解説

保育所の保護者からの苦情への対応(窓口・記録の5年保存・市町村への報告)

保育所は、保護者などからの苦情を受け付ける窓口を設け、内容を記録します。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第14条の3と、特定教育・保育施設の運営基準の第30条・第34条から、窓口、記録、記録の5年保存、市町村から指導を受けたときの改善と報告、第三者の関与が必要な施設との違いを整理します。

苦情を受け付ける窓口を設け、内容を記録する。2つの省令が求めている

保育所の苦情対応は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第14条の3と、特定教育・保育施設の運営基準の第30条が定めています。

どちらも、苦情に迅速かつ適切に対応するため、苦情を受け付けるための窓口を設置するなどの必要な措置を講じることを求めています。

運営基準の第30条第2項は、これに加えて、苦情を受け付けた場合に苦情の内容等を記録することを求めています。

2つの省令の苦情対応の定め(確認日 2026-10-13)
省令対象求めていること
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第14条の3入所している者またはその保護者等からの苦情窓口の設置などの措置。都道府県または市町村から指導・助言を受けたら従って改善する。運営適正化委員会の調査にできる限り協力する
特定教育・保育施設の運営基準 第30条教育・保育給付認定子どもまたはその保護者・家族からの苦情窓口の設置などの措置。苦情の内容等の記録。市町村の事業への協力に努める。指導・助言に従った改善と、求めがあれば改善内容の報告

運営基準は、市町村が条例を定めるときの基準として内閣府令が示すものです。苦情解決の第30条は、条例を定めるときに従うべき基準の条には挙げられておらず、条例の中身は市町村ごとに確認が必要です。

記録した苦情の内容等は、完結の日から5年間保存する

運営基準の第34条第2項は、苦情の内容等の記録を、その完結の日から5年間保存することを求めています。

同じ項に並ぶのは、特定教育・保育の提供に当たっての計画、提供の記録、市町村への通知に係る記録、事故の状況と処置の記録です。

苦情の記録は、これらと並ぶ、保存期間のある記録の1つです。

第34条第2項の記録(完結の日から5年間保存、確認日 2026-10-13)
記録根拠
特定教育・保育の提供に当たっての計画第15条第1項各号
特定教育・保育の提供の記録第12条
市町村への通知に係る記録第19条
苦情の内容等の記録第30条第2項
事故の状況と、事故に際して採った処置の記録第32条第3項

「完結の日」の数え方は、条文だけでは決まらない

条文は「その完結の日から」としか書いていません。苦情の対応が終わった日をどう決めるかは、条文に説明がありません。

記録の様式に、受付日と対応の終了日を分けて書く欄を設け、保存期間の起算日を所轄の市町村に確認します。

市町村から指導を受けたら、従って改善し、求められれば内容を報告する

市町村が苦情について調査をしたり、指導・助言をしたりしたときの園の対応は、運営基準の第30条第4項・第5項に書かれています。

園は、市町村の調査に協力し、指導・助言を受けた場合は、従って必要な改善を行います。

市町村から求めがあった場合は、改善の内容を市町村に報告します。

児童福祉施設の基準の第14条の3第3項も、市町村から指導・助言を受けた場合は従って必要な改善を行うと定めています。

運営適正化委員会(社会福祉法第83条)が行う調査には、できる限り協力するよう求められています(第14条の3第4項)。

第三者を関与させる義務があるのは、保育所には当たらない施設

第14条の3第2項が、苦情の解決に当たって施設の職員以外の者を関与させなければならないとしているのは、乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設です。

保育所は、この列挙に含まれていません。

したがって、保育所について、第三者委員の設置をこの条文から読み取ることはできません。自治体が独自に求める取扱いがないかは、所轄の市町村で確認します。

確認の順序

窓口、記録の様式、保存、市町村への対応の順に確かめます。

  1. 苦情を受け付ける窓口が決まり、保護者に伝わっているか確かめる

    担当者名や受付の方法を、園内の掲示や配布物で保護者が分かる形にしているかを見ます。

  2. 苦情を受けたときに内容等を記録する様式があるか確かめる

    受付日、内容、対応、対応の終了日を残せる様式かを見ます。

  3. 記録を、完結の日から5年間保存する取り決めがあるか確かめる

    紙と電子のどちらで保存するかを決め、起算日を市町村に確認します。

  4. 市町村から指導・助言を受けたときの、改善と報告の担当を決めておく

    改善の内容を求めに応じて報告できるよう、対応の経過も記録に残します。

この記事・試算で扱わないこと

この記事は省令の条文の説明で、個別の苦情への対応方法や、園の運用が基準を満たしているかの判定は行いません。

条例の内容と運用は、所轄の市町村に確認してください。

試算ツールも、運営基準を満たすかどうかの判定は対象外です。

よくある質問

保育所は、苦情の受付窓口を必ず設けないといけませんか。

児童福祉施設の基準の第14条の3第1項と、運営基準の第30条第1項は、窓口を設置するなどの必要な措置を講じることを求めています。窓口の形は条文に細かい指定がないため、市町村の条例と指導で確認してください。

苦情の記録は、いつまで保存しますか。

運営基準の第34条第2項は、苦情の内容等の記録を、その完結の日から5年間保存することを求めています。起算日の考え方は、市町村に確認してください。

苦情の第三者委員を置く必要はありますか。

第14条の3第2項が第三者の関与を求めているのは、乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設です。保育所は列挙に含まれません。自治体の独自の取扱いは、市町村で確認してください。

市町村から指導を受けたら、報告も必要ですか。

運営基準の第30条第5項は、市町村から求めがあった場合に、改善の内容を報告することを求めています。

この試算ツールで、苦情対応の基準を確認できますか。

できません。この試算は公定価格(委託費)の算定に特化しており、運営基準を満たすかどうかの判定は対象外です。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていないことも表示されます。

公定価格の試算を開く

監査での確認項目は指導監査の確認表で、健康診断と嘱託医の条文は保育所の健康診断と嘱託医・医務室・調理員で整理しています。

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