解説

認可外保育施設の指導監督基準:利用者への情報提供(掲示・契約書面)と、備える帳簿

認可外保育施設の指導監督基準「第8 利用者への情報提供」と「第9 備える帳簿等」について、サービス内容の掲示とインターネット公表、契約成立時の書面交付、申込み時の説明、職員と児童に関する帳簿を、こども家庭庁の通知の原文で確認します。

利用者への情報提供は、掲示と公表・契約書面の交付・申込み時の説明の3つ

こども家庭庁の通知「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」の指導監督基準は、「第8 利用者への情報提供」で3つの項目を定めています。

(1)サービス内容の掲示とインターネットでの公衆の閲覧、(2)契約成立時の書面等の交付、(3)申込みがあったときの契約内容の説明です。

利用者への情報提供の3項目(指導監督基準 第8、確認日 2026-10-25)
項目基準の内容届出対象施設について通知が添える内容
(1) 掲示と公表提供するサービス内容を利用者の見やすいところに掲示し、インターネットでも公衆の閲覧に供する掲示とインターネット公表が義務づけられている。公表の方法は、子ども・子育て支援情報公表システム(ここdeサーチ)への掲載(児童福祉法施行規則第49条の5第1項)
(2) 契約書面の交付利用契約が成立したときは、契約内容を記載した書面等を利用者に交付する書面等の交付が義務づけられている(児童福祉法第59条の2の4)
(3) 申込み時の説明利用予定者から申込みがあったときは、契約の内容等を説明する説明するよう努めることとされている(児童福祉法第59条の2の3)。届出対象外の施設でも、あらかじめ説明して理解を得たうえで提供することが望ましい

居宅訪問型保育にあたる業務を目的とする施設については、掲示の代わりに、書面等による提示などの方法が考えられると通知に書かれています。

掲示する項目は、設置者・施設の規模から保険・提携医療機関・虐待防止まで

届出対象施設の掲示とインターネット公表の項目を、通知は一覧にしています。

利用料の変更については、掲示と公表が適切になされているか、保護者への説明がなされているかを、指導助言する対象として示しています。

掲示・公表する項目(届出対象施設、指導監督基準 第8(1))
区分項目
設置者・施設の基本設置者の氏名または名称と施設の管理者の氏名/施設の名称と所在地/事業を開始した年月日/開所している時間(居宅訪問型保育にあたる業務を目的とする施設は保育提供可能時間)/入所定員
建物建物その他の設備の規模と構造(居宅訪問型保育にあたる業務を目的とする施設以外に限る)
サービスと料金提供するサービスの内容と、利用者が支払うべき額。変更があった場合は直近の変更の内容と理由
職員保育士その他の職員の配置数またはその予定/設置者と職員の研修の受講状況(児童福祉法第6条の3第9項、第12項(1日に保育する乳幼児の数が5人以下のものに限る)、第11項に規定する業務を目的とする施設に限る)
保険と医療保育する乳幼児に関して契約している保険の種類、保険事故、保険金額/提携している医療機関の名称、所在地、提携内容
安全と防災緊急時等における対応方法/非常災害対策/虐待の防止のための措置に関する事項
過去の命令施設の設置者が、過去に事業停止命令または施設閉鎖命令を受けたか否か(受けたことがある場合は命令の内容を含む)

職員の配置数は、保育に従事している保育士その他の職員それぞれの1日の勤務延べ時間数を8時間で除した数です。

通知は、職員のローテーション表や、その日実際に保育にあたる保育従事者の数と有資格者数を記したホワイトボード等を使うことも有効だとしています。

契約書面には、料金・保険・提携医療機関・苦情窓口を記載する

契約成立時に交付する書面について、通知は、届出対象施設に義務づけられている記載事項を挙げています。

利用料のほかに食事代、入会金、キャンセル料などを別途加算する場合は、その料金も、交付書面等で利用者にあらかじめ明示しておくことが示されています。

  1. 設置者と施設の情報

    設置者の氏名および住所(法人は名称と所在地)、施設の名称と所在地、施設の管理者の氏名です。

  2. サービスと支払う額

    その利用者に対して提供するサービスの内容と、サービスの提供につき利用者が支払うべき額に関する事項です。

  3. 保険と提携医療機関

    保育する乳幼児に関して契約している保険の種類、保険事故、保険金額と、提携する医療機関の名称、所在地、提携内容です。

  4. 苦情の窓口

    利用者からの苦情を受け付ける担当職員の氏名と連絡先です。

申込み時の説明に関して、通知は、保育の実施前に保護者へ、保育従事者の氏名、保育士資格、都道府県への届出の有無などを提供することが望ましいとしています。

ただし、事業者は個人情報保護義務に留意する必要があると書かれています。

備える帳簿は、職員に関するものと、児童の状況に関するものの2種類

「第9 備える帳簿等」は、職員と保育している児童の状況を明らかにする帳簿等を整備しておくことを求めています。

通知が挙げる記載の例は、職員は氏名、連絡先、資格を証明する書類の写し、採用年月日など、児童は在籍児童と保護者の氏名、児童の生年月日と健康状態、保護者の連絡先、児童の在籍記録などです。

備える帳簿等(指導監督基準 第9)
区分記載の例通知の注記
職員に関する帳簿等職員の氏名、連絡先、職員の資格を証明する書類(写し)、採用年月日等居宅訪問型保育にあたる業務を目的とする施設で、複数の保育従事者を雇用または委託していない場合は、職員に関する帳簿は整備しなくてもよい。ただし、資格を証明する書類(写し)等は確実に保管する必要がある
保育している児童の状況を明らかにする帳簿等在籍児童と保護者の氏名、児童の生年月日と健康状態、保護者の連絡先、児童の在籍記録等―

通知は、労働基準法などの他の法令にも、各事業場ごとに備える帳簿等の規定があり、保育施設も事業場にあたるため、施設ごとの備え付けが義務づけられていると書いています。

例として、労働者名簿(労働基準法第107条)、賃金台帳(同法第108条)、雇入れ・解雇・災害補償・賃金その他労働関係に関する重要な書類の保存義務(同法第109条)が挙げられています。

都道府県等は、指導監督の際にこれらの帳簿を必要に応じて活用し、備え付けられていない場合は関係機関に情報提供するなどの対応をとる、とされています。

開設前に整える書面と帳簿の順序

以下は通知の要件そのものではなく、基準を運用に落とすときの一例です。

  1. 掲示する項目の一覧を作り、情報の元になる書類をそろえる

    料金、定員、開所時間、保険、提携医療機関、緊急時の対応、非常災害対策、虐待防止の措置を、ひとつの一覧にまとめます。届出対象施設は、ここdeサーチへの掲載も必要です。

  2. 契約書面のひな型に、通知が挙げる記載事項を入れる

    食事代、入会金、キャンセル料などを別途加算するなら、その金額も書面に明示します。

  3. 申込み時の説明の手順を決める

    契約内容と手続きを説明し、保育従事者の氏名や資格、都道府県への届出の有無の提供方法を、個人情報の扱いとあわせて決めます。

  4. 職員の帳簿と、児童の帳簿を作る

    職員は資格証明書の写しを含めて保管し、児童は在籍記録や健康状態を記録できる形にします。労働者名簿と賃金台帳も、施設ごとに備えます。

この記事・試算で扱わないこと

この記事は、通知が定める情報提供と帳簿の基準を説明するもので、個別の施設が基準に適合しているかの判定は行いません。

標準様式の中身、ここdeサーチへの掲載の手続き、帳簿の保存期間、自治体が独自に定める基準は扱いません。この試算ツールの対象は認可保育所の公定価格で、認可外保育施設の指導監督は対象外です。

次に読むなら、安全確保の基準は認可外保育施設の指導監督基準:乳幼児突然死症候群への注意、安全計画、送迎バスの見落とし防止、賠償責任保険、事故報告、行政への報告は認可外保育施設の運営状況報告です。

よくある質問

認可外保育施設は、サービス内容を掲示する必要がありますか。

提供するサービス内容を利用者の見やすいところに掲示し、インターネットでも公衆の閲覧に供することが基準です。届出対象施設は、ここdeサーチへの掲載がその方法とされています。

契約したとき、書面を渡す必要がありますか。

利用契約が成立したときは、契約内容を記載した書面等を利用者に交付することが基準です。届出対象施設は、児童福祉法第59条の2の4で義務づけられています。

契約書面に、食事代やキャンセル料も書く必要がありますか。

利用料のほかに食事代、入会金、キャンセル料などを別途加算する場合は、その料金も交付書面等で利用者にあらかじめ明示しておくことが、通知に示されています。

備えておく帳簿は、何がありますか。

職員に関する帳簿等(氏名、連絡先、資格証明書の写し、採用年月日など)と、保育している児童の状況を明らかにする帳簿等(在籍児童と保護者の氏名、生年月日と健康状態、在籍記録など)です。労働基準法にもとづく労働者名簿や賃金台帳も、施設ごとに備える例として挙げられています。

この試算ツールで、認可外保育施設の基準を確認できますか。

できません。この試算は認可保育所の公定価格の算定に特化しており、認可外保育施設の指導監督基準は対象外です。

自園の条件で試算する

認可保育所として運営する場合の公定価格(委託費)を、所在地・定員・年齢別の園児数から試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていないことも表示されます。

公定価格の試算を開く

この記事が参照した一次資料

    ほかの解説

    「分園・合併・認定こども園への移行を検討するとき」の解説一覧へ