解説

基本分単価に含まれる職員と費用の区分(保育士の上乗せ・調理員等・事務費)

保育所の基本分単価(園児1人あたりの基本の月額)に含まれる職員は、保育士・施設長・調理員等・非常勤事務職員・嘱託医で、保育士には年齢別配置基準のほかに上乗せ分と研修代替の費用が入ります。費用は事務費と事業費に分かれます。

基本分単価に含まれる職員は、保育士・施設長・調理員等・事務職員・嘱託医

基本分単価とは、公定価格のうち、園児1人あたりの基本の月額にあたる部分です。

留意事項通知(保育所の別紙)は、基本分単価に含まれる職員構成を定め、これを満たすことを求めています。

職員は、保育士と「その他」に分かれます。「その他」は、施設長、調理員等、非常勤事務職員、嘱託医・嘱託歯科医です。

基本分単価に含まれる職員構成(留意事項通知 保育所の別紙、令和8年度、確認日 2026-10-05)
区分含まれる職員通知が定める内容
保育士年齢別配置基準の人数4歳以上児30人に1人、3歳児20人に1人、1・2歳児6人に1人、乳児3人に1人。各区分は小数点第1位まで計算して合計し、小数点以下を四捨五入する
保育士上乗せ分利用定員90人以下の施設は1人。保育標準時間認定の子どもが利用する施設は1人
保育士研修代替上の人数の保育士1人あたり、年間3日分の費用
保育士非常勤の保育士上記とは別に配置されていること
その他施設長1人
その他調理員等定員20人の施設は1人。21人以上40人以下は2人(うち1人は非常勤)。41人以上150人以下は2人。151人以上は3人(うち1人は非常勤)
その他非常勤事務職員施設長等の職員が兼務する場合や業務委託する場合は、配置は不要
その他嘱託医・嘱託歯科医基本分単価に含まれる職員として列挙されている

年齢別の人数の計算方法と具体例は、記事「基本分単価の保育士数は年齢区分ごとの比率で決まる」で説明しています。この記事は、その人数に何が上乗せされているかを整理するものです。

年齢別配置基準の人数に、上乗せと研修代替が加わる

基本分単価の保育士の数は、年齢別配置基準で計算した人数と、「その他」の人数を合計したものです。

「その他」には、利用定員90人以下の施設に1人、保育標準時間認定の子どもが利用する施設に1人があります。

年齢別の人数だけを見ると、基本分単価が見込む保育士の数を少なく見積もります。

この別枠の保育士を配置しないとどうなるか、非常勤にできる場合は、記事「休けい保育士・標準時間認定分の保育士は年齢別配置基準とは別に置くのか」で整理しています。

さらに、これらの保育士1人あたり、研修代替保育士として年間3日分の費用が算定されます。

この費用は、保育士が研修を受けるときの受講費用や、時間外に研修を受けた場合の時間外手当などに充てても差し支えないと、通知が示しています。

保育標準時間認定の子どもが施設全体の利用定員に占める割合が低い場合は、上乗せの1人を非常勤の保育士としても差し支えないとされています。

上乗せ分と研修代替を、加算と混同しない

上乗せの保育士1人と研修代替の費用は、基本分単価に最初から含まれている部分です。申請して認定を受ける加算とは別の扱いです。

加算の申請を検討する前に、基本分単価ですでに見込まれている職員と費用を、この記事の表で確認します。

施設長と調理員等には、通知が置いた条件がある

施設長と調理員等には、通知が置いた条件があります。

施設長は、児童福祉事業等に2年以上従事した人、またはこれと同等以上の能力があると認められる人で、常時その施設の運営管理の業務に専従し、委託費から給与が支出されている人とされています。

通知は、児童福祉施設の職員、幼稚園・小学校などの教諭、公的機関で児童福祉の事務を扱う部局の職員などを例に挙げています。公的機関などの施設長研修を受けた人は、同等以上の能力を認められる例です。

調理員等については、調理業務の全部を委託する場合、または搬入施設から食事を搬入する場合は、調理員を置かないことができるとされています。

定員21人以上40人以下と151人以上の非常勤は、週5日、1日あたり4時間の配置分の費用が算定されています。

施設長を置かない場合は、基本分単価の調整部分として別に調整されます。基本分単価の地域差の根拠は、記事「基本分単価の地域差は人件費部分だけに反映される」で確認できます。

費用の面では、基本分単価は事務費と事業費に分かれる

こども家庭庁の「令和8年度における私立保育所の運営に要する費用について」は、基本分単価を、事務費(人件費・管理費)と事業費の合計として示しています。

事務費は人件費と管理費に分かれるため、基本分単価は人件費・管理費・事業費の3つの費用で構成されます。

私立保育所の委託費は、その性格上、使途の範囲が定められています。この通知は、その適切な運用のために、基本分単価などの内訳を示すものです。

職員の退職金に使う社会福祉施設職員等退職手当共済の掛金と公費助成は、記事「社会福祉施設職員等退職手当共済と公定価格の関係」で整理しています。

基本分単価の費用の区分(私立保育所の運営費通知、令和8年度、確認日 2026-10-05)
区分通知が示す内容地域区分による違い
事業費一般生活費。3歳未満児と3歳以上児で、子ども1人の月額が別に示される全国一律
管理費別紙「基本分単価に含まれている管理費」。定員区分、保育必要量区分、年齢区分ごとに示される全国一律
人件費所長・主任保育士・保育士・調理員等の本俸基準額と、地域区分別の人件費(年額)地域手当が地域区分ごとに異なるため、地域区分別

人件費の年額には、賞与や地域手当などを含みます。処遇改善等加算の区分1・区分2・区分3は含まれていません。

この通知の人件費は、予算積算上の給与格付けから出した参考額です。通知は、職員数や経験年数、賃金体系は保育所ごとに異なると述べ、本通知の人件費と実際の人件費との差額だけで給与水準の適否を判断することはできないと示しています。また、通知の人件費を理由に給与水準を下げることは不適切だとしています。

次の表の人件費(年額)は、処遇改善等加算の区分1〜3を含みません。予算を積算するための参考額で、給与の水準を示すものではありません。

職種別の人件費(年額、単位は万円。私立保育所の運営費通知 こ成保第536号、令和8年7月31日、令和8年度、確認日 2026-10-14)
職種20/10016/10015/10012/10010/1006/1003/100その他全国平均
所長640619613597587565549533572
主任保育士625604599584573553537522559
保育士548530526512503485471458491
調理員等479463459447439424412400429

通知の人件費の表を、自園の給与の基準として使わない

通知の表は、国が委託費の予算を積算するための参考額です。自園の職員への支払額を、この額に合わせる定めではありません。

職員の給与水準は、自園の職員数・経験年数・賃金体系で別に判断します。人件費の区分の考え方だけを、通知から確認します。

加算の費用は、人件費と管理費に振り分けられている

加算の費用も、人件費関係と管理費関係に分けられています。

同じ通知は、加算についても、費用の性格を人件費関係と管理費関係に分けて示しています。

人件費関係は、処遇改善等加算の区分2・区分3、1歳児・3歳児・4歳以上児の配置改善加算、主任保育士専任加算、療育支援加算、事務職員雇上費加算、チーム保育推進加算、栄養管理加算の一部です。

管理費関係は、減価償却費加算、賃借料加算、冷暖房費加算、除雪費加算、降灰除去費加算、高齢者等活躍促進加算、施設機能強化推進費加算、小学校接続加算、第三者評価受審加算、保育ICT推進加算、特別地域保育体制確保対応加算、栄養管理加算の一部です。

夜間保育加算と休日保育加算は、通知が事業費と管理費の額を表で示し、人件費は加算額からその事業費と管理費を引いて算定するとしています。

分園の場合や施設長を置かない場合などの調整部分は、調整部分以外の人件費・事業費・管理費の割合で按分して算出するとされています。

各加算の要件と試算での扱いは、保育所の公定価格の計算方法と基本分単価の内訳から個別の記事に進んで確認できます。

自園の職員配置と、基本分単価の見込みを照らす順序

  1. 年齢別配置基準の人数を、年齢別の園児数から出す

    4歳以上児・3歳児・1・2歳児・乳児の区分ごとに計算し、合計を四捨五入します。計算例は上の記事で確認できます。園児を2号・3号のどちらに数えるかは認定区分(2号・3号)と年齢区分の対応で確認できます。

  2. 上乗せの保育士を数える

    利用定員が90人以下なら1人、保育標準時間認定の子どもが利用しているなら1人が加わります。それぞれに当てはまるかを確認します。

  3. 施設長・調理員等・事務職員・嘱託医を、定員区分で確認する

    調理員等の人数は定員区分で決まります。調理を全部委託している場合や搬入の場合は、置かないことができる扱いです。

  4. 委託費の使途は、事務費と事業費の区分を前提に所管の市町村へ確認する

    通知は使途の範囲が定められていると述べています。具体的にどの支出が認められるかは、市町村の指導の内容によるため、運用前に市町村に確認します。

単価の数字そのものは、地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量ごとの単価表で確認できます。出典の告示別表と確認日も、そのページに載せています。

令和8年度の基本分単価表を見る

よくある質問

基本分単価に、研修代替の費用は含まれていますか。

含まれています。留意事項通知は、保育士1人あたり年間3日分の研修代替保育士の費用を算定すると定めています。受講費用や時間外の研修の時間外手当に充てても差し支えないとされています。

嘱託医や事務職員の費用も、基本分単価に入っていますか。

入っています。留意事項通知は、非常勤事務職員と嘱託医・嘱託歯科医を、基本分単価に含まれる職員として挙げています。事務職員は、施設長などが兼務する場合や業務委託する場合は配置が不要とされています。

基本分単価の人件費は、実際に払う給与の上限ですか。

上限ではありません。私立保育所の運営費通知は、示された人件費は予算積算上の参考額で、実際の人件費との差額だけで給与水準の適否を判断できないとしています。

この記事で、自園の職員配置が基準に合っているかを判定できますか。

できません。この記事は通知の区分を整理したものです。自園の適合は、所管の市町村の確認を受けて判断します。

公定価格を試算する

基本分単価は、地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量区分で決まります。職員の人数や給与の適合は、試算の結果には含まれません。

所在地と利用定員、年齢別の園児数から公定価格を試算する

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」2件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

  • 公定価格とは・決まり方:保育所の計算方法と基本分単価の内訳

    保育園の公定価格の決まり方を解説。公定価格とは、特定教育・保育等に要する費用の額で、保護者の保育料とは別の施設側の総額です。基本分単価の内訳は地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4つで決まります。計算は基本分単価・加算・減算・園児数の4手順で、試算画面の入力欄も確認できます(子ども・子育て支援法第27条第3項)。

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  • 基本分単価の地域差は人件費部分だけに反映される

    基本分単価は地域区分ごとに一律に高くなったり低くなったりするわけではありません。運営費の積算構造から、地域区分による差が人件費部分に限られる理由を説明します。

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  • 公定価格の10円未満切り捨てとは?通知に明記された加算・調整と明記のない項目

    10円未満切り捨てとは、1円の位を切り上げも四捨五入もせず0円にして10円単位にそろえる処理です。保育所の公定価格で通知に切り捨てが書かれている加算・調整・日割りと、書かれていない基本分単価や配置改善加算などを整理します。丸める段階も通知の文言に沿って説明します。

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  • 私立保育所の運営費用通知の比較(令和7年8月版・令和8年1月版・令和8年度版の本俸基準額と一般生活費)

    「私立保育所の運営に要する費用について」の通知は、令和7年度に令和7年8月15日付と令和8年1月20日付の2つがあります。事業費の一般生活費、職員の本俸基準額、人件費の年額を、令和8年度版と合わせて3つの版で並べ、どの版を見るかの目安を示します。

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「公定価格の全体像と根拠を知りたいとき」の解説一覧へ