解説

保育園の職員の所定外労働の制限(残業免除):小学校就学前の子まで拡大・請求の期間と断れる場合(令和7年4月1日施行)

育児・介護休業法第16条の8の所定外労働の制限(残業免除)を、条文と厚生労働省のリーフレットで整理します。令和7年4月1日から3歳未満の子から小学校就学前の子に広がった対象、請求の期間(1か月以上1年以内・開始の1か月前まで)、園が断れる場合と労使協定で外せる職員を説明します。

この記事が答えること:残業免除を請求できる職員は、どの子まで広がったか

育児・介護休業法第16条の8は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する職員が請求したとき、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならないと定めています。

保育園も事業主なので、園の職員から請求があれば同じ義務があります。

厚生労働省のリーフレットによると、令和7年4月1日の施行前は請求できるのは3歳未満の子を養育する職員でしたが、施行後は小学校就学前の子を養育する職員に広がりました。

この記事は、育児・介護休業法の条文(e-Gov法令検索)と、厚生労働省のリーフレット「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」の範囲で書いています。省令が定める細目、就業規則の条文、個別の職員への適用は扱いません。専門家(社会保険労務士など)と確認してください。時間外労働(法定労働時間を超える分)の制限や深夜業の制限は別の制度で、この記事では扱いません。

請求できるのは、小学校就学前の子を養育する職員。園が断れるのは限られる

第16条の8の骨組み(条文の記載)
項目条文の内容
対象小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者
原則請求があれば、所定労働時間を超えて労働させてはならない
例外(断れる場合)事業の正常な運営を妨げる場合
労使協定で外せる職員事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない職員と、省令で定める職員(過半数組合または過半数代表者との書面による協定が必要)

断れるのは事業の正常な運営を妨げる場合だけです。

条文が書く例外は、この一つだけです。

断るかどうかは、請求した職員の業務や配置の状況から個別に考える事項で、専門家と確認してください。

労使協定がなければ、勤続1年未満でも外せない

勤続1年に満たない職員を請求の対象から外せるのは、過半数組合または過半数代表者との書面による協定を結んだ場合です。就業規則に書いただけでは、条文が定める外し方にはなりません。

外すときは、協定の書面を作り、対象の範囲を省令と照らして専門家に確認する。

「所定労働時間」は、園が就業規則などで定めた1日の勤務時間です。

そのため、所定の勤務時間を超えて園に残る業務が、免除の対象に入ります。

免除を受けた職員を、所定の時間を超えて勤務させる扱いは、請求があった期間中は、例外に当たる場合を除いてできません。

請求の期間は1か月以上1年以内。開始予定日の1か月前までに請求する

請求の期間と時期(条文の記載)
項目内容
制限期間1か月以上1年以内の一つの期間。開始予定日と終了予定日を明らかにして請求する
請求の時期開始予定日の1か月前まで
時間外労働の制限との関係条文は、この制限期間を、第17条第2項に定める時間外労働の制限期間と重複しないようにするよう求めている
請求がなかったものとされる場合開始予定日の前日までに、子の死亡など、子を養育しなくなった事由が生じたとき

制限期間は、次のいずれかの事情が生じた日に終わります。

終了予定日の前日までに子が小学校就学の始期に達したこと。

終了予定日までに、産前産後休業、育児休業、出生時育児休業、介護休業の期間が始まったこと(この場合は、その前日に終わります)。

子の死亡など、養育しなくなった事由が生じたときも終わります。

請求した職員への不利益な扱いは禁止

第16条の10は、請求をしたこと、または免除により残業をしなかったことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと定めています。請求を受けた職員への評価や配置の変更が、請求を理由とした不利益な取扱いに当たらないか、注意が必要です。

請求を受けた職員の評価や配置の変更は、理由を記録して専門家と確認する。

介護の場合も同じ仕組みがある

第16条の9は、要介護状態にある対象家族を介護する職員にも、第16条の8の仕組みを準用しています。

子の養育と同じ考え方で、請求があれば所定労働時間を超えて労働させてはならず、事業の正常な運営を妨げる場合は例外になります。

この記事は子の養育を扱うため、介護の細目は条文で確かめてください。

園が確かめる順序

  1. 請求者の子が小学校就学前かを確かめる

    令和7年4月1日以降は、3歳以上でも小学校就学前なら請求できます。

  2. 労使協定で外す職員がいるかを確かめる

    勤続1年未満などを外すなら、過半数組合または過半数代表者との書面の協定が要ります。

  3. 請求の期間と時期を確かめる

    1か月以上1年以内で、開始予定日の1か月前までに請求されているか確かめます。

  4. 断る場合は、事業の正常な運営を妨げるかを個別に考える

    断る場合は理由を記録し、専門家と確認します。

  5. 就業規則に書き、シフトを組み直す

    免除を受ける職員の勤務表を、所定の勤務時間の中で組み直します。

よくある質問

いつから、小学校就学前の子まで請求できますか。

厚生労働省のリーフレットによると、令和7年4月1日からです。施行前は3歳未満の子を養育する職員に限られていました。

人手が足りない日でも、断れませんか。

条文が認める例外は事業の正常な運営を妨げる場合です。人手が足りないことだけで一律に断れるとは条文に書かれていません。個別に考える事項なので、専門家と確認してください。

パートの保育士も請求できますか。

条文は、労使協定で外せる職員を、勤続1年未満の職員と省令で定める職員としています。パートであることだけを理由に外せるとは条文に書かれていません。省令の細目は照合していないため、専門家と確認してください。

この制度は、公定価格の試算に関係しますか。

関係しません。この試算ツールは公定価格(施設型給付費・委託費)の算定のみを行います。延長保育の職員配置は延長保育事業の実施要綱で整理しています。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は、育児・介護休業法第16条の8から第16条の10の条文と、リーフレットの「2 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大」を扱います。省令が定める細目、就業規則の規定例、個別の職員への適用は照合していません。その後の改正も照合していません。

次に知りたいこと:保育園の36協定と時間外労働の上限、育児期の柔軟な働き方の措置、産前産後休業と育児時間。

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