解説

クマ出没時の保育施設の安全確保と施設機能強化推進費加算(令和8年5月15日・10月19日の事務連絡)

こども家庭庁と環境省が出した「クマの出没に対する保育施設等での安全確保について」の事務連絡を整理します。園に求められる対応、施設機能強化推進費加算の対象になる場合があるクマ対策の消耗品、5月15日付と10月19日付の違いを、原文に沿って確認します。

クマ出没への対応は、令和8年5月15日と10月19日の事務連絡で求められている

題名は同じ「クマの出没に対する保育施設等での安全確保について」で、令和8年5月15日付と同年10月19日付の2通があります。

どちらも、こども家庭庁の成育局などと環境省自然環境局が連名で、都道府県・指定都市・中核市の保育主管課などに宛てて出した事務連絡です。

保育所や認定こども園などで、クマの出没に備えた安全確保と不安の解消に取り組むことが求められています。

2通の事務連絡の背景
日付書かれている背景
令和8年5月15日春になり、市街地や集落など人の生活圏でクマの目撃情報等が発生している。例年、春から夏のクマの出没情報数は6月が多くなる傾向がある
令和8年10月19日冬眠前の時期は、クマが食べ物を探して活発に動き回る。特にドングリ等が不足する地域では、人の生活圏への出没と被害が増える傾向がある

10月19日付の本文は、5月15日付の事務連絡で周知したことに触れたうえで、引き続き対応を求める書きぶりです。5月15日付の本文は、令和7年10月31日付の事務連絡にも触れています。この記事は、令和8年の2通の本文に書かれた範囲だけを扱います。

園に求められているのは、情報の確認・施設外の場所と経路の点検・保護者への注意喚起・関係機関との連携

2通の本文に共通する依頼は、次のとおりです。

日頃から都道府県や市町村が公表しているクマの出没情報に留意し、各地域の実情に応じた対策を検討することが出発点です。

事務連絡が園に依頼している内容(10月19日付の本文)
項目本文の内容
出没情報の確認都道府県や市町村が公表しているクマの出没情報に、日頃から留意する
施設外の場所と経路必要に応じて、日常的に利用する施設外の場所と経路の点検や変更を行う
出没時の安全対策クマの出没時の安全対策を、参考として挙げられた各種のマニュアルや通知等を見て、地域の実情に応じて検討する
保護者への注意喚起保護者等に対して、送迎時や日常生活における注意喚起をする
関係機関との連携地方公共団体の鳥獣行政担当部局や警察等の関係機関と連携・協力し、クマの出没時に迅速かつ的確に対応できるよう、対応の検討と体制整備を行う

具体的な手順や基準は、事務連絡の本文に書かれていない

避難の判断基準、園外活動を中止する目安、連絡体制の様式などは、事務連絡の本文に書かれていません。本文は、参考資料として環境省の「クマ類の出没対応マニュアル-改定版-」などを挙げています。

自園の対策は、所在地の自治体の保育主管課と、鳥獣行政の担当部局に確認して決めてください。

クマ対策の消耗品や避難誘導体制の充実は、施設機能強化推進費加算の対象と認められる場合がある

事務連絡は、公定価格との関係にも触れています。

クマ出没時の安全確保や避難誘導体制の充実等に取り組む場合や、クマ対応に必要な消耗品の購入を行う場合に、保育所等の公定価格における「施設機能強化推進費加算」の対象と認められる場合があります。

「場合がある」という書きぶりで、購入すれば必ず対象になるという意味ではありません。

本文が消耗品の例として挙げているもの
日付例として挙げられた消耗品
令和8年5月15日クマ鈴、クマ用ベル、ホイッスル
令和8年10月19日クマ鈴、クマ用ベル、ホイッスル、クマ撃退スプレー等

10月19日付で、例に「クマ撃退スプレー等」が加わっています。同じ10月19日付の参考資料には、消費者庁の「クマ撃退スプレーの備え方」と、環境省の「クマ撃退スプレーの性能に係る推奨要件」(令和8年8月)も挙がっています。

加算の対象になるかどうかは、通知の例示だけでは決まりません。

以下は、事務連絡ではなく既存記事で整理している内容です。施設機能強化推進費加算は、市町村が認定した防災対策の取組に必要な経費が対象です。鳥獣被害対策の物品の考え方も、後者の記事で扱っています。加算の認定と経費の範囲は『施設機能強化推進費加算の確認事項(防災対策・3月分の試算)』、物品の購入の考え方は『施設機能強化推進費加算の対象:災害備蓄品・熱中症対策物品』で整理しています。

公定価格の加算について聞く窓口は、保育政策課の公定価格担当室

10月19日付の事務連絡には、問合せ先が分野ごとに載っています。

保育所等の公定価格における施設機能強化推進費加算に関することは、こども家庭庁成育局保育政策課の公定価格担当室(給付第一係)と書かれています。

事務連絡全般は安全対策課の事故対策係、保育所・認定こども園・地域型保育事業については保育政策課の企画法令係です。

実際に加算の認定を受けるのは、園が所在する市町村です。具体的な購入物品が対象になるかは、まず所轄の自治体に確認してください。

よくある質問

クマ鈴やクマ撃退スプレーを買えば、必ず施設機能強化推進費加算の対象になりますか。

事務連絡は、対象と認められる場合があると書いています。必ず対象になるとは書かれていません。対象になるかは、市町村に確認してください。

5月15日付と10月19日付の事務連絡で、園への依頼は変わりましたか。

園への依頼の中心(出没情報の確認、施設外の場所と経路の点検、保護者への注意喚起、関係機関との連携)は、2通とも同じ趣旨です。主な違いは、背景の説明が季節に合わせて変わったこと、消耗品の例に「クマ撃退スプレー等」が10月19日付で加わったこと、挙げられた参考資料が異なることです。

この事務連絡で、公定価格の試算は変わりますか。

事務連絡は、物品などの購入経費が加算の対象になりうることを示すもので、加算の額や算定の方法は示していません。この試算ツールは公定価格(委託費)の算定のみを行い、個別の経費が対象になるかは試算に含めていません。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は、令和8年5月15日付と10月19日付の事務連絡の本文に書かれた範囲だけを扱います。その後の改正や追加の通知の有無は確認していません。個別の園での加算の適用可否は、所轄の自治体に確認してください。

次に知りたいこと:施設機能強化推進費加算の確認事項、施設機能強化推進費加算の対象:災害備蓄品・熱中症対策物品、施設機能強化推進費加算の経費の目安を満たさないとき

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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