知事の権限は、調査、勧告、公表、命令の順に強くなる
児童福祉法第59条は、都道府県知事が児童の福祉のため必要があると認めるときに、認可や届出のない保育施設へ行える措置を定めています。
措置は、報告と立入調査、勧告、勧告に従わない場合の公表、事業の停止や施設の閉鎖の命令の順に進みます。
条文は、一つの条に9つの項を並べる形です。
| 項 | 措置 | 条文が書く内容 |
|---|---|---|
| 第1項 | 報告の徴収・立入調査 | 設置者や管理者に必要な事項の報告を求める。職員に施設へ立ち入らせ、設備や運営について調査や質問をさせる。身分を証明する証票を携帯させる |
| 第3項 | 勧告 | 設置者に、施設の設備や運営の改善その他の勧告ができる |
| 第4項 | 公表 | 勧告を受けた設置者が従わなかったときに、その旨を公表できる |
| 第5項 | 事業の停止・施設の閉鎖の命令 | 都道府県児童福祉審議会の意見を聴いて、事業の停止または施設の閉鎖を命じる |
| 第6項 | 緊急時の命令 | 児童の生命や身体の安全の確保のため緊急を要し、審議会の意見を聴くいとまがないときは、その手続を経ずに第5項の命令をする |
| 第9項 | 命令の公表 | 第5項の命令をした場合に、その旨を公表できる |
第2項、第7項、第8項は、手続のための定めです。第2項は、立入調査の規定の準用です。第7項は、勧告や命令のために他の都道府県知事へ情報の提供を求めること、第8項は、勧告や命令をしたときに施設の所在地の市町村長へ通知することを定めています。
対象は、児童福祉法の保育などの業務を目的とし、届出や認可を受けていない施設
第59条第1項が対象にするのは、児童福祉法が定める保育を含む児童福祉の業務(第6条の3第9項から第12項まで、第36条から第44条まで。第39条の2を除く)を目的とする施設のうち、必要な届出をしていないもの、または認可を受けていないものです。
認可を取り消された施設も、対象に含まれると書かれています。
認可を受けた保育所への調査や改善勧告、事業の停止の命令は第46条に、認可の取消しは第58条に、それぞれ別に定められています。
第59条の対象かどうかは、施設の種類と届出の状況で決まる
条文は、対象になる施設を、児童福祉法の条番号を引く書き方で定めています。個々の施設が対象に当たるかは、施設の事業の内容と届出や認可の状況を条文に当てはめて決まります。
自園や身近な施設が対象に当たるかは、所在地の都道府県や指定都市、中核市の担当窓口で確認します。この記事は個別の判定をしません。
命令は審議会の意見を聴いてから。緊急時だけ手続を省ける
事業の停止や施設の閉鎖の命令は、都道府県児童福祉審議会の意見を聴いて出します(第5項)。
児童の生命や身体の安全を確保するため緊急を要する場合で、あらかじめ審議会の意見を聴くいとまがないときは、その手続を経ずに命令できます(第6項)。
命令をしたときは、その旨を公表できます(第9項)。
| 段階 | 手続の要件 |
|---|---|
| 勧告 | 児童の福祉のため必要があると認めるとき。審議会の意見を聴くことは、条文に書かれていない |
| 勧告に従わなかった場合の公表 | 勧告を受けた設置者が従わなかったとき |
| 事業の停止・施設の閉鎖の命令 | 都道府県児童福祉審議会の意見を聴く |
| 緊急の命令 | 児童の生命や身体の安全の確保のため緊急を要し、審議会の意見を聴くいとまがないとき |
設置の届出は、第59条の2で別に定められている
認可を受けていない保育施設の設置者には、第59条の2が届出を求めています。
事業の開始の日から1か月以内に、施設の名称と所在地、設置者の氏名と住所、建物その他の設備の規模と構造、事業を開始した年月日、管理者の氏名と住所などを都道府県知事に届け出ます。
届け出た事項のうち内閣府令で定めるものに変更があったとき、または事業を廃止や休止したときも、変更などの日から1か月以内に届け出ます。
認可を取り消された施設は、起算日が事業の開始の日ではなく、認可の取消しの日になります。
第59条の2は、少数の乳児または幼児を対象とするものなど、内閣府令で定めるものを届出の対象から除いており、その範囲はこの記事では扱いません。届出がされると、知事は施設の所在地の市町村長に通知します。認可外の届出と認可保育所の手続の違いは認可外と認可保育所の手続の違いで整理しています。
確認の順序
調査や勧告の連絡を受ける前に、届出の状況と窓口を確かめておきます。
設置の届出が、事業開始から1か月以内に出されているか確かめる
届出の控えと、届出事項の内容が現在の施設の状況と合っているかを見ます。
届出事項の変更、事業の廃止や休止があったとき、1か月以内に届け出る流れがあるか確かめる
変更が起きたとき、誰がいつ届出をするかを、園内で決めてあるかを見ます。
報告の求めや立入調査の連絡を受ける窓口と、対応する職員を決めてあるか確かめる
職員が来訪したときに、請求があれば証票を提示してもらい、調査や質問に応じる流れを見ます。
勧告を受けたとき、改善の内容と期限を、都道府県の担当窓口に確かめる
勧告の内容は条文では決まっていないため、窓口が示す内容を記録して対応します。
この記事・試算で扱わないこと
この記事は、児童福祉法第59条と第59条の2の条文の説明で、個別の施設が対象に当たるかや、勧告や命令を受けるかどうかの判断は行いません。
立入調査の頻度や指導監督の基準は、都道府県や市の運用で、記事では扱いません。
試算ツールも、認可外保育施設の指導監督は対象外です。
よくある質問
- 認可外保育施設に、立入調査をするのは誰ですか。
児童福祉法第59条第1項は、都道府県知事が、職員に施設へ立ち入らせて調査や質問をさせることができると定めています。その職員は、身分を証明する証票を携帯します。
- 勧告に従わないと、どうなりますか。
第59条第4項は、勧告に従わなかったときに、都道府県知事がその旨を公表できると定めています。さらに、児童の福祉のため必要があるときは、審議会の意見を聴いて、事業の停止や施設の閉鎖を命じることができます(第5項)。
- 事業の停止命令は、必ず審議会の意見を聴いてから出しますか。
原則は、都道府県児童福祉審議会の意見を聴きます。ただし、児童の生命や身体の安全の確保のため緊急を要し、意見を聴くいとまがないときは、その手続を経ずに命令できます(第6項)。
- 認可外保育施設は、いつまでに届出が必要ですか。
第59条の2は、事業の開始の日から1か月以内に、都道府県知事への届出を求めています。ただし、少数の乳児または幼児を対象とするものなど、内閣府令で定めるものは、届出の対象から除かれます。
- この試算ツールで、認可外保育施設への指導監督を確認できますか。
できません。この試算は公定価格(委託費)の算定に特化しており、認可外保育施設の指導監督は対象外です。
自園の条件で試算する
次に知りたいこと:認可保育所の側の監査での確認項目は指導監査の確認表、保育所の重大事故の報告先と期限は保育所の重大事故の報告で整理しています。
ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 児童福祉法
昭和22年法律第164号/複数年度対象外/確認日 2026-09-23
- 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第59条・第59条の2
昭和22年法律第164号/対象外対象外/確認日 2026-10-17