解説

保育園の職員の介護休業と介護休業給付金(同じ家族につき通算93日・3回まで・賃金の67%が原則)

家族の介護で職員が休業に入るとき、育児・介護休業法の介護休業(第11条・第15条)と、雇用保険の介護休業給付金(第61条の4)の対象、日数と回数の上限、支給額の考え方、園(事業主)が行う手続きを、条文とハローワークの案内で整理します。

この記事が答えること:介護休業は何日・何回まで取れ、給付金はいくら出るか

育児・介護休業法第11条は、労働者が事業主に申し出ることで介護休業をすることができると定めています。

同じ家族について取れる日数と回数には上限があり、休業中の賃金の代わりに、雇用保険から介護休業給付金が支給される場合があります。

この記事は、職員が介護休業を申し出たときに、園が日数・回数の数え方と給付金の手続きを確かめるための整理です。

この記事は、育児・介護休業法の条文、雇用保険法の条文(e-Gov法令検索)と、ハローワークインターネットサービスの「雇用継続給付」の案内(介護休業給付の項)の範囲で書いています。賃金日額の上限額は毎年改定されるため、ここには書きません。個別の職員が受けられるか、いくら受け取れるかは、事業所を管轄するハローワークで確認してください。介護休暇(年5日)、所定外労働の制限、介護離職防止のための措置は、この記事では扱いません。

介護休業は、同じ家族について通算93日・3回まで

介護休業の上限(育児・介護休業法第11条第2項・第15条第1項)
項目内容
日数の上限同じ対象家族について、介護休業をした日数の合計が93日に達するまで
回数の上限同じ対象家族について3回まで。3回の介護休業をしたあとは、その家族について申し出ることができない
日数の数え方介護休業を開始した日から終了した日までの日数。2回以上に分けたときは、1回ごとの日数を合算する
期間を定めて雇用される職員介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでない場合に限り、申し出ることができる

申出は、対象家族が要介護状態にあることを明らかにし、休業の初日と末日を明らかにして行います(第11条第3項)。

介護休業の期間は、申出の末日までです。ただし、末日が93日から使用済みの日数を引いた日数を過ぎるときは、その日までで終わります(第15条第1項)。

対象家族が亡くなるなど介護しないこととなった事由が生じたときは、その事情が生じた日に、産前産後休業や育児休業などが始まるときは、その前日に、介護休業の期間が終わります(第15条第3項)。

介護休業給付金の対象は、2週間以上の常時介護が必要な家族を介護するための休業

ハローワークの案内によると、介護休業給付金は、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にある家族を介護するための休業が対象です。

被保険者が休業の初日と末日を明らかにして事業主に申し出て、実際に取得した休業であることも必要です。

対象になる家族と受給の要件(ハローワークの案内・雇用保険法第61条の4)
項目内容
対象になる家族配偶者(事実上の婚姻関係と同様の事情にある者を含む)、父母(養父母を含む)、子(養子を含む)、配偶者の父母(養父母を含む)、祖父母、兄弟姉妹、孫
雇用保険の加入期間休業を開始した日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上ある(11日以上の完全月が12か月に満たない場合は、令和2年8月1日以降に始まる休業に限り、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上の完全月も数える)
休業中の賃金休業期間中の各1か月ごとに、休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていない
休業中の就業日数各支給単位期間(1か月ごとの期間)ごとに、就業している日数が10日以下(休業終了日を含む期間は、10日以下で、かつ休業日が1日以上ある)
支給の限度同じ家族について、93日を限度に3回まで

支給額は、1か月ごとに「賃金日額×支給日数×67%」が原則

ハローワークの案内によると、各支給対象期間(1か月)ごとの支給額は、原則として休業開始時賃金日額×支給日数×67%です。

支給日数は、休業終了日が含まれる支給対象期間以外は30日、休業終了日が含まれる支給対象期間はその期間の日数です。

賃金日額は、事業主が提出する休業開始時賃金月額証明書によって、原則として介護休業開始前6か月の賃金を180で割った額とされています。

園が休業期間中に賃金を支払うとき(ハローワークの案内)
支払った賃金の額給付金の扱い
賃金と給付金(賃金日額×支給日数の67%)の合計が、賃金日額×支給日数の80%以下減額されずに支給される
上の合計が80%を超える超えた額が減額されて支給される
賃金だけで、賃金日額×支給日数の80%以上支給されない

雇用保険法の条文(第61条の4第4項)の本則は賃金日額の40%ですが、ハローワークの案内は「原則として67%」としています。賃金日額の上限額、暫定措置の根拠となる附則、施行時期は、この記事では照合していません。具体の金額は、ハローワークの最新の案内で確認してください。

園(事業主)が行う手続きと期限

ハローワークの案内によると、園は、雇用している職員が対象家族の介護のため休業を開始した場合、休業開始時賃金月額証明書を、支給申請書を提出する日までに、事業所を管轄するハローワークに提出します。

賃金台帳や出勤簿など、記載内容を証明する書類を添付します。

支給申請を事業主を経由して行う場合、この証明書の提出は、支給申請と併せて行うことができます。

本人の希望があれば、職員が自ら申請することもできます。

支給申請の要点(ハローワークの案内)
項目内容
提出書類介護休業給付金支給申請書(下部に払渡希望金融機関指定届が付いている)
添付書類職員が提出した介護休業申出書/介護対象家族の氏名・続柄・生年月日などが確認できる書類(住民票記載事項証明書など)/介護休業の開始日・終了日と休業日数の実績が確認できる書類(出勤簿・タイムカード)/休業期間を対象として支払われた賃金が確認できる書類(賃金台帳)
提出先事業所の所在地を管轄するハローワーク(電子申請も利用できる)
提出期限各介護休業の終了日(介護休業が3か月を経過したときは開始日から3か月を経過した日)の翌日から2か月を経過する日の属する月の末日

園が確かめる順序

  1. 対象家族と休業の日数・回数を確かめる

    申出書の対象家族と、その家族について過去に取った介護休業の回数と日数を、休業の記録で合算します。

  2. 有期雇用の職員は、契約が満了しないかを確かめる

    介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでないかを、契約書で確かめます。

  3. 給付金の受給要件を確かめる

    休業開始前2年間の賃金支払の記録と、休業中に園が支払う賃金の額を確かめ、80%以上を支払う場合は給付金が出ないことを職員に伝えます。

  4. 休業開始時賃金月額証明書を準備する

    賃金台帳から休業開始前6か月の賃金を出し、支給申請書を出す日までに間に合うようにします。

  5. 休業が終わったら、期限までに支給申請を出す

    休業の終了日の翌日から2か月を経過する日の属する月の末日を、台帳に残します。

よくある質問

93日を何回かに分けて取れますか。

取れます。同じ対象家族について3回まで分けて取れ、日数は1回ごとに数えた合計が93日に達するまでです。3回取ると、日数が残っていても、その家族については申し出ることができません。

介護休業中に園が賃金を支払うと、給付金は出なくなりますか。

賃金の額によります。賃金だけで賃金日額×支給日数の80%以上になる場合は支給されず、給付金と賃金の合計が80%を超えるときは超えた額が減額されます。具体の額は、ハローワークで確認してください。

この給付金は、公定価格の試算に関係しますか。

関係しません。この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行います。介護離職を防ぐ園側の措置は、介護離職防止措置(雇用環境整備・個別周知)で整理しています。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は、育児・介護休業法第11条・第15条、雇用保険法第61条の4と、ハローワークインターネットサービスの介護休業給付の案内を扱います。省令の細目(要介護状態の定義、対象家族の範囲の省令部分)、金額の改定、暫定措置の根拠、様式、個別の職員への適用は照合していません。その後の改正も照合していません。

次に知りたいこと:介護離職防止措置(雇用環境整備・個別周知)、所定外労働の制限(残業免除)、出生後休業支援給付金。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

「職員の労働時間・休暇・雇用契約を確認したいとき」の解説一覧へ