解説

認可外保育施設の指導監督基準:非常災害の設備・訓練と、保育室を2階以上に設ける条件

認可外保育施設の指導監督基準のうち、非常災害に備える設備と訓練、保育室を2階・3階・4階以上に設けるときの避難設備と防火の条件を、こども家庭庁の通知の原文で確認します。

非常災害の基準は、設備と、具体的計画に沿った定期的な訓練の2本立て

こども家庭庁の通知「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」の指導監督基準は、「第3 非常災害に対する措置」で防災の基準を定めています。

居宅訪問型保育にあたる業務を目的とする施設以外の施設には、消火用具・非常口などの設備と、非常災害の具体的計画に沿った定期的な訓練の2点が求められます。

居宅訪問型保育にあたる業務を目的とする施設は、基準の書き方が別で、防災上の必要な措置を講じていることが求められます。

非常災害に対する措置(指導監督基準 第3、確認日 2026-10-25)
施設の区分基準の内容通知が添える説明
居宅訪問型保育にあたる業務を目的とする施設以外消火用具、非常口その他非常災害に必要な設備が設けられていること火災報知器や消火器が置かれているだけでなく、職員全員が設置場所と使用方法を知っていること。非常口は、入所している乳幼児の避難に有効な位置に、適切に設置されていること
同上非常災害に対する具体的計画を立て、これに対する定期的な訓練を実施すること災害に備え、緊急時の対応や職員の役割分担のマニュアル、避難訓練、保護者との連絡体制や引渡し方法の確認に努めること(保育所保育指針の「災害への備え」を参照)
居宅訪問型保育にあたる業務を目的とする施設防災上の必要な措置を講じていること避難経路や消火用具の場所の確認を含め、災害時の対処方法をあらかじめ検討し、実施すること

通知はこの項目の下に、認可施設の基準(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第6条、家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準第7条)を引用しています。そこには、避難と消火の訓練を少なくとも毎月1回行うことが書かれています。

認可外保育施設の基準そのものの文言は「定期的な訓練」で、回数は書かれていません。毎月かどうかは、届出先の都道府県、指定都市、中核市の窓口で確認してください。

通知は同じ箇所で、業務継続計画(感染症や非常災害の発生時にも支援を続け、早期に業務を再開するための計画)の策定と、職員への周知・研修・訓練に努めることも、児童福祉施設の基準(第9条の3)として引用しています。

これらは「努めなければならない」という書き方で、認可外保育施設の基準の本文に並ぶ必須の項目ではありません。

保育室は原則1階が望ましく、2階以上に置くなら防災上の措置が要る

指導監督基準の「第4 保育室を2階以上に設ける場合の条件」は、まず方針を示します。

災害避難の観点から、保育室は原則として1階に設けることが望ましく、やむを得ず2階以上に設ける場合は、防災上の必要な措置を採ることが必要とされています。

措置の中身は階数で変わり、2階は転落防止が必須で、3階以上は7項目をすべて満たすことが求められます。

保育室を設ける階ごとの条件(指導監督基準 第4、確認日 2026-10-25)
階必須とされるもの避難用の施設・設備(通知の表)
2階乳幼児が出入りし通行する場所に、転落事故を防止する設備があること屋内避難階段、待避上有効なバルコニー、準耐火構造の屋外傾斜路またはこれに準ずる設備(2階は非常用すべり台)、屋外階段のいずれか1以上
3階次の7項目のいずれも満たすこと。耐火建築物であること、常用と避難用の設備が各1以上あること、調理室の防火区画、壁と天井の不燃仕上げ、転落防止設備、非常警報と消防機関への通報の設備、可燃性のカーテン等の防炎処理屋内避難階段または屋内特別避難階段、耐火構造の屋外傾斜路またはこれに準ずる設備、屋外階段のいずれか1以上
4階以上3階と同じ7項目のいずれも満たすこと(避難用の設備の種類が異なる)屋内避難階段または屋内特別避難階段(構造の条件つき)、耐火構造の屋外傾斜路、屋外避難階段のいずれか1以上

2階だけは、書き方が異なります。

通知は、2階に保育室を設ける建物に、まず転落防止設備を求めます。

そのうえで、耐火建築物または準耐火建築物であること(準耐火建築物には、通知が除く構造があります)(ア)と、乳幼児の避難に適した構造の施設・設備が設けられていること(イ)のいずれも満たさない場合には、第3に定める設備の設置と訓練に特に留意するとしています。

3階以上はア〜キのいずれも満たすことが求められ、2階よりも条件が重くなります。

家庭的保育・小規模な施設・居宅訪問型保育の施設には、この階数の基準は原則として適用されない

通知が第4の基準を原則として適用しないとするのは、次の3つの施設です。家庭的保育事業にあたる業務を目的とする施設。事業所内保育事業にあたる施設のうち、1日に保育する乳幼児が5人以下のもの。居宅訪問型保育にあたる業務を目的とする施設。

保育に従事する者の居宅や乳幼児の居宅等で行うことが理由です。適用しない場合も、定期的な訓練を行うなど防災上の必要な措置を採ることに特に留意が必要とされています。

自施設がどの区分にあたるかは、届出先の窓口で確認します。

避難用の設備の中身:待避上有効なバルコニーには5つの要件がある

2階の避難用の設備に挙げられている「待避上有効なバルコニー」には、通知が要件を細かく定めています。

バルコニーを避難用の設備として数えるには、床や外壁の構造、出入口の寸法、面積、接する道路の幅まで、5つの要件を満たす必要があります。

  1. 床は準耐火構造

    バルコニーの床の構造に求められる条件です。

  2. 十分に外気に開放されていること

    囲われた空間では、避難用の設備として数えられません。

  3. 各部分から2m以内の外壁は準耐火構造

    その部分に窓などの開口部がある場合は、建築基準法に定める防火設備にすることが求められます。

  4. 屋内からの出入口は、幅0.75m以上・高さ1.8m以上・下端の床面からの高さ0.15m以下

    乳幼児を連れて通れる寸法として、通知が数字で示しています。

  5. その階の保育室の面積のおおむね8分の1以上の広さ

    あわせて、幅員3.5m以上の道路または空地に面していることが求められます。

  6. 補足:直通階段の設置は別に必要

    待避上有効なバルコニーは建築基準法上の直通階段にあたらないため、原則として保育室から50m以内に直通階段を設置しなければなりません。

屋外階段などを避難路にする積雪地域では、乳幼児の避難に支障が出ないよう、必要な防護措置を講じることも求められています。

人工地盤や立体的遊歩道が建物の途中階に接続し、その階が避難階(直接地上に出られる出入口のある階)と認められる場合は、その階を1階とみなして差し支えないとされ、この場合は建築主事との連携が示されています。

3階以上の7項目:調理室の防火区画と、スプリンクラー等による緩和

3階・4階以上に共通する7項目のうち、調理室に関する項目は条件が長く、読み違えやすい箇所です。

調理室以外の部分と調理室は、耐火構造の床・壁か特定防火設備で区画し、空調などの風道が貫通する部分には防火上有効なダンパーを設けることが原則です。

ただし、調理室にスプリンクラー設備などの自動式のものがある場合と、調理用器具に応じた有効な自動消火装置があり外部への延焼を防ぐ措置も講じられている場合は、この区画の要件は適用されません。

3階以上の保育室に共通する項目(アは耐火建築物、イは階ごとの避難設備)
項目内容
ウ 調理室の区画調理室以外の部分と耐火構造の床・壁か特定防火設備で区画し、風道にダンパーを設ける(スプリンクラー等または自動消火装置がある場合は除く)
エ 内装壁と天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料にする
オ 転落防止保育室その他乳幼児が出入りし通行する場所に、転落事故を防止する設備を設ける
カ 警報と通報非常警報器具または非常警報設備と、消防機関へ火災を通報する設備を設ける
キ 防炎カーテン、敷物、建具などの可燃性のものに防炎処理を施す

スプリンクラー設備や自動消火装置で区画の要件が緩和されるのは、乳幼児の火遊びを防ぐ進入防止措置などがとられている場合です。通知は、自動消火装置の場合に外部への延焼防止措置(不燃材料の壁・柱・床・天井での区画と防火設備または不燃扉)もあわせて求めています。

4階以上に保育室を置こうとするときは、通知は平成26年9月5日付の通知の別添「保育室等を高層階に設置するに当たって事前に検討すべき事項」を指導監督で活用し、消防署等と調整するよう示しています。

開設前に確かめる順序

保育室を置く階が決まる前に、その階の条件を確かめておくと、設備の追加工事をやり直さずに済みます。

  1. 自施設が、居宅訪問型・家庭的保育・5人以下の事業所内保育のどれにあたるかを窓口で確認する

    区分によって、非常災害の基準の書き方と、第4の階数の基準が適用されるかが変わります。

  2. 保育室を置く階を決め、その階の条件の表と物件を突き合わせる

    2階なら転落防止設備と避難設備の有無、3階以上なら耐火建築物かどうかと、避難用の設備までの歩行距離(保育室の各部分から30m以下)を確かめます。

  3. 消火用具・非常口の位置を図面に書き、職員全員が場所と使い方を言える状態にする

    通知は、設備があるだけでなく、職員全員が設置場所と使用方法を知っていることを求めています。

  4. 非常災害の具体的計画を作り、訓練の時期を決める

    計画には、緊急時の対応と職員の役割分担、保護者との連絡体制と引渡し方法を入れます。訓練の回数は、窓口で確認します。

  5. 消防機関と建築部局に、図面を持って事前に相談する

    建築基準法や消防法の適合は、この通知の範囲を超えるため、所管の窓口が判断します。

この記事・試算で扱わないこと

この記事は、通知が定める防災面の基準を説明するもので、個別の施設や建物が基準や建築基準法・消防法に適合するかの判定は行いません。

高層階に置くときに検討する事項の中身、建築基準法施行令の各条の詳しい要件、自治体が独自に求める基準は扱いません。この試算ツールの対象は認可保育所の公定価格で、認可外保育施設の指導監督は対象外です。

次に読むなら、職員の数と資格の基準は認可外保育施設の指導監督基準:保育に従事する者の数と資格者の割合、保育室の面積と便所の基準は認可外保育施設の指導監督基準:保育室の面積・便所・乳児の区画、行政への報告は認可外保育施設の運営状況報告、認可保育所の防災の取り組みは保育所の非常災害対策と毎月の訓練です。

よくある質問

認可外保育施設は、避難訓練を毎月行う必要がありますか。

認可外保育施設の基準の文言は「定期的な訓練を実施すること」で、毎月とは書かれていません。通知は参照として、認可施設の基準(避難と消火の訓練は少なくとも毎月1回)を引用しています。毎月かどうかは、届出先の窓口で確認してください。

保育室を2階に置いてもよいですか。

通知は、保育室を原則1階に置くことが望ましいとしたうえで、やむを得ず2階以上に置く場合は防災上の必要な措置が必要としています。2階では転落事故を防止する設備が求められます。

3階に保育室を置くときの条件は、2階より厳しいですか。

通知は、3階に設ける建物に、耐火建築物であることなど7項目のいずれも満たすことを求めています。2階は転落防止設備が必須で、耐火・準耐火建築物であることなどを満たさない場合に、設備と訓練に特に留意するという書き方です。

居宅訪問型保育の施設にも、階数の基準は適用されますか。

通知は、乳幼児の居宅等で行うため、第4の基準を原則として適用しないとしています。非常災害の基準としては、防災上の必要な措置を講じていることが求められます。

この試算ツールで、認可外保育施設の基準を確認できますか。

できません。この試算は認可保育所の公定価格の算定に特化しており、認可外保育施設の指導監督基準は対象外です。

自園の条件で試算する

認可保育所として運営する場合の公定価格(委託費)を、所在地・定員・年齢別の園児数から試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていないことも表示されます。

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この記事が参照した一次資料

    ほかの解説

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