解説

保育所の指導監査で確認される事項と関連記事の対応表

こども家庭庁の標準監査調書(保育所)は、運営管理・保育内容・会計の3つの大分類で監査項目を整理しています。職員配置・安全計画・会計を中心に、監査調書の項目と本サイトの関連記事を対応させ、自己点検票の公定価格確認項目(保育所35項目)も載せました。

保育園の監査とは:自治体が運営の状況を調書で確認する指導監査

保育所に対する監査は、児童福祉法第46条第1項に基づく自治体の事務(自治事務)で、国は「児童福祉行政指導監査の実施について」の通知で標準の監査項目を示しています。自治体の担当者が、保育所の運営の状況を監査調書の項目に沿って確認します。

聞かれる内容は、標準の監査調書の番号1〜121の項目です。運営管理(番号1〜58)、保育内容(番号59〜112)、会計(番号113〜121)に分かれます。

調書の「着眼点」の列には、確認する書類の例が書かれています。人権擁護の体制は運営規程や園則、こどもの意見を受け止める取組は指導計画や会議録、人権の研修は研修計画や研修報告書や会議録で確認する、という書き方です。

指摘を受けた場合の扱いは、下の「指摘の区分」の表のとおりで、改善報告書の提出を求める文書指摘から、助言指導まで3種類あります。

監査の事前提出書類・事前提出情報・自己点検票の様式や、実際に確認される項目は自治体によって異なります。個別の保育所の評価や指摘の有無は、この記事では判断しません。

国の標準監査調書は、保育所の監査項目を3つの大分類で整理している

こども家庭庁は令和8年3月30日付の通知改正で、保育所の監査について標準的な監査調書と自己点検票を示しました。保育所に対する監査は児童福祉法第46条第1項に基づく自治事務で、通知は技術的助言であり、標準様式の項目を全て守らなければならない趣旨ではないと別添1に書かれています。自治体は条例などに応じて、項目を追加・変更できます。

標準様式の保育所版(施設監査(A)保育所)には、番号1〜121の項目があります。大分類は、運営管理(番号1〜58)、保育内容(番号59〜112)、会計(番号113〜121)です。各項目は「適/否/対象外」で確認し、「対象外」を選ぶときは理由を備考欄に書く想定です。

この記事は、国の標準様式に載っている項目の分類と、本サイトの関連記事との対応を示すものです。自治体ごとの監査項目・実施時期・指摘の判断は、所在地の自治体の案内で確認してください。

運営・会計・職員配置の項目と、関連記事の対応表

標準監査調書(保育所)の項目と関連記事(出典: 監査調書(標準様式)施設監査(A)保育所、確認日 2026-10-09)
大分類・中分類(調書の番号)調書が確認する内容調書の評価区分確認に使う記事
運営管理・職員(48〜53)嘱託医・調理員を置いているか。年齢区分ごとの保育士数が児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第33条第2項の基準を満たしているか文書指摘事項『年齢別の保育士配置基準の確認』『配置基準を割り込んだときの行政上の扱い』『看護師等の保育士みなし特例』
運営管理・安全計画の策定(6〜10)保育所等における安全計画の策定に関する項目文書指摘事項『安全計画の未策定による減算』
運営管理・帳簿(25)職員、財産、収支および児童の処遇の状況を明らかにする帳簿を整備しているか(設備運営基準第14条)文書指摘事項『私立保育所の公定価格「委託費」の法的根拠』
会計・認可基準の確認(113〜118)予算の編成と積算、事業費と事務費の流用、利用者負担金、他会計との貸借、現金・預金の保管、内部牽制体制(私立保育所が対象)文書指摘事項『委託費の弾力運用の要件』『私立保育所の公定価格「委託費」の法的根拠』
会計・社会福祉法人以外の設置認可の条件(119〜121)企業会計の帳簿と、行政提出用の決算書の整合、貸借対照表の現金預金の実在、経理規程に従った会計処理文書指摘事項『委託費の弾力運用の要件』
運営管理・必要な職員確保と職員処遇の充実(54〜57)各種手当の規定と支払い、労使協定の届出、計画的な採用、定着促進・離職防止の取組み参考項目(指導監督権限のある機関との連携を求める項目)対応する個別記事なし(処遇改善等加算の要件は別の記事で確認する)

表のうち会計の項目(113〜121)は、調書の「評価対象となる施設」の列で、113〜118が私立保育所、119・120が社会福祉法人以外(公立保育所を除く)、121が公立保育所以外とされ、公立保育所は対象外です。自園がどの区分に当たるかは、この列で確認します。

こども家庭庁の掲載ページには、委託費の経理等に関する監査用の標準様式も別に掲載されています。この記事ではその内容を確認していないため、委託費の使途や弾力運用の要件は、通知を整理した『委託費の弾力運用の要件』で確認してください。

表の「関連記事」は、調書の項目に合格する条件を示すものではない

対応表は、調書の項目名から関連する制度解説を探しやすくするためのものです。調書の着眼点(確認する書類や観点)や、指摘の区分を変更する判断は、実際に監査を行う自治体が決めます。

監査の通知が届いたら、自治体が使う調書と自己点検票の様式を先に入手し、この表の項目と照らす。

保育内容(番号59〜112)の中分類と、関連記事の対応表

標準監査調書(保育所)の保育内容の中分類と関連記事(出典: 監査調書(標準様式)施設監査(A)保育所のExcel、確認日 2026-10-22。項目ごとの評価区分は調書の列で確認)
中分類(調書の番号)調書が確認する内容確認に使う記事
一般原則(59〜66)人権擁護の体制、こどもの意見を受け止める仕組み、人権の研修、人格を傷つける言動、地域社会との交流、運営内容の説明、構造設備の採光・換気と危害防止『保育所の運営の一般原則(第5条)』『不適切な保育とは』
入所した者を平等に取り扱う原則(67)、虐待等の禁止(68〜69)国籍・信条・社会的身分・費用負担による差別的な扱いの有無、虐待その他の有害な行為の有無、虐待の発見と要保護児童を発見した場合の通報『保育所の職員の虐待等の禁止と秘密保持』『職員の虐待の通告義務』
衛生管理(70〜74)食器・飲用水・設備の衛生管理、感染症・食中毒の研修と訓練、医薬品の常備、調理設備と食材の衛生管理『保育所の衛生管理と感染症・食中毒予防の研修・訓練』
食事(75〜81)、食事(特例)(82〜87)園内調理の方法、献立・栄養、調理の手順、食育、委託調理の栄養面の指導を受ける体制、3歳未満児への配慮、調理設備、搬入(委託調理)で提供する場合の責任・栄養士の関与・受託者の条件・年齢や発達に応じた提供とアレルギー等への配慮・食育の計画『保育所の食事の提供(第11条)』『給食の外部搬入』『栄養管理加算の確認手順』
入所した者の健康診断(88〜90)入所時の健康診断、年2回以上の定期健康診断、健康診断の記録と保管『保育所の健康診断と嘱託医の条件』
保育時間(91)保育時間が1日8時間を原則として、保護者の労働時間などを考慮して保育所の長が定められているか『保育時間・開所時間・保育必要量の違い』
保育の内容(92)、保護者との連絡(93)保育所保育指針に従った保育、保護者との密接な連絡と理解・協力『保育所の保育の内容と保護者との連絡の違い』
地域の関係機関等との連携(94)、小学校教育との接続(95)、小学校との連携(96〜97)児童相談所・福祉事務所等との連絡調整、小学校教育との円滑な接続の取組、保育所児童保育要録の作成と小学校への送付『保育所の相談・援助と小学校等との連携』『保育所児童保育要録の作成・送付・保存』
業務の質の評価(98〜101)自己評価、評価結果を踏まえた改善、定期的な外部の評価と結果の公表『保育所の業務の質の評価』
保育の計画(102〜106)保健計画、3歳未満児の個別的な指導計画、全体的な計画、長期・短期の指導計画、保育の記録と見直し対応する個別記事なし(保育の内容の記事で、保育所保育指針に従う保育の考え方を確認できる)
事故防止及び安全対策(107〜112)睡眠中の事故防止(SIDS・窒息)、プール活動・水遊びの監視体制、食事中の誤嚥への配慮、窒息の可能性のある玩具などの点検、アレルギー疾患のある児童への対応、不審者の侵入防止と訓練『保育所の事故防止と事故発生時の対応』『保育所の重大事故が起きやすい場面別の注意事項』『保育所のアレルギー対応ガイドライン』『保育所の不審者侵入への備え』

調書の「適/否」は、自治体が使う項目の内容と書類で決まります。上の表は項目名から記事を探すための対応で、記事の内容がそのまま調書の基準になるわけではありません。

指摘の区分は3種類で、軽微な違反は口頭指摘に変えられる

評価区分の定義(別添1「保育所の監査について」、確認日 2026-10-09)
区分内容
文書指摘事項設備運営基準などの関係法令や通知に違反する場合は、原則として文書指摘事項とし、保育所からの改善報告書の提出を求める
口頭指摘事項改善報告書の提出がなくても改善が見込まれる場合は、自治体の判断で文書指摘から口頭指摘へ変更できる。単発的な事務処理のミスで修正が容易な場合、開設初年度で初回の監査かつ運営や安全に大きな支障がない場合、関係法令・通知の改正に伴い経過措置を適用する場合などが例示されている
助言指導事項法令の努力義務規定の違反、口頭指摘に至らない軽微な指摘、水準向上のための助言

文書指摘のうち、軽微なものは口頭指摘に変えられますが、変更するかどうかは自治体の判断です。

標準様式には、監査の準備に関わる列もあります。「事前提出書類」「事前提出情報」は、自己点検票と合わせて保育所が事前に出す書類や数値です。「毎年の確認を任意とする項目」は、直近の監査で指摘があった場合などを除き、毎年の確認を任意とする項目です。

自治体はこれらを参考に、実地で確認する項目を決める想定です。

公定価格確認項目(保育所・保育認定2・3号の35項目)と、関連記事の対応表

自己点検票は、保育所が監査の前に自己点検をするための標準様式です。公定価格の確認項目があるのは、子ども・子育て支援法に基づく確認指導監査の「(D)特定教育・保育施設・(E)特定地域型保育事業」の自己点検票で、その「3.2 保育所(保育認定2・3号)」(番号1〜35)です。

先に説明した児童福祉法に基づく「施設監査(A)保育所」の自己点検票(全32ページ)と監査調書には、「公定価格」の語がありません。自園の監査でどちらの様式を使うかは、自治体の案内で確認してください。

3.2の各項目は、回答欄が「適/否/対象外」の選択式で、根拠法令等は「子ども・子育て支援法第27条第3項」と「留意事項通知」です。項目の文言は、区分や加算ごとに「要件」「認定」「算定」などが「留意事項通知に適合しているか」を問う形で、金額や要件の数値は書かれていません。

自己点検票(標準様式)確認指導監査(D)(E)の「3.2 保育所(保育認定2・3号)」の項目と関連記事(出典: 同自己点検票のPDF p.37〜40、確認日 2026-10-22。どの項目も「留意事項通知に適合しているか」を問う)
番号区分調書の項目が問う内容確認に使う記事
1地域区分等・地域区分地域区分『地域区分と単価の根拠』
2地域区分等・定員区分定員区分『公定価格の決まり方』
3地域区分等・認定区分認定区分『認定区分2号・3号と公定価格』
4地域区分等・年齢区分年齢区分『公定価格の決まり方』
5地域区分等・保育必要量区分保育必要量区分『保育時間・開所時間・保育必要量の違い』
6基本部分・基本分単価額の算定、基本分単価に含まれる職員構成、連携施設経費『基本分単価の職員費用の区分』
7基本加算部分・処遇改善等加算要件、認定、算定(「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」に適合しているか)『処遇改善等加算』
8基本加算部分・3歳児配置改善加算要件、認定、算定『3歳児配置改善加算の要件と認定』
9基本加算部分・4歳以上児配置改善加算要件、認定、算定『4歳以上児配置改善加算の要件と認定』
10基本加算部分・1歳児配置改善加算要件、認定、算定『1歳児配置改善加算の要件と認定』
11基本加算部分・休日保育加算要件、認定、算定、実績の報告等『休日保育加算の確認』
12基本加算部分・夜間保育加算要件、算定(認定は問う文言に含まれない)『夜間保育加算の対象と計算』
13基本加算部分・減価償却費加算要件、認定、算定『施設整備費補助と減価償却費加算』
14基本加算部分・賃借料加算要件、認定、算定『賃借料加算の確認』
15基本加算部分・チーム保育推進加算要件、認定、算定、実績の報告等『チーム保育推進加算の確認』
16基本加算部分・副食費徴収免除加算要件、認定、算定『副食費徴収免除加算の確認』
17加減調整部分・分園の場合調整の適用を受ける施設の要件、調整額の算定『分園の基本分単価の調整』
18加減調整部分・施設長を配置していない場合調整の適用を受ける施設の要件、施設の認定、調整額の算定『施設長未配置の減算と兼務の判断』
19加減調整部分・土曜日に閉所する場合調整の適用を受ける施設の要件、施設の認定、調整額の算定『土曜閉所の減算と半日開所』
20加減調整部分・安全計画の策定等をしていない場合調整の適用を受ける施設の要件、施設の認定、調整額の算定『安全計画の未策定による減算』
21加減調整部分・経営情報の報告等を行っていない場合調整の適用を受ける施設の要件、施設の認定、調整額の算定『経営情報の未報告による減算』
22乗除調整部分・定員を恒常的に超過する場合調整の適用を受ける施設の要件、施設の認定、適用される基本部分と加減調整部分の額の調整の方法『定員超過による減算』
23特定加算部分・主任保育士専任加算要件、認定、算定『主任保育士専任加算の確認』
24特定加算部分・療育支援加算要件、認定、算定『療育支援加算の認定の確認』
25特定加算部分・事務職員雇上費加算要件、認定、算定『事務職員雇上費加算の確認』
26特定加算部分・冷暖房費加算要件、算定(認定は問う文言に含まれない)『冷暖房費加算の地域の確認』
27特定加算部分・除雪費加算要件、認定、算定『除雪費加算の地域の確認』
28特定加算部分・降灰除去費加算要件、認定、算定『降灰除去費加算の地域の確認』
29特定加算部分・高齢者等活躍促進加算要件、認定、算定、実績の報告等『高齢者等活躍促進加算の確認』
30特定加算部分・施設機能強化推進費加算要件、認定、算定、実績の報告等『施設機能強化推進費加算の確認』
31特定加算部分・小学校接続加算要件、認定、算定『小学校接続加算の確認』
32特定加算部分・栄養管理加算要件、認定、算定『栄養管理加算の確認手順』
33特定加算部分・特別地域保育体制確保対応加算要件、認定、算定、実績の報告等『特別地域保育体制確保対応加算』
34特定加算部分・第三者評価受審加算要件、認定、算定『第三者評価受審加算の確認』
35特定加算部分・保育ICT推進加算要件、認定、算定『保育ICT推進加算の確認』

表の「区分」は、原本の大分類と中分類を「・」でつないだものです。加算の申請書類の記載事項は『保育所の加算認定の申請に通知が挙げる記載事項』で確認できます。

原本の項目は「留意事項通知に適合しているか」を問うもので、各加算の要件や金額は書かれていません。要件は表の記事と留意事項通知で確認してください。ほかの施設類型(幼稚園・認定こども園・小規模保育事業など)の公定価格確認項目は、同じ自己点検票の別の節にあり、この記事では扱いません。

監査の準備は、自治体の調書を入手してから始める

  1. 自治体が使う調書と自己点検票の様式を入手する

    国の標準様式は技術的助言で、自治体は項目の追加・変更ができます。所在地の自治体の監査の案内で、実際に使う様式を確認します。

  2. 自園に当てはまる区分を調書で確認する

    会計の項目は、私立保育所、社会福祉法人以外、公立保育所以外で、対象になる項目が異なります。「評価対象となる施設」の列で、自園が対象の項目に印を付けます。

  3. 項目ごとに、関連記事と根拠条文を読み、必要な書類の有無を確かめる

    調書の着眼点の列に、確認する書類や観点が書かれています。上の対応表の関連記事で制度の考え方を確認し、書類は自園の保管状況と照らします。

  4. 「否」と答える項目があれば、自治体に確認する

    指摘の区分の変更や、改善報告書の要否は自治体が判断します。自己判断で「対象外」にせず、理由を備考欄に書いたうえで自治体に確認します。

加算の申請時に通知が挙げる書類と、処遇改善等加算で通知が定める帳簿・証拠書類の保管期間を、元の記事へのリンクつきで並べています。

加算ごとの根拠書類と保存の定めの一覧を開く
国の標準監査調書の項目は、全国どの自治体の監査でも同じですか。

同じとは限りません。別添1は、標準様式が技術的助言で、必ずしも全項目を順守する趣旨ではないと説明しています。自治体は条例などに応じて独自の項目を加えられます。

この対応表に載った記事を読めば、監査で指摘されませんか。

指摘の有無は、実際に監査を行う自治体が、自園の書類と運営の状況を見て判断します。この記事は、調書の項目を調べる入口を示すだけで、指摘されない条件を示すものではありません。

監査と公定価格の加算・減算は、関係がありますか。

確認指導監査の標準の自己点検票には、保育所(保育認定2・3号)の公定価格確認項目が35項目あり、加算・減算ごとに留意事項通知に適合しているかを問います。児童福祉法に基づく施設監査(A)の保育所の様式には、公定価格の語がありません。使う様式は自治体の案内で確認し、要件は各加算・減算の記事で確認します。

自己点検票の公定価格確認項目を見る前に、所在地・定員・年齢別の園児数から公定価格を試算できます。結果には計算過程、使った告示・通知、確認日が表示されます。

公定価格の試算を開く

この記事は、国が示す標準様式(令和8年3月30日掲載)の構成を紹介するものです。個別の施設の指導監査での評価、会計処理の適否、人員配置の適合は判断しません。公認会計士等による外部監査を要件とする外部監査費加算は、行政が行う指導監査とは別の仕組みです(外部監査費加算の要件と確認事項)。

次に知りたいこと:加算一覧(確認する先で分類)、委託費の経理の問答集、処遇改善等加算の実績報告と差額精算。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

「減算・報告・申請の期限を確認したいとき」の解説一覧へ