解説

補助金で整備した保育所の転用・譲渡・取壊しに必要な財産処分の承認

補助金で整備した保育所を転用・譲渡・貸付・取壊しするときの財産処分の承認と国庫納付の考え方を、こども家庭庁の承認基準の原文に沿って整理します。個別の可否は判定しません。

補助金で取得した施設を目的外に使うときは、国の承認が要る

施設整備の補助金を受けて取得した保育所の建物や設備を、補助の目的に反して使ったり、譲ったり、貸したり、取り壊したりすることを「財産処分」といいます。

財産処分をするときは、補助金等適正化法第22条に基づく承認が必要で、承認基準はこども家庭庁が定めています。

事業譲渡や廃止を検討するときは、この承認の要否も確認の対象になります。

承認基準が定める財産処分の種類
種類意味
転用所有者は変わらず、補助の目的以外に使う
譲渡所有者が変わる
交換他人が持つ別の財産と取り替える
貸付所有者は変わらず、使う人が変わる
取壊し・廃棄施設は取壊し、設備は廃棄する

出典は、こども家庭庁所管補助金等に係る財産処分承認基準で、近畿厚生局が公開するPDFの本文を2026-10-16に確認しました。

基準は補助金を受けた施設の全体に共通する内容で、保育所に限った記載ではありません。

承認が要らない場合と、報告だけで済む場合

施設の業務時間外や休日に、本来の事業に支障のない範囲で一時的に他の用途に使う場合は、財産処分に当たらず、手続は要りません。

承認基準は、このほかに報告だけで承認があったものとみなす「包括承認事項」を定めています。

  1. 地方公共団体が行う処分

    地域で同種の社会資源が充足しているとの地方公共団体の判断の下で、地方公共団体が経過年数10年以上の施設等について行う財産処分(有償譲渡と有償貸付を除く)です。民間の運営者が行う処分は、この項目の対象ではありません。

  2. 市町村合併の計画に基づく処分

    地方公共団体が行う処分で、経過年数が10年未満でも、市町村建設計画または合併市町村基本計画に基づくものは対象です。

  3. 災害・火災・危険な状態の施設の取壊し

    災害や火災で使えなくなった施設、立地上または構造上危険な状態にある施設の取壊しや廃棄は対象です。民間の運営者が行う処分で当てはまるのは、この項目です。

報告だけで済むかどうかを、自分で決めない

包括承認事項でも、報告の記載事項に不備があれば承認があったものとは扱われません。

経過年数は補助目的のために事業を実施した年数で、処分制限期間(耐用年数)とは別の数え方です。

自園の施設が包括承認事項に当たるかは、整備の補助を扱った市区町村・都道府県と地方厚生局に確認する。

国庫納付が付くか、付かないか

承認を受けるときは、財産処分納付金を国庫に納めることが条件になる場合があります。

地方公共団体以外の者が行う処分では、基準に列挙された場合以外は、国庫納付の条件を付けて承認されます。

なお、条件が付かない場合の一部は、地域で同種の社会資源が充足していることが前提です。

地方公共団体以外の者が行う処分で、国庫納付の条件が付かない場合
場合基準の定め
災害等による取壊し包括承認事項のうち、災害等の取壊し
経過年数10年以上の施設等転用・無償譲渡・無償貸付の後、別表に掲げる事業に使う場合など
同一事業を10年以上継続する場合無償譲渡または無償貸付
やむを得ない取壊し等道路の拡張整備など設置者の責に帰さない事情、または老朽化で代替施設を整備する場合

上の表は基準の要点を並べたもので、すべての条件を含みません。

上に当たらない転用、譲渡、貸付、交換、取壊しは、国庫納付の条件を付けて承認されます。

条件が付かない承認でも、承認から10年(残りの処分制限期間が10年未満ならその期間)は、承認を受けずに再び処分できない条件が付く場合があります。

有償で譲る・担保に入れる場合の考え方

有償で譲渡や貸付をする場合の納付金には、2つの計算方法があります。

一定の場合は、譲渡額または貸付額に、総事業費に対する国庫補助額の割合を乗じて計算し、残存年数納付金額を上限とします。

それ以外は、残存年数納付金額(国庫補助額に、処分制限期間に対する残存年数の割合を乗じた額)になります。

施設を担保に入れる処分は、抵当権が実行されるときに納付金を納めることを条件に承認されます。

対象は、補助財産を取得するときの抵当権と、設定を認めなければ事業を続けられず返済の見込みがある場合です。

土地の財産処分は、原則として、その土地に整備された施設の取扱いと同じです。

手放す・使い方を変える前の確認順

  1. 補助を受けた施設かを確かめる

    施設の整備に国の補助金を使ったかを、交付決定の書類や整備時の記録で確認します。

  2. 処分の種類を決める

    転用・譲渡・貸付・交換・取壊しのどれに当たるかを、上の表で整理します。

  3. 経過年数と処分制限期間を確認する

    経過年数は事業を実施した年数です。処分制限期間の年数は、この基準には書かれていないため、補助を扱った窓口に確認します。

  4. 承認申請と完了報告を行う

    申請は、こども家庭庁長官(事務委任を受けた地方厚生局長または支局長)に出します。間接補助事業者は、補助事業者に申請し、補助事業者が提出します。承認を受けて処分を終えたら、1か月以内に完了の報告をします。

  5. 保育所の側の手続も別に確認する

    廃止・休止の手続は認可保育所の廃止・休止の手続、事業の引継ぎは合併・事業譲渡の試算条件の整理で確認します。

この記事で扱わないこと

この記事は承認基準の紹介で、自園の処分に承認が要るか、納付金がいくらになるかの判断はしません。

処分制限期間の年数、別表に掲げる事業の内容、納付金の具体的な金額は、本文で確認していないため書いていません。

企業主導型保育事業の施設を認可保育所へ移行する場合は企業主導型から認可保育所への移行を、整備費の補助の減価償却の扱いは施設整備費の補助と減価償却の関係を参照してください。

よくある質問

休日だけ保育室を別の用途に貸すのは、財産処分ですか。

承認基準は、業務時間外や休日に、本来の事業に支障のない範囲で一時的に使う場合は、財産処分に当たらず手続は不要としています。

承認を受ければ、納付金は必ず要りませんか。

いいえ。国庫納付の条件が付かない場合は基準に列挙されており、それ以外は条件付きで承認されます。自園の場合は窓口に確認してください。

経過年数と処分制限期間は同じですか。

別のものです。経過年数は補助目的のために事業を実施した年数、処分制限期間は施設や設備ごとの耐用年数にあたる期間です。

この試算ツールで財産処分の納付金を計算できますか。

できません。この試算は公定価格の算定に特化しており、財産処分の承認や国庫納付は対象外です。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、この試算に含まれない項目が表示されます。

公定価格の試算を開く

この記事も試算も、承認基準の本文を確認した範囲だけを扱います。財産処分の承認や国庫納付の可否の判断は、補助を扱った窓口と所轄の地方厚生局へお問い合わせください。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

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    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

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