この記事が答えること:子の出生直後の休業で、育児休業給付に何が上乗せされるか
雇用保険法第61条の10は、被保険者が子の出生直後の一定の期間内にその子を養育するための休業をしたとき、一定の要件を満たせば出生後休業支援給付金を支給すると定めています。
厚生労働省のパンフレットによると、この給付金は2025(令和7)年4月1日に創設され、出生時育児休業給付金(産後パパ育休)または育児休業給付金の支給を受ける人に上乗せで支給されます。
園の職員が出生直後に休業に入るときは、園(事業主)が行う申請の書類も、この給付金を含む形になります。
この記事は、雇用保険法の条文(e-Gov法令検索)と、厚生労働省のパンフレット「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(2026(令和8)年8月1日改訂版)の範囲で書いています。支給額の上限額は毎年改定されるため、ここには書きません。個別の職員が受けられるか、いくら受け取れるかは、事業所を管轄するハローワークで確認してください。育児休業そのものの申出と拒絶、育児時短就業給付金は、この記事では扱いません。
支給要件は3つ。休業の日数と、配偶者の休業がそろって初めて対象になる
条文では、次の3つの要件のすべてに当たるときに支給されます。
パンフレットによると、支給を受けるには、先に出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給を受けられる休業であることが前提です。
就労状況や賃金の支払状況でこれらの給付金が不支給になった場合は、出生後休業支援給付金も支給されません。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 雇用保険の加入期間 | 出生後休業を開始した日の前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12か月以上ある(疾病などで30日以上賃金が支払われない期間があれば、その日数を2年に加算し、最長4年間まで) |
| ② 本人の休業日数 | 子の出生直後の対象期間内にした出生後休業が、通算して14日以上ある |
| ③ 配偶者の休業 | 配偶者も、同じ子について、子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの間に、通算14日以上の出生後休業をした |
対象期間は、産後休業(労働基準法第65条第2項の休業)をしなかったときは、子の出生の日から8週間を経過する日の翌日までです。
産後休業をしたときは、出生の日(出産予定日との前後で起点が変わります)から16週間を経過する日の翌日までです。
③の配偶者の休業は、一定の場合には要件から外れます(次の節)。
配偶者の休業が要らない場合がある
条文第2項は、次のどれかに当たる場合、③の配偶者の休業を要件から外すと定めています。
パンフレットによると、配偶者が子を出産している場合(父親で、子が養子でない場合)は、子の出生日の翌日に配偶者が産後休業中であるなどの理由で、③を満たすことになります。
| 場合 | 内容 |
|---|---|
| 配偶者がいない | 配偶者のない者その他、厚生労働省令で定める者(パンフレットに具体例の一覧がある) |
| 配偶者が雇われて働いていない | 配偶者が適用事業に雇用される労働者でない(パンフレットは「無業者」と「自営業者・フリーランスなど」を別の事由として挙げる) |
| 配偶者が産後休業をした | 配偶者が同じ子について、労働基準法第65条第2項の産後休業その他これに相当する休業をした |
| 配偶者が休業できない | 上のほか、配偶者が子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの間に子を養育する休業をすることができない場合として、厚生労働省令で定める場合 |
配偶者が無業者または雇用される労働者でない場合は、厚生労働省の案内によると、その確認書類として課税(非課税)証明書の提出が求められています。
この確認書類は、マイナンバーを活用して地方税情報を確認する試行運用が行われており、配偶者の同意書を併せて提出する取扱いが案内されています。
支給額は、賃金日額×休業日数(28日が上限)の13%
条文第6項は、支給額を賃金日額に、対象期間内に出生後休業をした日数(28日が上限)を掛けた額の13%と定めています。
パンフレットによると、出生時育児休業給付金や育児休業給付金の給付率は67%で、これに13%が加わり、合わせて休業開始時賃金日額の80%になります。
育児休業中は申出により健康保険料・厚生年金保険料が免除され、勤務先から給与が支給されない場合は雇用保険料の負担がなく、給付金は非課税のため、手取りとしては休業前の10割相当になる、とパンフレットは説明しています。ただし、休業開始時賃金日額には上限額があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 上乗せの割合 | 賃金日額の13%(出生時育児休業給付金・育児休業給付金の67%に加えて、合わせて80%) |
| 日数の上限 | 出生後休業をした日数が28日を超えるときは、28日分まで |
| 園が休業期間中に賃金を支払うとき | 支払った賃金が「休業開始時賃金日額×休業日数」の13%以下なら、出生時育児休業給付金も出生後休業支援給付金も減額されない。13%超〜80%未満なら出生時育児休業給付金が減額され、出生後休業支援給付金は減額されない。80%以上なら、どちらも支給されない(産後パパ育休の場合のパンフレットの表) |
| 同じ子の休業が複数回あるとき | 2回目以後の休業は、省令で定める場合に当たらないと支給されない。5回目以後の休業、28日に達した後の休業も支給されない |
賃金日額の上限額、複数回取得が認められる省令の細目は、この記事では照合していません。具体の金額は、パンフレットの最新版で確認してください。
産後パパ育休の場合、園(事業主)が行う申請は原則として園の側の手続き
パンフレットによると、産後パパ育休(出生時育児休業)の場合、出生時育児休業給付金と出生後休業支援給付金の支給を受けるには、休業を開始した職員を雇用している事業主が、受給資格確認と支給申請の手続きを行います。
ただし、本人の希望があれば、職員が直接提出することもできます。
育児休業給付金に上乗せして受ける場合は、支給申請の時期がこの表と異なり、原則として2か月に一度で、時期はハローワークが指定します。育児休業の側の手続きは、パンフレットの育児休業給付金の章で確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出する書類 | 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書と、育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書 |
| 申請書のまとめ方 | 2つの給付金は原則として1つの申請書で一体的に申請する。出生時育児休業給付金の支給決定後に、出生後休業支援給付金だけを単独で申請することもできる |
| 提出先 | 事業所の所在地を管轄するハローワーク(電子申請も利用できる) |
| 申請できる日 | 子の出生日(出産予定日前に生まれたときは出産予定日)から8週間を経過する日の翌日から。産後パパ育休が28日に達したとき、2回目の産後パパ育休を終えたときは、その翌日から |
| 提出期限 | 申請できる日から2か月を経過する日の属する月の末日 |
| 添付書類 | 賃金台帳・出勤簿・育児休業申出書などの賃金と休業の確認書類。配偶者が子を出産している場合は、さらに母子健康手帳(出生届出済証明のページ)または医師の診断書(分娩予定日証明書)。養子など配偶者が出産していない場合は、配偶者の休業などを確認できる別の書類(パンフレットの該当頁) |
園が確かめる順序
職員の休業が、出生時育児休業か育児休業かを確かめる
申出書と休業の期間を確かめ、どちらの給付金の対象かを職員に伝えます。出生後休業支援給付金は、これらの給付金に上乗せして支給されます。
職員の休業日数が通算14日以上かを確かめる
対象期間(子の出生日から8週間を経過する日の翌日まで。産後休業をした職員は異なる)内の休業日数を、休業の予定表で数えます。
配偶者の休業、または配偶者の休業が要らない事情を確かめる
配偶者の勤務先や事情は園が把握できないため、職員に申し出てもらいます。配偶者が自営業などの場合は、確認書類が必要になります。
休業開始時賃金月額証明書と申請書を準備し、ハローワークに出す
賃金の記録を給与台帳から出し、申請できる日と提出期限を台帳に残します。
よくある質問
- 男性職員の産後パパ育休だけが対象ですか。
条文は、被保険者が対象期間内にその子を養育するための休業をしたときの給付金として定めており、男性に限っていません。産後休業をした被保険者についても、対象期間が定められています。個別の職員が対象になるかは、ハローワークで確認してください。
- 配偶者が自営業で、育児休業を取れない場合はどうなりますか。
条文第2項により、配偶者が適用事業に雇用される労働者でない場合は、③の配偶者の休業が要件から外れます。確認書類として、課税(非課税)証明書が求められます。
- この給付金は、公定価格の試算に関係しますか。
関係しません。この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行います。職員の産休・育休中の代替職員の配置は、育児休業の申出と拒絶(1歳・2歳・出生時)などで整理しています。
自園の条件で試算する
この記事は、雇用保険法第61条の10と、厚生労働省パンフレット(令和8年8月1日改訂版)の「出生後休業支援給付金の支給要件」「手続」を扱います。省令の細目、賃金日額の上限額、添付書類の様式、個別の職員への適用は照合していません。その後の改正も照合していません。
この記事が参照した一次資料
- 雇用保険法第61条の10(出生後休業支援給付金)、厚生労働省パンフレット「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版)
昭和49年法律第116号/令和8年度対象外/確認日 2026-10-31