解説

保育所の重大事故が起きやすい場面別の注意事項(睡眠中・プール・食事中)

こども家庭庁が掲載する「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」が、重大事故が起きやすい場面として挙げる睡眠中、プール活動・水遊び、食事中と玩具の誤嚥の注意事項を、原文に沿って整理します。ガイドラインは技術的な助言で、条文ではない点も区別します。

ガイドラインは技術的な助言。運営基準が求める事故防止の指針づくりの参考になる

「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」は、死亡や重篤な事故への対応を念頭に置いた、平成28年3月の資料です。

本文には、記載内容は技術的な助言に相当すると書かれています。

特定教育・保育施設等の運営基準(内閣府令第39号)第32条第1項第1号が求める、事故発生防止のための指針を整備する際に、参考とするものと位置づけられています。

ガイドラインは条文ではない

ここでの整理はガイドラインの記載の説明で、自園の対応が適切かどうかの判定ではありません。運営基準第32条の指針・委員会・研修の構造は別の記事にまとめています。

指針・報告体制・委員会と研修は『保育所の事故の防止(指針・報告体制・委員会と研修)と発生時の連絡・記録・損害賠償(運営基準第32条)、体調急変時の緊急対応(第18条)』で整理しています。

重大事故が起きやすい場面は5つ。睡眠中・プール・食事中・玩具・食物アレルギー

ガイドラインは、年齢、場所、活動内容に留意して事故の発生防止に取り組むとしたうえで、特に5つの場面を、重大事故が発生しやすいため注意事項を踏まえて対応する場面に挙げています。

睡眠中、プール活動・水遊び、誤嚥(食事中)、誤嚥(玩具、小物等)、食物アレルギーです。

場面ごとの注意事項の要点(確認日 2026-10-14)
場面ガイドラインの主な記載
睡眠中乳児の窒息リスクを睡眠前と睡眠中に除く。医学的理由で医師にすすめられた場合を除き、顔が見える仰向けに寝かせる。一人にしない。柔らかい布団やぬいぐるみ、ヒモ状のものを置かない。定期的に呼吸・体位・睡眠状態を点検する
プール活動・水遊び専ら監視を行う者とプール指導等を行う者を分けて配置し、役割分担を明確にする。監視者は監視に専念する。十分な監視体制を確保できないときは中止も選択肢とする
誤嚥(食事中)咀嚼・嚥下の発達状況や当日の健康状態を職員で共有する。普段食べている食材も窒息につながりうると認識して介助・観察する。食べているときは継続的に観察する
誤嚥(玩具・小物等)窒息の可能性のある大きさ・形状の玩具は、乳児のいる室内に置かない、または手の届かない場所に置く。窒息の危険があった玩具は施設内で情報を共有し、除去することが望ましい
食物アレルギー医師の診断に基づく生活管理指導表を基に、完全除去を基本とする。献立から提供までの一連の過程で、どこで人的エラーが起きても誤食につながると認識する

睡眠中は、仰向けで一人にせず、呼吸と体位を定期的に点検する

睡眠中の窒息リスクの除去は、睡眠前と睡眠中の両方で行うとされています。

顔が見える仰向けに寝かせることが重要で、何よりも一人にしないこと、寝かせ方への配慮、安全な睡眠環境が事故を防ぐと述べられています。

口の中の異物や嘔吐物の確認も、除去の方法に挙げられています。

点検は、子どもの数と職員の数に合わせて、定期的に呼吸、体位、睡眠状態を見る形で示されています。

他に窒息のリスクに気づいたときは、留意点として記録し、施設内で共有します。

ガイドライン本文は、点検の間隔を何分とするかを示していません。

巻末の参考例には、ある自治体のチェックリストの項目として「午睡時チェックを15分ごとに行っている」があります。これは自治体の例で、ガイドラインが定めた基準ではありません。

プール活動・水遊びは、監視する人と指導する人を分けて、監視に専念させる

ガイドラインは、監視体制に空白が生じないよう、専ら監視を行う者とプール指導等を行う者を分けて配置することを示しています。

役割分担は明確にします。

監視者には、監視エリア全域をくまなく見る、動かない子どもや不自然な動きの子どもを見つける、規則的に目線を動かす、といった注意点が挙げられています。

十分な監視体制を確保できない場合は、プール活動の中止も選択肢とされています。

職員に対しては、見落としがちなリスクの事前教育と、心肺蘇生法などの応急手当、119番通報を含む緊急事態への対応の教育が示されています。

緊急時の体制を整理して共有し、日常で実践的な訓練を行うことも書かれています。

食事中は、子どもごとの食べ方の情報を共有し、食べている間は継続して観察する

食事中の誤嚥では、迅速な気付きと観察、救急対応が不可欠とされています。

職員は、咀嚼・嚥下の機能や食行動の発達、喫食状況を共有し、食事前に保護者から聞き取った当日の健康状態も共有します。

子どもの年齢や月齢によらず、普段食べている食材が窒息につながる可能性があると認識して介助します。

  1. 与え方

    子どもの意志に合ったタイミングで、口に合った量を与える。一度に詰め込ませない

  2. 飲み込みの確認

    飲み込んだことを確かめ、口の中に残っていないか注意する。汁物などの水分を適切に与える

  3. 状態の観察

    驚かせない。食事中に眠くなっていないか、正しく座っているかに注意する

  4. 過去に事故のあった食材

    白玉風のだんごや丸のままのミニトマトなど、誤嚥や窒息の事故が起きた食材は、保護者に説明のうえ使用しないことが望ましいとされている

玩具・小物の誤嚥は、置く場所と身につけている物の確認で防ぐ

口に入れると詰まるおそれのある大きさや形の玩具は、乳児のいる室内に置かないか、手に触れない場所に置くことが示されています。

手先を使う遊びには、部品が外れない工夫をした物を使い、子どもの行動に合わせた物を与えます。

髪ゴムの飾りやキーホルダー、ビー玉、石など、子どもが身につけている物の除去は、保護者の協力を求めると書かれています。

食物アレルギーの場面の詳しい手順は『保育所のアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版):生活管理指導表・完全除去・誤食防止・エピペンの扱い』で整理しています。

日常の点検は、項目を決めて記録し、ヒヤリハットを集めて分析する

ガイドラインは、点検項目をあらかじめ明確にし、定期的に点検して文書で記録し、問題のある箇所を改善して職員に周知することを示しています。

確認行動が重要な場面(食物アレルギーの食事提供、プールの監視、子どもの移動時の人数確認、睡眠時の点検)では、声に出して指差し確認するなど、確実な確認を実践するとされています。

重大事故の防止には、ヒヤリハット報告の収集と分析が活用できる場合があると書かれています。

  1. 5つの場面ごとに、自園で誰が何を見ているかを書き出す

    睡眠、水遊び、食事、玩具、食物アレルギーのそれぞれについて、担当者と見る内容を一覧にします。

  2. 点検の項目と記録の様式があるか確かめる

    睡眠中の点検の記録や、水遊びの監視の担当表など、残している文書を確認します。

  3. ヒヤリハットの集め方と共有の場を確かめる

    報告の様式があるか、職員会議などで分析して改善につなげているかを見ます。

  4. 指針と条例、所管の案内に照らす

    自園の事故発生防止の指針が、これらの場面を扱っているかを確かめ、自治体が独自に示している事項は所管に確認します。

よくある質問

このガイドラインに従わないと、運営基準違反になりますか。

ガイドラインは技術的な助言で、条文ではありません。運営基準が求めるのは事故発生防止のための指針の整備などで、ガイドラインは作成時の参考と位置づけられています。個別の扱いは所管の自治体に確認してください。

睡眠中の点検は、何分おきにすればよいですか。

ガイドライン本文は、間隔の数値を示さず、子どもの数と職員の数に合わせて定期的に点検するとしています。巻末の参考例にある「15分ごと」は、ある自治体のチェックリストの項目で、ガイドラインの基準ではありません。自園での決め方は、所管の自治体の案内も確認してください。

プールの監視を、プールの指導をする職員が兼ねてもよいですか。

ガイドラインは、専ら監視を行う者とプール指導等を行う者を分けて配置し、役割分担を明確にすると示しています。兼ねることについての個別の判断は、所管の自治体に確認してください。

この記事で、自園の事故防止の体制が適切かどうか分かりますか。

分かりません。この記事はガイドラインの記載の整理で、体制の適否や指導監査の結果の見込みを示すものではありません。所管の自治体と嘱託医に確認してください。

確認したうえで、公定価格を試算する

確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。事故防止の体制は、試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

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この記事が参照した一次資料

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