整備の国庫補助と公定価格の加算は、別建ての制度
保育所の建物を新設・改修するときの国の財源には、大きく二つの経路があります。
一つは、市区町村の整備計画に基づいて施設整備の費用に交付される国庫補助(就学前教育・保育施設整備交付金)、もう一つは、自己所有の建物について毎年の公定価格へ加算される減価償却費加算です。こども家庭庁の令和8年度資料は、前者を市区町村等に交付される交付金として整理しており、公定価格(施設型給付費・委託費)の算定とは別の仕組みです。
整備の国庫補助は建物の整備に要する費用そのものへの支援、減価償却費加算は整備後の運営費(公定価格)への上乗せです。どちらか一方を使えば他方が自動的に不要になるわけではなく、組み合わせ方が要件で制限されています。
減価償却費加算は、整備に国庫補助を受けていないことが要件の一つ
公定価格の留意事項通知(保育所の別紙2「減価償却費加算」)は、加算の認定要件の一つとして、建物の整備・改修にあたって、施設整備費または改修費等の国庫補助金の交付を受けていないことを挙げています。要件は他にもあり、建物が自己所有であること、建設・購入の資金が発生していること、賃借料加算の対象でないことが並びます。
整備費の国庫補助を受けた建物で、減価償却費加算を見込まない
建物の整備・改修で施設整備の国庫補助を受けた建物は、この要件に当たらない可能性があります。補助を受ける前提で資金計画を組み、同じ建物の減価償却費加算も収入に見込むと、認定されず収支が合わなくなるおそれがあります。
整備計画の段階で、補助の活用と減価償却費加算の認定を、所轄の市区町村へ同時に確認する。
補助を受けて建てた建物にも、改修で加算を認められる例外がある
留意事項通知には、国庫補助を受けて建設した建物について、整備後に一定の年数が経過してから行う改修等が、通知の定める要件をすべて満たす場合は、上の要件に該当するものとして差し支えないという例外の定めがあります。要件には、老朽化等を理由に改修等が必要だったと市町村が認めること、その改修等に国庫補助を受けていないこと、改修等の費用が通知の定める規模以上であることが含まれます。
市町村が必要性を認めること
老朽化等を理由とする改修等であることを、市町村が認める必要があります。施設側の判断だけでは足りません。
改修等そのものに国庫補助を受けていないこと
例外で救われるのは、改修等を自己資金で行う場合です。改修等にも国庫補助を受けると、この例外には当たりません。
費用の規模の基準
改修等の費用は、建物の延べ面積に応じた基準と金額の下限を満たす必要があります。具体的な計算式と金額は、申請年度の通知の原文で確認してください。
例外に当たるかどうかの判断、および「一定の年数」がどれだけかは、この記事では判定しません。年数の明記は通知の該当箇所で確認できていないため、所轄の市町村に確認してください。
確認する順番
補助の利用を決める前に、減価償却費加算への影響を市区町村へ確認します。次の3段階で進めます。
1. 所在市区町村の整備計画で、対象事業と実施の有無を確認
整備交付金は、市区町村が策定する整備計画等に基づき交付されます。実施主体は原則として市区町村で、対象事業は国の資料で整理されています。自園の計画が対象になるかは市区町村が確認します。
2. 補助を受けた場合に、減価償却費加算がどう扱われるか確認
認定は施設所在地の市町村長が行います。補助の利用を決める前に、加算の認定に与える影響を確認します。
3. 試算では、市町村の認定内容を入力する
試算は、認定を受けた区分(標準/都市部)を入力として受け取ります。要件への適合は判定しません。
よくある質問
- 施設整備の国庫補助を受けたら、減価償却費加算は一切受けられませんか。
その建物の整備・改修に国庫補助を受けた場合は、加算の要件の一つに当たらなくなります。ただし、補助を受けて建てた建物でも、整備後に一定年数が経過してから自己資金で行う改修等が通知の定める要件を満たす場合は、例外の定めがあります。当てはまるかは市町村に確認してください。
- この記事や試算で、整備の補助額や加算が受けられるかを判定できますか。
できません。この試算は、市町村が認定した区分を入力して公定価格を計算するもので、国庫補助の要件や補助額、認定の可否は扱いません。
- 整備の国庫補助は、どこに相談すればよいですか。
整備交付金は市区町村の整備計画に基づいて交付されるため、所在市区町村の保育担当課が窓口です。年度ごとに条件が変わるため、申請する年度の案内を確認してください。
自園の条件で試算する
市町村の認定内容を確認したうえで、区分(標準/都市部)を選ぶと、減価償却費加算を含めて試算します。整備の国庫補助は試算に含まれないため、あわせて所在市区町村へ確認してください。
公定価格の試算を開くほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について
こ成保38、5文科初第483号(令和5年5月19日。最終改正: こ成保306、8文科初第172号、令和8年4月8日)/令和8年度当初/確認日 2026-08-11
- 令和8年度保育関係予算の概要・参考資料(就学前教育・保育施設整備交付金)
該当なし/令和8年度対象外/確認日 2026-10-01