解説

減価償却費加算の国庫補助要件:別棟・増築・地方単独補助金の扱い

減価償却費加算は施設整備費等の国庫補助を受けていないことが要件です。同じ敷地内の別棟、新築と増築で補助の有無が分かれる場合、地方単独補助金を受けた場合の扱いを、公定価格FAQ第32版と留意事項通知で整理します。(FAQ No.111・123)

要件は、建物の整備に施設整備費等の国庫補助を受けていないこと

留意事項通知は、保育所の減価償却費加算の要件の一つに、建物の整備・改修に当たって、施設整備費または改修費等の国庫補助金の交付を受けていないことを置いています。ほかに、建物が自己所有であること、建物の整備・改修・取得で建設資金または購入資金が発生していること、賃借料加算の対象になっていないことも要件です。

実際に迷うのは、補助を受けた建物と受けていない建物が同じ園にあるときと、国の補助ではない補助を受けたときです。公定価格に関するFAQ(第32版・令和8年7月24日時点版)のNo.111とNo.123が、この二つの場面を扱っています。

加算の基本の確認は『減価償却費加算の試算(「標準」「都市部」の区分)』、整備後に老朽化で改修した場合の例外は『施設整備の国庫補助を受けた建物と減価償却費加算の関係』で説明しています。

同じ敷地内に補助を受けた施設と受けていない施設があるとき

No.111の答えは、まず加算は施設整備費等の国庫補助金の交付を受けていないものが対象だと述べます。同じ敷地内に補助を受けた施設と受けていない施設が混在するときは、補助を受けていない施設について、加算の要件に該当すれば対象になります。

ただし、同じ敷地内に保育所のほかに別棟で給食室等を建てた場合は、単一の保育施設とみなされます。その場合に国庫補助金の交付を受けているときは、加算の対象になりません。

新築部分と増築部分で補助の有無が分かれるときは、施設全体で見る

同じNo.111は、単一の施設で新築部分と増築部分のうち一方だけが補助を受けた場合も扱っています。答えは、当該施設としては国庫補助を受けているので、加算の対象にならないというものです。

例外として、国庫補助を受けて建てた建物について、整備後一定年数がたってから、老朽化等で改修が必要と市町村が認め、その改修に国庫補助を受けていないなどの要件に当たる場合は、この限りではないとされています。数値を含む要件は、通知の注に定められています。

地方単独補助金は国庫補助金に含まれない。ただし市町村が認定しない判断もできる

No.123は、加算の要件の「国庫補助金」に、地方単独補助金が含まれるかを尋ねています。答えは、含まれません。市町村が独自に出す補助金を受けたことだけで、要件を満たさなくなるわけではありません。

続けて答えは、加算の趣旨に鑑み、地方単独補助金と二重交付にならないよう、市町村の判断で加算の認定をしないという判断も可能だと述べます。過去に地方単独補助金を受けた施設から申請が出たとき、市町村が認定せざるを得ないわけではありません。

FAQ第32版No.111・123の整理(確認日 2026-10-18)
場面FAQの答えの要点FAQの番号
同じ敷地内に補助を受けた施設と受けていない施設がある補助を受けていない施設は、要件に該当すれば対象No.111
同じ敷地内に別棟で給食室等を建てた単一の保育施設とみなす。国庫補助を受けていれば対象外No.111
新築部分と増築部分で補助の有無が分かれる施設としては国庫補助を受けているので対象外。老朽化等による改修は例外ありNo.111
地方単独補助金を受けた国庫補助金には含まれない。市町村の判断で認定しないこともできるNo.123

補助の種類と建物ごとの範囲を整理して、市町村に確認する順序

加算の認定は、施設が所在する市町村長が行います。通知は、認定の申請で、施設名、加算の適用年月、建物の整備・改修・取得の契約書類等を市町村が確認すると定めています。以下の順序は、この記事の整理です。

  1. 建物ごとに補助の有無を書き出す

    本体、増築部分、別棟の給食室などについて、整備や改修のたびに補助を受けたかを整理します。

  2. 補助が国のものか地方単独かを分ける

    交付決定の通知で、補助金の出どころを確かめます。地方単独補助金でも、市町村が認定しない判断をできることを前提にします。

  3. 認定する市町村に確認する

    整理した内容と契約書類を示し、減価償却費加算の対象として認定されるかを確認します。

  4. 試算では認定の結果に合わせる

    市町村から対象と確認された区分で、減価償却費加算を選んで試算します。

次に知りたいこと:賃借料加算との関係と加算の一覧

減価償却費加算は、賃借料加算の対象になっていないことも要件です。自己所有か賃貸かで、見る加算が分かれます。

賃貸物件の加算は『賃借料加算の確認手順(認定通知・地域類型・標準と都市部の区分)』、賃借料の国庫補助を受けた場合は『賃借料加算で前払い・礼金があるときの国庫補助対象期間(公定価格FAQ No.124)』、加算全体の入口は『保育所の公定価格の加算一覧:確認する先で分類』が参考になります。

よくある質問

本体は補助を受けず、増築だけ補助を受けた場合は加算の対象ですか。

FAQ第32版のNo.111は、新築部分と増築部分で補助の有無が分かれていても、施設としては国庫補助を受けているので対象にならないと答えています。

別棟の給食室だけ補助を受けた場合は、別の施設として扱われますか。

同じ敷地内に保育所のほかに別棟で給食室等を建てた場合は、単一の保育施設とみなされるとNo.111が答えています。補助を受けていれば対象になりません。

市町村から地方単独の補助金を受けています。加算は受けられますか。

No.123は、地方単独補助金は要件の国庫補助金に含まれないと答えています。ただし、二重交付とならないよう市町村の判断で認定しないこともできるとされるため、認定する市町村に確認してください。

自園が対象かどうかを、この記事で判定できますか。

できません。この記事は国のFAQの整理です。補助の内容と建物の事情によって変わるため、認定する市町村に確認してください。

公定価格を試算する

試算画面の「減価償却費加算」の欄で、市町村に確認した内容を選びます。補助の有無による加算の対象かどうかの判定は、試算結果に含まれません。

減価償却費加算の欄で試算に反映する

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