解説

社会福祉施設職員等退職手当共済と公定価格の関係(掛金・公費助成・加入できる法人)

保育所の職員の退職金に使われる社会福祉施設職員等退職手当共済で、掛金は誰が払うか、保育所には国と都道府県の助成があるか、株式会社立でも入れるかを、厚生労働省の検討会資料で整理します。公定価格との関係で確認できなかった点も明記します。

この記事で確認すること

保育所の経営者から、職員の退職金の費用は公定価格に含まれているのか、という疑問が出ます。

社会福祉施設職員等退職手当共済は、福祉施設の職員のための国の退職金制度です。

この記事は、厚生労働省の検討会資料(令和8年4月、社会・援護局福祉基盤課)をもとに、掛金の払い手、保育所への公費助成、加入できる法人、令和8年度の掛金額を整理します。

公定価格の単価の中に、この掛金や退職金に相当する額が含まれるかどうかは、この資料には書かれていません。確認できなかった点として最後にまとめます。

制度のしくみ:掛金を払うのは法人で、福祉医療機構が運営する

この制度は、昭和36年に制定された社会福祉施設職員等退職手当共済法に基づく制度です。

職員の雇用主である社会福祉法人が共済契約者になり、掛金を納めます。運営するのは独立行政法人福祉医療機構です。職員が退職すると、機構から退職手当金が本人に支給されます。

掛金は個々の職員ごとに積み立てられず、その年度の制度全体の支給財源に充てられます。

このため、法人が契約を解除すると、その職員に退職手当金は支給されず、それまでに納めた掛金も返金されません。

退職手当金の額は、退職前6か月の本俸の平均額に、在籍期間に応じた法定の乗率を掛けて決まります。支給の対象は在籍1年以上の人です。資料の例では、勤続10年で約115万円、勤続20年で約572万円が見込額とされています。

これは資料が示す例で、実際の額は俸給表と在籍期間で変わります。

保育所には、国と都道府県の助成がある

掛金に国と都道府県が助成する仕組みは、これまで段階的になくなってきました。

高齢者関係の施設は平成18年、障害者関係の施設は平成28年に助成が廃止されています。

資料は、現在は保育所や措置施設(児童養護施設など)に助成が行われている、としています。

施設の種類ごとの公費助成(令和8年4月の検討会資料)
施設公費助成掛金の負担
保育所等・措置施設あり法人・国・都道府県が3分の1ずつ
特別養護老人ホーム・障害者支援施設などなし(順次廃止。廃止前に加入した職員分は継続)法人がすべて負担

保育所等の助成について、資料は「給付費に対して国・都道府県からそれぞれ3分の1の補助が入っている」と書いています。

公費助成を続けるかどうかは、他の経営主体との公平性(イコールフッティング)を踏まえて、令和8年度までに改めて結論を得ることとされています。

保育所と幼保連携型認定こども園の助成のあり方は、こども家庭庁における審議会(こども子育て支援等分科会)で別に検討される、と資料にあります。

今後の結論しだいで、保育所の掛金の負担が変わる可能性があります。結論が出たかどうかは、福祉医療機構とこども家庭庁の公表で確認してください。

令和8年度の掛金は、職員1人あたり年額で保育所等49,500円

資料によると、職員1人あたりの掛金(年額)は、令和8年度に148,500円です。

保育所等は公費助成があるため、法人が納める掛金は年額49,500円とされています。

掛金は平成19年度から長く据え置かれてきましたが、令和6年度から段階的に引き上げられました。

令和8年度の職員1人あたり掛金(年額)
区分年額備考
公費助成なしの施設148,500円法人がすべて負担
保育所等(公費助成あり)49,500円資料の記載(公費助成があるため)

掛金の額を試算ツールの結果に足し引きしない

掛金は共済の制度で決まり、公定価格の加算や減算とは別の制度です。この記事の掛金額は資料の記載で、法人が実際に納める額は、職員の区分や所管の都道府県の取扱いで変わることがあります。

自園の掛金は、加入している共済の請求内容と、福祉医療機構・都道府県の案内で確認します。

加入できるのは社会福祉法人。株式会社立などは対象外

資料は、共済契約を結べるのは社会福祉施設等を経営する社会福祉法人だけで、契約を結ぶかどうかは各法人の任意だと書いています。

令和7年4月1日時点で、16,678の社会福祉法人が加入しています。これは社会福祉法人全体の約8割です。

株式会社や学校法人などが運営する保育所が、この制度に加入できるとは資料に書かれていません。

運営法人が社会福祉法人以外の場合は、別の退職金の仕組みを自園で用意するかどうかを検討することになります。この場合の費用の見込み方は、所管の市町村と顧問の社会保険労務士に確認してください。

公定価格との関係で、確認できなかったこと

確認できなかったのは、次の点です。

・基本分単価や加算の中に、退職手当共済の掛金や退職金に相当する額が含まれるかどうか。

・委託費の使途の範囲で、掛金の支払いをどの費用として扱うか。

厚生労働省の資料は、共済制度の現状と課題を整理したもので、公定価格との関係には触れていません。

公定価格に含まれている、または含まれていない、とはこの記事では断定しません。

公定価格の単価が人件費・管理費・事業費でどう構成されるかは、基本分単価に含まれる職員と費用の区分で整理しています。委託費の使途は委託費の法的根拠で確認できます。

  1. 運営法人が社会福祉法人かを確かめる

    加入できるのは社会福祉法人だけです。株式会社立などは対象外と読めます。

  2. 自園の加入状況と掛金の請求を確認する

    加入しているなら、共済の請求内容から、職員1人あたりの掛金と助成の有無を確かめます。

  3. 委託費での扱いを市町村に確認する

    掛金や退職手当に相当する支出を、委託費の使途のどこに当てるかを、所管の市町村に確認します。

  4. 公費助成の結論を追う

    令和8年度までに結論を得ることとされた保育所への助成の扱いを、福祉医療機構とこども家庭庁の公表で確認します。

自園の条件で試算する

認可保育所の所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(施設型給付費・委託費)を試算します。

退職手当共済の掛金や退職金の支出は試算に含まれないため、職員の退職金の費用は別に見込んでください。

公定価格の試算を開く

よくある質問

退職手当共済の掛金は、誰が払いますか。

共済契約者である社会福祉法人が払います。保育所等には、国と都道府県が助成します。資料では、保育所等の掛金は法人・国・都道府県が3分の1ずつ負担する形で示されています。

令和8年度の保育所の掛金はいくらですか。

保育所等は職員1人あたり年額49,500円です(厚生労働省の令和8年4月の検討会資料)。公費助成のない施設は148,500円です。

株式会社立の保育所も加入できますか。

資料では、共済契約を結べるのは社会福祉法人だけとされています。それ以外の法人が加入できるとは書かれていません。

公定価格に退職金の費用は含まれていますか。

この記事で使った資料には書かれていないため、含まれる・含まれないとは断定できません。委託費の使途での扱いは、所管の市町村に確認してください。

保育所への公費助成は、これからもありますか。

公費助成を一旦継続しつつ、令和8年度までに改めて結論を得ることとされています。結論は、福祉医療機構とこども家庭庁の公表で確認してください。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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