解説

保育所の非常災害対策(消火用具・非常口・具体的計画)と毎月1回の避難・消火訓練

保育所の非常災害への備えについて、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第6条が求める内容を整理します。設備、具体的計画、少なくとも毎月1回の避難・消火訓練の書き分けと、公定価格の安全計画に関する調整(第6条の3)との違いを説明します。

第6条は、設備・具体的計画・訓練の3つを求めている

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第6条は、非常災害への備えを設備、具体的計画、訓練の3つで定めています。

保育所は、この条が対象とする児童福祉施設に含まれます。

条文は、障害児入所施設と児童発達支援センターを、この条の対象から除いています。

第6条の内容(確認日 2026-10-13)
項目条文の求め方条文の書き方
設備軽便消火器等の消火用具、非常口その他非常災害に必要な設備を設ける設けるとともに(第1項)
具体的計画非常災害に対する具体的計画を立てる努めなければならない(第1項)
不断の注意と訓練計画に対する不断の注意と訓練をする努めなければならない(第1項)
避難・消火の訓練第1項の訓練のうち、避難及び消火に対する訓練は少なくとも毎月1回行う行わなければならない(第2項)

条文の書き方は、項目によって違います。

第1項の計画と訓練は「努めなければならない」、第2項の月1回の避難・消火訓練は「行わなければならない」です。

月1回の義務があるのは、訓練のうち避難と消火の訓練

少なくとも毎月1回の頻度が条文で決まっているのは、避難に対する訓練と消火に対する訓練です。

第1項の訓練は、避難と消火に限りません。第2項は、その訓練のうち避難と消火について、毎月1回を下限にしています。

条文は、避難訓練と消火訓練を、同じ日に同時に行うかどうかを定めていません。

毎月の記録の様式、参加者の範囲、通報訓練の扱いも、この条文には書かれていません。

実施の方法や記録の求めは、所管の自治体の条例や指導監査の案内で確認します。

月1回の訓練を、年間計画の回数だけで確かめない

年間の訓練計画に毎月の行を置いていても、実施した月と記録が揃っているとは限りません。条文が求めているのは、毎月行うことです。

月ごとに、避難訓練と消火訓練を行った日付を記録で確かめます。行えなかった月があれば、理由と次の実施予定を残します。

安全計画の策定等(第6条の3)とは別の条で、別の義務

第6条は非常災害への備え、第6条の3は児童の安全の確保全般に関する安全計画で、別々の条です。

第6条の3は、設備の安全点検、施設外での活動を含む安全に関する指導、職員の研修と訓練などを内容とする安全計画の策定を求めています。

職員への周知と研修・訓練の定期的な実施、保育所では保護者への周知、定期的な見直しも、同条に定められています。

第6条と第6条の3の違い(確認日 2026-10-13)
比べる点第6条(非常災害)第6条の3(安全計画)
対象とする備え消火用具・非常口などの設備、非常災害の具体的計画、訓練設備の安全点検、安全に関する指導、職員の研修・訓練などを含む計画
訓練の頻度避難・消火訓練は少なくとも毎月1回研修・訓練を定期的に実施(回数は条文に書かれていない)
保護者への周知条文に定めなし保育所は取組の内容等を保護者に周知

公定価格には、安全計画の策定等をしていない場合の調整があります。

この調整の対象になる安全計画は、第6条の3に定められたものです。第6条の非常災害の計画や訓練は、その調整の説明に出てきません。

調整が適用される条件と外れる時期は、『安全計画の策定等をしていない場合の減算:何が足りないと適用され、いつ外れるか(保育所)』で整理しています。

実際に適用されるのは条例。第6条は従うべき基準の列挙に挙がっていない

設備運営基準の第1条は、条例を定めるときに従うべき基準を列挙し、それ以外を参酌すべき基準としています。

第1条の列挙には、第6条の3と第6条の4は出てきますが、第6条そのものは出てきません。

そのため第6条は、第1条第4号の参酌すべき基準にあたると読めます。

参酌すべき基準は、自治体が地域の事情を踏まえて条例の内容を定める余地のある部分です。

毎月1回の訓練や設備の書き方は、国の省令と同じとは限りません。

施設の所在地の条例の条番号と施行日を確かめます。

自園の備えを点検する順序

点検は、設備、計画、毎月の訓練記録の順に、条例と照らして進めると抜けが減ります。

  1. 設備を、階と部屋ごとに洗い出す

    消火用具と非常口を、保育室等のある階ごとに控えます。2階以上に保育室等を置く場合の建物の要件は、別の条文(第32条第8号)です。

  2. 非常災害の具体的計画の中身を確かめる

    計画が、災害の種類、職員の役割、避難の経路など、園で使える具体性を持っているかを読み返します。条文は計画の記載事項を細かく定めていないため、条例と所管の案内で求めを確認します。

  3. 毎月の避難訓練と消火訓練を、月ごとに記録で確かめる

    直近の12か月について、避難訓練と消火訓練を行った日付が月ごとに揃っているかを見ます。

  4. 安全計画(第6条の3)の確認は別に行う

    安全計画の策定、職員への周知、研修・訓練、保護者への周知、見直しは、非常災害対策とは別に確かめます。

保育室等を2階・3階以上に設ける場合の建物の要件は『保育室等を2階・3階以上に設ける保育所の建物要件(耐火建築物・避難用階段・歩行距離30メートル)』で整理しています。

よくある質問

避難訓練は、法令で毎月行う決まりですか。

第6条第2項は、避難及び消火に対する訓練を、少なくとも毎月1回行わなければならないと定めています。ただし、実際に適用されるのは都道府県等の条例ですので、所在地の条例で確認してください。

毎月の訓練は、避難訓練だけでも足りますか。

条文は「避難及び消火に対する訓練」と書いており、避難と消火の両方が対象です。月ごとの実施方法は、所管の自治体の案内で確認してください。

非常災害の計画と安全計画は、同じものですか。

条文上は別です。非常災害の具体的計画は第6条、安全計画は第6条の3に書かれています。園が1つの文書にまとめて運用しているかどうかは、この条文からは分かりません。

訓練をしていないと、公定価格が減りますか。

この記事では、そうとは言えません。公定価格にある調整は、安全計画の策定等をしていない場合の調整です。調整の対象になる安全計画を定めているのは、第6条の3です。

調整の条件は、上のリンク先の記事で確認してください。

この記事で、自園の備えが基準に適合しているか分かりますか。

分かりません。この記事は条文の構造の説明で、適合の判定や指導監査の結果の見込みを示すものではありません。所管の自治体に確認してください。

備えを確かめたうえで、公定価格を試算する

確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。非常災害対策の適合は、試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

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