解説

保育所等の定員充足率と待機児童数(令和7年4月1日)と利用調整の事務連絡

令和7年9月12日のこども家庭庁の事務連絡は、令和7年4月1日時点の保育所等の利用定員・利用児童数・待機児童数・定員充足率を示したうえで、市町村に利用調整を丁寧に進めるよう求めています。事務連絡の原文に沿って、示された数字、優先度を踏まえた利用調整の考え方、自治体の工夫の事例、園の運営との関係を整理します。

令和7年4月1日時点:利用定員303万人、利用児童数268万人、定員充足率88.4%

この事務連絡は、都道府県・指定都市・中核市の児童福祉主管課の保育担当者あての周知文書です。

事務連絡は、令和7年8月29日に公表された「保育所等関連状況取りまとめ(令和7年4月1日)」の主な概要を挙げています。

利用定員は303万人、利用児童数は268万人、待機児童数は2,254人、定員充足率は88.4%です。

待機児童数のいる市区町村は211市区町村で、前年比で6市区町村の減とされています。

事務連絡に示された全国の状況(令和7年4月1日)
項目数字前年比
保育所等の利用定員303万人1.5万人の減
保育所等の利用児童数268万人2.7万人の減
待機児童数2,254人313人の減
待機児童数のいる市区町村211市区町村6市区町村の減
定員充足率88.4%0.4%の減

これらの数字は、事務連絡に書かれた全国の集計です。自園の定員充足率や、自園のある市区町村の状況とは別に見る必要があります。ここでの定員充足率は事務連絡に書かれた全国の数字で、別記事の利用率とは出典と算式が異なります。

事務連絡が述べている今後の方向(地域ごとの事情を踏まえた対応)

事務連絡は、これらの状況を踏まえて、今後はより一層、地域ごとに異なる事情を踏まえたきめ細やかな対応が必要としています。

こども家庭庁が挙げている取組は、計画的な受け皿整備の促進、保育人材確保の総合的な対策、定員充足率の低下を踏まえた持続可能な保育機能の確保(地域分析、多機能化の支援)などです。

これらを進めるため、令和8年度予算概算要求に必要な経費を計上した、と書かれています。

利用調整は、優先度を踏まえて市町村が丁寧に進める

事務連絡は、保育所等の利用を希望する人の希望や事情が様々であることから、市町村が保育ニーズの把握や利用調整を丁寧に進めることが重要としています。

優先度を踏まえた利用調整の基本的な考え方は、平成26年9月10日の通知で整理されており、事務連絡は改めての確認を求めています。

優先利用の事項は、地域のこども・保護者の状況や市町村の保育提供体制等を踏まえて、市町村が検討・運用するとされています。

事務連絡は、待機児童が全国的に減少し、定員充足率が低下傾向にあることを踏まえた見直しにも触れています。

例として、兄弟姉妹で同じ保育所等への入所を希望する場合を優先事項としていない市町村には、利用者のニーズに沿った調整を可能とする観点から見直しの検討を挙げています。

自治体の工夫の事例と、国の支援事業

事務連絡は、利用調整で工夫している自治体の事例を、5つの市で挙げています。

事例は、保育コンシェルジュの配置、送迎バスの活用、利用可能な保育所等の整理の見直し、業務分担、要配慮事項の把握の5つです。

事務連絡に挙げられた事例(自治体名は原文のとおり)
区分自治体取組の内容
保育コンシェルジュ北海道札幌市利用者支援事業(特定型)を活用し、保育提供区域ごとに保育コンシェルジュを配置。通勤経路の確認や空き情報の提供を個別に実施
送迎バスの活用大阪府箕面市広域的保育所等利用事業でバスステーションを導入し、車で相当程度時間がかかる保育所も案内できるようにした
利用可能な保育所等の整理奈良県橿原市管内全域を利用可能としていた整理を、通勤の利便性を踏まえて細分化
業務分担京都府京都市保育担当課の職員のほか、コールセンターや保育コンシェルジュを置いて業務を分担
要配慮事項の把握千葉県流山市こどもの健康状態やアレルギー対応等を事前に把握して調整。要配慮児童の保育コンシェルジュを配置

国は、これらの取組を後押しする事業として、子ども・子育て支援交付金の「利用者支援事業(特定型)」と、保育対策総合支援事業費補助金の「広域的保育所等利用事業」を挙げています。

事務連絡は、市町村にこうした支援の積極的な活用を求めています。

よくある質問

全国の定員充足率が88.4%なら、自園の定員を減らすべきですか。

事務連絡は、全国の集計を示しただけで、個別の園の定員の見直しは述べていません。自園の定員は、所在地の市町村の計画や利用調整の状況によって異なるため、市町村に確認してください。

利用調整の優先順位は、園が決められますか。

事務連絡は、優先利用の事項を市町村が検討・運用するとしています。園が優先順位を決める仕組みは、事務連絡には書かれていません。

定員充足率の低下は、公定価格の試算に関係しますか。

事務連絡は公定価格には触れておらず、この数字は公定価格の計算式にも登場しません。この試算ツールは、利用定員と年齢別園児数を入力して公定価格(委託費)を試算し、全国の定員充足率は試算に含めていません。定員の区分と単価の関係は、利用定員を変更すると、基本分単価はどう変わるかで整理しています。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は、令和7年9月12日の事務連絡の本文のうち、全国の状況、利用調整の考え方、自治体の事例を扱います。事務連絡が紹介する令和6年度の調査研究、取りまとめの本文、別紙は扱っていません。数字は令和7年4月1日時点で、その後の公表の有無は確認していません。

次に知りたいこと:利用定員を変更すると、基本分単価はどう変わるか、保育所の利用率の全国平均96.6%と、公定価格の試算での在籍数の置き方、公定価格と別建ての国の補助事業一覧

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