではありません。

年間の収入見込みを公定価格で試算する

よくある質問

民間のビルを借りて認可保育所を設置できますか。

通知の条件を満たせば、社会福祉法人以外の者でも民間の貸主から借りて設置して差し支えないとされています。登記・賃借料・資金保有・収支予算書への計上が条件で、個別の可否は申請先の自治体が審査します。

賃貸借期間が10年未満だと認可は受けられませんか。

10年未満でも受けられないと決まるわけではありません。通知は、期間10年以上を登記を省略できる例の1つとしているだけで、登記をすれば原則どおりの扱いになります。実際の取扱いは申請先の自治体に確認してください。

社会福祉法人の場合も同じ条件ですか。

同じではありません。通知は、既設法人、既設法人以外の社会福祉法人、社会福祉法人以外の者で扱いを分けています。この記事は社会福祉法人以外の者の条件です。

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