解説

私立保育所の運営費用通知の比較(令和7年8月版・令和8年1月版・令和8年度版の本俸基準額と一般生活費)

「私立保育所の運営に要する費用について」の通知は、令和7年度に令和7年8月15日付と令和8年1月20日付の2つがあります。事業費の一般生活費、職員の本俸基準額、人件費の年額を、令和8年度版と合わせて3つの版で並べ、どの版を見るかの目安を示します。

令和7年度の通知は、8月と1月の2つがあり、令和8年度にも同じ題名の通知がある

こども家庭庁成育局保育政策課長が都道府県にあてる通知「私立保育所の運営に要する費用について」は、公定価格の基本分単価の内訳(事務費の人件費と管理費、事業費)を示します。

令和7年度の分は、令和7年8月15日付(こ成保第472号)と令和8年1月20日付(こ成保第34号)の2つを確認できます。令和8年度の分は令和8年7月31日付(こ成保第536号)で、同じ題名の令和8年7月22日付(こ成保第512号)を廃止して出し直したものです。年度や版が違うと数字が変わるため、比べる前に、どの日付の通知かをそろえる必要があります。

年度だけで通知を選ばない

令和7年度の数字を引くとき、8月版と1月版のどちらを見たかで、本俸基準額が約1万円以上違います。通知本文に、1月版の改定の理由の記載はなく、この記事では理由を扱いません。

引用や比較のときは、通知の日付と文書番号を一緒に控える。

事業費の一般生活費は、令和7年度の2版で同じ額、令和8年度で上がる

事業費のうち一般生活費は、子ども1人あたりの月額で示されています。

令和7年度の8月版と1月版は同じ額で、令和8年度版は3歳未満児・3歳以上児とも上がっています。

一般生活費(子ども1人あたり月額)の比較
区分令和7年8月版令和8年1月版(令和7年度)令和8年度版
3歳未満児11,492円11,492円11,871円
3歳以上児1,986円1,986円2,052円

本俸基準額は、令和7年度の1月版で上がり、令和8年度版は1月版と同じ

職員の本俸基準額は、職種ごとの格付と金額で示されています。格付は3つの版で同じで、金額が違います。

令和7年度の8月版から1月版で、全職種の本俸基準額が上がり、令和8年度版の本俸基準額は1月版と同じです。

本俸基準額(月額)の比較
職種(格付)令和7年8月版令和8年1月版(令和7年度)令和8年度版
所長(福2-29)282,900円294,200円294,200円
主任保育士(福2-13)274,584円286,416円286,416円
保育士(福1-29)242,148円254,694円254,694円
調理員等(行二1-21)216,600円228,800円228,800円

主任保育士と保育士の特殊業務手当基準額(9,300円と7,800円)は、3つの版で同じです。通知の注は、主任保育士・保育士の本俸基準額に特別給与改善費を加えたものだと説明しています。

人件費の年額は、令和7年度の1月版と令和8年度版でほぼ同じ

人件費(年額)は、賞与や地域手当を含めた予算積算上の額で、地域区分ごとに示されています。地域手当が地域区分ごとに異なるためです。

令和7年8月版は1月版より低く、1月版と令和8年度版は、全国平均の保育士と調理員等の1万円の差を除いて同じです。下表は、地域区分の20/100地域、その他地域、全国平均の保育士と調理員等を抜き出しています。

人件費(年額)の比較(予算積算上の額。実際の給与ではありません)
職種・地域令和7年8月版令和8年1月版(令和7年度)令和8年度版
保育士・20/100地域521万円548万円548万円
保育士・その他地域435万円458万円458万円
保育士・全国平均466万円490万円491万円
調理員等・20/100地域452万円479万円479万円
調理員等・その他地域378万円400万円400万円
調理員等・全国平均405万円428万円429万円

通知の人件費を、自園の給与水準の基準にしない

3つの版の通知は、この表が予算積算上の参考であること、実際の人件費との差額だけで給与水準の適否は判断できないこと、通知の1人あたりの人件費を理由に給与水準を下げることは不適切であることを注で述べています。また、人件費(年額)には処遇改善等加算の区分1・2・3は含まれません。

園の給与は、職員数、経験年数、賃金体系を前提に、処遇改善等加算を別に見て確かめる。

この比較から読めることと、読めないこと

この記事の表は、3つの通知の本文にある同じ項目を並べたものです。

基本分単価そのものや、加算を含めた園の委託費の増減は、この表からは分かりません。管理費の別紙や、夜間保育加算・休日保育加算の単価表は、この記事では比べていません。

基本分単価に含まれる職員と費用の区分は基本分単価に含まれる職員と費用の区分、年度ごとの基本分単価の並べ方は令和7年度と令和8年度の保育所の基本分単価の比較で確認できます。

地域区分・利用定員区分・年齢区分・保育必要量区分ごとの令和8年度の金額を、一覧で引けます。

令和8年度の基本分単価一覧を開く

よくある質問

令和7年度の数字を使うとき、8月版と1月版のどちらを見ればよいですか。

どちらの版を見たかを書き添えて使ってください。本俸基準額と人件費の年額は、2つの版で違います。この記事では、1月版の改定の理由は確認できていないため、どちらが適用されるかは所在地の市町村の通知で確かめてください。

令和8年度の通知は、令和7年度の1月版から何が変わりましたか。

この記事で並べた項目では、一般生活費が3歳未満児・3歳以上児とも上がり、本俸基準額と格付は同じで、人件費の年額は全国平均の保育士と調理員等が1万円上がっています。

通知の人件費は、保育士に支払う給与の額ですか。

いいえ。通知は、予算積算上の参考として示した額で、実際に支払われる人件費との差額だけで給与水準の適否は判断できないとしています。

自園の条件で試算する

市町村を選択すると地域区分を表示し、基本分と実装済みの加算・減算を比較できます。

結果には計算過程、使った通知・告示、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を併記します。

所在地から地域区分を確認して試算する

この記事は、通知の版の見分け方と比べ方を説明するものです。個別の園の委託費や、給与の適否の判断は扱いません。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」2件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

  • 公定価格とは・決まり方:保育所の計算方法と基本分単価の内訳

    保育園の公定価格の決まり方を解説。公定価格とは、特定教育・保育等に要する費用の額で、保護者の保育料とは別の施設側の総額です。基本分単価の内訳は地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4つで決まります。計算は基本分単価・加算・減算・園児数の4手順で、試算画面の入力欄も確認できます(子ども・子育て支援法第27条第3項)。

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  • 令和3年度から令和5年度の保育所の基本分単価(20人区分)

    保育所の基本分単価を令和3年度・令和4年度・令和5年度で並べます。20/100地域・利用定員20人・保育標準時間の4年齢区分に限り、令和4年度は年度途中の改正の前後も分けて、告示ごとの金額と差額を確認できます。

    関連する理由: 共通する試算入力

  • 処遇改善等加算の賃金改善の配分方法(基本給・手当・賞与・一時金)

    処遇改善等加算の賃金改善で、区分2は基本給・手当・賞与・一時金から改善する項目を特定し、毎月払いか一括払いで行えます。区分2と区分3を合わせた改善額の1/2以上を基本給か毎月の手当で行う基準、区分3の毎月払い、国家公務員の給与改定時の追加支払、法定福利費の扱いを、通知の原文で整理します。

    関連する理由: 共通する試算入力

  • 基本分単価の地域差は人件費部分だけに反映される

    基本分単価は地域区分ごとに一律に高くなったり低くなったりするわけではありません。運営費の積算構造から、地域区分による差が人件費部分に限られる理由を説明します。

    関連する理由: 共通する試算入力/共通する一次資料

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