解説

保育所の衛生管理と感染症・食中毒予防の研修・訓練(第10条)

保育所の衛生管理について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第10条のうち保育所に関わる項目を整理します。設備・食器・飲用水の衛生管理(第1項)、感染症・食中毒の予防の研修と訓練(第2項、努力義務)、医薬品等の備えと管理(第5項)の3つと、保育所に当たらない第3項・第4項の区別を確認します。

第10条は5つの項があり、保育所に当たるのは第1項・第2項・第5項の3つ

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第10条(衛生管理等)は5つの項からなり、保育所に当たるのは第1項、第2項、第5項の3つです。

第3項は障害児入所施設等だけが対象で、第4項は括弧書きで助産施設、保育所、児童厚生施設が除かれています。

第10条の各項と保育所の関係(確認日 2026-10-13)
項内容保育所条文の書き方
第1項入所している者の使用する設備、食器等、飲用に供する水の衛生管理当たる衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講じなければならない
第2項職員への感染症・食中毒の予防とまん延防止の研修、感染症の予防とまん延防止の訓練当たる定期的に実施するよう努めなければならない
第3項委員会の開催、指針の整備、研修・訓練の実施障害児入所施設等のみ講じなければならない
第4項入所している者の入浴・清拭保育所は除かれる適切に入浴させ、又は清拭しなければならない
第5項必要な医薬品その他の医療品の備えと適正な管理当たる備えるとともに、管理を適正に行わなければならない

第3項の委員会・指針の整備は、保育所には義務づけられていません。保育所に当たるのは、第2項の研修と訓練を定期的に行うよう努める部分です。

第1項は設備・食器・飲用水の衛生管理を「努め、又は措置を講じ」と定める

第1項は、入所している者の使用する設備、食器等、飲用に供する水について、衛生的な管理に努めるか、衛生上必要な措置を講じることを求めています。

対象は、園児が使う設備、食器、飲む水の3つです。具体的な管理の方法や頻度は条文に書かれていないため、園の衛生管理の手順や自治体の指導で確かめます。

第2項の研修と訓練は努力義務で、研修と訓練で対象が分かれる

第2項は、園で感染症や食中毒が発生し、またはまん延しないように、職員への研修と訓練を定期的に実施するよう努めることを求めています。

条文は、研修と訓練で対象を分けて書いています。

第2項の研修と訓練(確認日 2026-10-13)
項目予防・まん延防止の対象
研修感染症及び食中毒
訓練感染症のみ

「努力義務だから実施しなくてよい」とは読めない

条文は定期的な実施に努めることを求めていますが、回数は決めていません。第10条のうち従うべき基準に列挙されているのは第3項だけで、第2項は参酌すべき基準(第1条第4号)に当たり、条例での扱いが自治体によって違う場合があります。

所轄の自治体の条例と、監査で配られる確認表で、研修と訓練の扱いと回数の目安を確かめます。

第5項は、医薬品等の備えと管理を求めている

第5項は、必要な医薬品その他の医療品を備えるとともに、それらの管理を適正に行うことを求めています。

第1項・第2項と違い、備えと管理が「しなければならない」という書き方です。

職員の健康診断や嘱託医については、保育所の健康診断と嘱託医で整理しています。

確認の順序

設備・食器・水の管理、研修と訓練の記録、医薬品の管理の順に確かめます。

  1. 設備・食器・飲用水の衛生管理の手順があるか確かめる

    園児が使う設備、食器、飲用水のそれぞれについて、誰がいつ管理するかが決まっているかを見ます。

  2. 感染症と食中毒の研修、感染症の訓練を行った記録があるか確かめる

    日付、内容、参加した職員が分かる形で残します。訓練の対象が感染症である点に注意します。

  3. 医薬品等の備えと管理の記録があるか確かめる

    備えている品目と、管理する人、点検した日を見ます。

感染症や非常災害のあとも園の機能を続けるための計画は業務継続計画(第9条の3)で、指導監査で見られる項目は指導監査の確認表で整理しています。

この記事・試算で扱わないこと

この記事は省令の条文の説明で、衛生管理の具体的な手順や、個々の園の対応が基準を満たしているかの判定は行いません。

感染症の発生時の対応や食中毒の届出などは、所轄の自治体や保健所に確認してください。

試算ツールも、運営基準を満たすかどうかの判定は対象外です。

よくある質問

第10条のうち、保育所に当たるのはどの項ですか。

第1項、第2項、第5項の3つです。第3項は障害児入所施設等だけが対象で、第4項は括弧書きで保育所が除かれています。

感染症と食中毒の研修や訓練は、義務ですか。

第2項は、定期的に実施するよう努めなければならないと書く努力義務の形です。回数は条文に書かれておらず、条例での扱いは所轄の自治体で確認してください。

訓練は、食中毒も対象ですか。

条文では、研修は感染症と食中毒の両方、訓練は感染症のみが対象です。

保育所は、感染症対策の委員会や指針を設ける必要がありますか。

委員会や指針の整備を定める第3項は、障害児入所施設等が対象です。保育所は第3項の対象ではありません。

この試算ツールで、衛生管理の整備を確認できますか。

できません。この試算は公定価格(委託費)の算定に特化しており、運営基準を満たすかどうかの判定は対象外です。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていないことも表示されます。

公定価格の試算を開く

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

  • 公定価格とは・決まり方:保育所の計算方法と基本分単価の内訳

    保育園の公定価格の決まり方を解説。公定価格とは、特定教育・保育等に要する費用の額で、保護者の保育料とは別の施設側の総額です。基本分単価の内訳は地域区分・定員区分・年齢区分・保育必要量の4つで決まります。計算は基本分単価・加算・減算・園児数の4手順で、試算画面の入力欄も確認できます(子ども・子育て支援法第27条第3項)。

    関連する理由:

  • 保育所の保護者からの苦情への対応(窓口・記録の5年保存・市町村への報告)

    保育所は、保護者などからの苦情を受け付ける窓口を設け、内容を記録します。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第14条の3と、特定教育・保育施設の運営基準の第30条・第34条から、窓口、記録、記録の5年保存、市町村から指導を受けたときの改善と報告、第三者の関与が必要な施設との違いを整理します。

    関連する理由: 共通する試算入力/共通する一次資料

  • 保育所の業務継続計画(BCP)の策定・周知・研修と訓練・見直し(努力義務)

    保育所の業務継続計画(BCP)について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第9条の3が求める中身を整理します。策定、職員への周知と研修・訓練、定期的な見直しの3項目、書き方が努力義務である点、非常災害対策・安全計画との違いを確認します。

    関連する理由: 共通する試算入力/共通する一次資料

  • 保育所等の定員充足率と待機児童数(令和7年4月1日)と利用調整の事務連絡

    令和7年9月12日のこども家庭庁の事務連絡は、令和7年4月1日時点の保育所等の利用定員・利用児童数・待機児童数・定員充足率を示したうえで、市町村に利用調整を丁寧に進めるよう求めています。事務連絡の原文に沿って、示された数字、優先度を踏まえた利用調整の考え方、自治体の工夫の事例、園の運営との関係を整理します。

    関連する理由: 共通する試算入力

「定員・在籍・利用開始の時期が変わるとき」の解説一覧へ