解説

保育所の利用率の全国平均96.6%と、公定価格の試算での在籍数の置き方

福祉医療機構(WAM)の経営分析参考指標では、保育所の利用率は2024年度決算で96.6%です。利用率の算式、認定こども園との違い、平均値を公定価格の試算の在籍数入力にどう使うか(使わないか)を整理します。

保育所の利用率の全国平均は、2024年度決算で96.6%

福祉医療機構(WAM)が公表する「経営分析参考指標 2024年度決算分」の保育所の概要では、利用率は2023年度が96.9%、2024年度が96.6%で、0.3ポイント下がっています。同じ表で、認可定員数の平均は101.2人から100.1人、年間開所日数の平均は294.2日(変化なし)です。

WAM 経営分析参考指標 2024年度決算分の利用率(確認日 2026-10-18)
区分2023年度2024年度
保育所96.9%96.6%
認定こども園(幼保連携型)94.2%93.5%
認定こども園(保育所型)93.2%93.3%

この資料は、WAMが集計した施設の決算の平均です。注に、開設後1年未満の施設は含まれないと書かれています。全国の全施設の実績ではなく、個別の園の利用率がこの値になるとも限りません。

利用率は「月別在所児数の年間合計÷(定員数×12)」で出す

WAMの経営指標一覧は、利用率を月別在所児数の年間合計を、定員数に12を掛けた数で割った値と定めています。説明欄には、事業の定員数に対してどの程度のサービス利用が行われたかを示す指標で、値が高いほど施設が有効に活用されていることになる、と書かれています。

たとえば定員100人の園で、12か月の在所児数の合計が1,160人なら、1,160÷(100×12)で96.7%です。この数字は計算例で、全国平均や特定の園の実績ではありません。

WAMの算式は、月ごとの在所児数を年間で合計して定員の12か月分と比べています。公定価格は月ごとに各月初日の利用子ども数で決まるため、月初日の人数と月中の在所児数を同じ数として扱ってよいかは、この資料の算式欄からは読み取れません。両者を完全に同じものとして比べないでください。

公定価格の試算では、全国平均ではなく自園の月初日の見込み人数を年齢別に入れる

公定価格の基本分単価は、利用定員の区分で単価の水準が決まり、年齢区分ごとの実際の利用子ども数を掛けて総額が決まります。そのため、在籍数は自園の年齢別の見込み人数を入れます。試算の在籍数に「定員×96.6%」を一律に置くと、年齢ごとに単価が違うため、内訳が実際とずれます。

  1. 利用定員と所在地を入れる

    単価の水準を決める区分です。在籍数の見込みとは別に、認可の利用定員をそのまま入れます。

  2. 年齢別に在籍数を入れる

    月初日に在籍している(見込みの)子どもの数を、0歳から5歳の年齢別に入れます。定員に平均の利用率を掛けた人数を、年齢の区別なく割り振る方法は避けます。

  3. 年間では月ごとに分ける

    4月と3月では在籍が変わります。年間の見込み額は、月別の在籍数を並べて出します。

  4. 平均値は見込みの妥当性の目安にとどめる

    自園の見込みが全国平均より極端に高いときは、根拠となる申込状況や入所予定を確かめます。

年間の見込みの出し方は『保育所の公定価格の年間見込み額の出し方(月初在籍数・途中入退所)』、年齢帯ごとの欠員の影響は『年齢別の欠員と基本分単価の関係(単価水準・減算の有無・定員超過との違い)』で整理しています。

同じ表の「児童1人1月当たりサービス活動収益」は、公定価格の試算結果と比べない

同じ表には、児童1人1月当たりサービス活動収益が2023年度136,006円、2024年度148,368円と載っています。ただしこれは、保育事業の収益全体を在所児数で割った決算の数字で、公定価格以外の収入が入っている場合があります。公定価格の試算結果とそのまま比べないでください。

この記事は、全国平均の紹介と試算入力の考え方の整理です。自園の収益や黒字の見込みを示すものではありません。同じ資料には、経常増減差額が0未満の赤字施設の割合(2024年度は18.0%)も載っており、利用率が平均並みでも収支は園ごとに違います。

よくある質問

保育所の利用率の全国平均はいくつですか。

WAMの経営分析参考指標では、2024年度決算で96.6%(2023年度は96.9%)です。

利用率はどう計算しますか。

月別在所児数の年間合計を、定員数に12を掛けた数で割ります。WAMの経営指標一覧に載っている算式です。

試算の在籍数に、定員の96.6%を入れてよいですか。

おすすめしません。公定価格は年齢区分ごとの利用子ども数で決まるため、自園の月初日の見込み人数を年齢別に入れてください。

利用率が高いほど、必ず収益も高くなりますか。

この資料だけでは言えません。WAMは利用率が高いほど施設が有効に活用されているとしていますが、収支は人件費など他の要素にも左右されます。

公定価格を試算する

所在地、利用定員、年齢別の園児数を入力します。全国平均の利用率は、試算の計算には使われません。

利用定員と年齢別の在籍数を入れて公定価格を試算する

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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