この記事が答えること:3歳を過ぎた子を育てる職員に、園は何を用意するか
令和7年10月1日から、育児・介護休業法第23条の3により、事業主は3歳から小学校就学前の子を養育する職員に対して、柔軟な働き方を実現するための措置を講じる義務があります。
保育園も事業主なので、園の職員に対して同じ義務があります。
厚生労働省のリーフレットは、この義務を就業規則等の見直しが必要な「義務」に分類しています。
事業主は、5つの選択肢の中から2つ以上の措置を選択して講ずる必要があります。
職員は、園が講じた措置の中から1つを選択して利用することができます。
園が措置を選ぶときは、過半数組合等から意見を聴く機会を設ける必要があります。
この記事は、リーフレット「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」と、同じ改正に関する厚生労働省の施行通達の範囲で書いています。育児休業、子の看護等休暇、3歳未満の短時間勤務制度は別の制度で、この記事では扱いません。個別の職員への適用や、就業規則の条文は、社会保険労務士などの専門家と確認してください。
選べる措置は5つ。始業時刻の変更・テレワーク・保育施設・休暇・短時間勤務
| 措置 | リーフレットの内容 | 保育園で考えること(記事の整理) |
|---|---|---|
| 始業時刻等の変更 | 一日の所定労働時間を変更せず、フレックスタイム制、または始業・終業の時刻を繰り上げ繰り下げる制度(時差出勤) | 早番・遅番の勤務表で、保育士の配置が足りるか |
| テレワーク等 | 一日の所定労働時間を変更せず、月に10日以上利用できるもの。原則、時間単位で取得できること | 担任業務は園で行うため、使える職種が限られる |
| 保育施設の設置運営等 | 保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与(ベビーシッターの手配および費用負担など) | 自園の保育施設で職員の子を預かる場合の整理 |
| 養育両立支援休暇 | 就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇。一日の所定労働時間を変更せず、年に10日以上取得できるもの。原則、時間単位で取得できること | 子の看護等休暇、介護休暇、年次有給休暇とは別の休暇として設ける |
| 短時間勤務制度 | 一日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むもの | 短時間勤務の保育士が最低基準の人数に数えられる範囲は、別の記事を参照 |
施行通達は、養育両立支援休暇について、子の看護等休暇、介護休暇、労働基準法第39条の年次有給休暇として与えられるものを除くと書いています。
年次有給休暇や子の看護等休暇として与えるものは、この休暇に数えません。年次有給休暇に関わる例外の扱いは通達に別の定めがあるため、取り入れるときは専門家に確認してください。
措置を選ぶ前に、過半数組合等の意見を聴く機会が必要
リーフレットは、事業主が講ずる措置を選ぶ際に、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があると書いています。意見を聴く手順を飛ばして、5つの中から決めて就業規則に書く進め方は、リーフレットの説明と合いません。
職員代表などから意見を聴く場を設け、日時と出た意見を記録に残す。
対象は3歳から就学前の子を養育する職員。労使協定で外せる職員は限られる
施行通達は、対象を3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者としています。
日々雇用される者を除き、期間を定めて雇用される者でも、別の要件を課さず対象としています。
パートの保育士や有期の職員も、対象から外せません。
労使協定で適用しない者として定められるのは、雇入れ後1年未満の職員と、1週間の所定労働日数が2日以下の職員です。
養育両立支援休暇を1日未満の単位で取るのが難しい業務の職員は、時間単位の取得の対象から外せると、施行通達が書いています。
この除外は、労使協定を結んだ場合に限られます。
3歳になる前の1年間に、措置の個別周知と意向確認を行う
3歳未満の子を養育する職員に対して、事業主は、子が3歳になるまでの適切な時期に、選んだ措置についての個別周知と、利用の意向の確認を行う必要があります。
リーフレットが示す周知の時期は、労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間です。
言い換えると、子が1歳11か月に達する日の翌々日から、2歳11か月に達する日の翌日までです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 周知事項 | ①園が選んだ措置(2つ以上)の内容、②措置の申出先(例:人事部など)、③所定外労働(残業免除)・時間外労働・深夜業の制限に関する制度 |
| 方法 | 面談、書面交付、FAX、電子メール等のいずれか。面談はオンラインでもよい。FAXと電子メール等は、職員が希望した場合のみ |
| してはいけないこと | 利用を控えさせるような個別周知と意向確認は認められない |
| 望ましいこと | 上記の時期以外にも、育児休業後の復帰時や、短時間勤務や措置の利用期間中にも、選んだ制度が適切か確認する |
リーフレットには、これとは別に、妊娠・出産等の申出時と、子が3歳になる前の適切な時期に、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取と配慮を事業主の義務とする記載があります。
勤務時間帯、勤務地、両立支援制度等の利用期間、業務量、労働条件の見直しなどが、配慮の例として挙げられています。
園が確かめる順序
対象の職員を洗い出す
子が3歳から小学校就学前の職員と、これから3歳になる職員を、雇用形態に関係なく一覧にします。日々雇用の職員は対象外です。
5つのうち、園が回せる措置を2つ以上選ぶ
勤務表で人員が回るか、シフトに入れた状態で確かめます。養育両立支援休暇とテレワークは、原則、時間単位で取れる形が必要です。
過半数組合等の意見を聴き、記録を残す
措置を決める前に、職員代表などから意見を聴く機会を設けます。
就業規則に書き、労使協定の要否を決める
雇入れ後1年未満の職員などを外す場合は、労使協定が必要です。就業規則の条文は専門家と確認します。
3歳の誕生日の1か月前までの1年間に、個別周知と意向確認を行う
対象の職員ごとに、時期と方法を台帳に書き、いつ誰に行ったかを残します。
よくある質問
- 園が用意する措置は、5つ全部ですか。
いいえ。リーフレットは、5つの措置の中から2つ以上を選んで講じるとしています。職員は、園が講じた措置の中から1つを選んで利用します。
- 年次有給休暇を、養育両立支援休暇として扱ってよいですか。
施行通達は、子の看護等休暇、介護休暇、年次有給休暇として与えられるものを、この休暇から除くとしています。年次有給休暇に関わる例外の扱いは通達に別の定めがあるため、取り入れるときは専門家に確認してください。
- パートの保育士も対象ですか。
施行通達は、日々雇用される者を除き、期間を定めて雇用される者も、別の要件を課さず対象としています。労使協定で外せるのは、雇入れ後1年未満の職員と、週の所定労働日数が2日以下の職員などに限られます。
- この措置は、公定価格の試算に関係しますか。
関係しません。この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行います。短時間勤務の保育士を最低基準の人数に数えられる範囲は、勤務時間短縮の保育士と定数の通知で整理しています。
自園の条件で試算する
この記事は、厚生労働省リーフレットの「10 柔軟な働き方を実現するための措置等」と、施行通達の第23条の3の部分を扱います。措置の具体的な要件の細目(省令の条文)、就業規則の規定例、個別の職員への適用は照合していません。その後の改正も照合していません。
次に知りたいこと:保育園の職員の子の看護等休暇、保育園の職員の育児休業、保育園の就業規則の作成と届出。
ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧
この記事が参照した一次資料
- 育児・介護休業法第23条の3(柔軟な働き方を実現するための措置)、厚生労働省リーフレット「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」、育児・介護休業法施行通達(令和7年10月1日から適用される部分)
平成3年法律第76号/令和7年度対象外/確認日 2026-10-31