解説

保育所の新設・修理・改造に使う整備交付金の実施主体・設置主体・対象事業(令和8年度予算の資料)

保育所の新設・修理・改造に使う国の就学前教育・保育施設整備交付金で、窓口になる実施主体、私立保育所の設置主体になれる法人、対象事業の一覧を、こども家庭庁の令和8年度予算資料に沿って整理します。補助の可否は判定しません。

結論:窓口は市区町村、私立保育所の設置主体は資料で法人の種類が挙げられている

就学前教育・保育施設整備交付金は、保育所の新設、修理、改造または整備に要する経費を補助する国の制度です。

こども家庭庁の令和8年度の保育関係予算の資料では、交付金を受ける実施主体は原則として市区町村とされています。資料の事業の概要では、市区町村が策定する整備計画等に基づいて交付されると書かれています。

また、私立保育所や私立認定こども園の設置主体として挙げられているのは、社会福祉法人、日本赤十字社、公益社団法人、公益財団法人、学校法人です。

ここで読んでいるのは予算の概要と参考資料です。実際の申請書類、締切、対象経費の細かな範囲は、市区町村が示す年度ごとの案内で決まります。

対象事業の一覧(私立か公立かで分かれる)

資料に挙げられた対象事業は次の8つです。保育所については、私立の保育所整備事業だけが一覧に挙がっています。

令和8年度予算資料に挙げられた対象事業
対象事業私立・公立の区分
保育所整備事業私立
幼保連携型認定こども園整備事業私立
認定こども園整備事業(保育所型、幼稚園型)私立
公立認定こども園整備事業教育部分に限る
小規模保育整備事業私立・公立
乳児等通園支援事業実施事業所整備事業私立・公立
防音壁整備事業資料に区分の記載なし
防犯対策強化整備事業資料に区分の記載なし

設置主体は施設の種類で変わる

資料の「設置主体」の欄は、施設の種類ごとに書き分けられています。私立保育所と小規模保育事業所では、受け手になれる者の範囲が違います。

施設の種類別の設置主体(令和8年度予算資料の記載)
施設の種類資料に書かれた設置主体
私立保育所、私立認定こども園社会福祉法人、日本赤十字社、公益社団法人、公益財団法人、学校法人
小規模保育事業所、乳児等通園支援事業所市町村が認めた者(公立施設を含む)
公立認定こども園都道府県・市区町村

私立保育所と私立認定こども園には、注記が一つ付いています。「実施計画」の採択を受けている場合は、市町村が認めた者(公立施設を除く)も設置主体にできるという書き方です。

この「実施計画」は、資料の中で「保育提供体制の確保のための実施計画」と呼ばれているものです。資料の注記には採択を受ける者の主語が書かれていないため、誰が採択を受けている場合かは、市区町村に確認してください。

費用は国・市区町村・設置主体で分け合う(率は事業と年度で変わる)

資料は、私立の保育所や小規模保育などの区分について、補助割合を国、市区町村、設置主体の三者に分けて示しています。設置主体にも自己負担が残る形です。

さらに、待機児童対策、人口減少対策、乳児等通園支援事業の3つの類型では補助率を引き上げる扱いがあり、いずれも自治体が実施計画の採択を受けていることが条件に含まれています。

割合そのものは事業のメニューや年度で変わるため、この記事には書きません。自園の整備計画に当てはまる率は、所在の市区町村が示す年度の案内で確かめてください。

補助の自己負担分を含まない資金計画を立てない

整備費の全額が補助されると見込んで資金計画を組むと、設置主体の負担分が足りなくなります。資料でも、補助割合に設置主体の分が含まれています。

整備計画の段階で、設置主体の負担額と、補助の対象にならない経費の範囲を市区町村に確認する。

補助を受ける前後で確かめる2つの別制度

整備交付金を受けた建物は、公定価格の加算と、将来の転用・譲渡の手続の両方に関わります。補助の利用を決める前に、この2つも確認します。

整備の国庫補助を受けた建物は、減価償却費加算の要件との関係を整理しておく必要があります。

減価償却費加算と整備の国庫補助の関係

補助で整備した建物を転用・譲渡・取壊しするときの承認と国庫納付の考え方を扱います。

補助金で整備した保育所の財産処分の承認

窓口で確認する順番

先に市区町村の整備計画を確かめ、次に自法人が設置主体に当たるかを確かめます。この順にすると、対象にならない計画の準備を早い段階で避けられます。

  1. 1. 所在の市区町村に整備計画があるか確かめる

    交付金は市区町村の整備計画に基づきます。計画に自園の整備が入っているか、募集の時期がいつかを、保育担当課に聞きます。

  2. 2. 自法人が設置主体に当たるか確かめる

    法人の種類が、施設の種類ごとの設置主体に当たるかを確認します。当たらない場合は、実施計画の採択を受けているかも聞きます。

  3. 3. 対象事業と対象経費を確かめる

    事業名は施設の種類(保育所、認定こども園、小規模保育など)で分かれています。自園の工事が対象に含まれるか、市区町村の年度の案内で確かめます。

  4. 4. 負担額を確かめ、加算と財産処分への影響を見る

    設置主体の負担額を資金計画に入れます。そのうえで、減価償却費加算と財産処分の承認への影響を、上の2つの記事で確認します。

よくある質問

株式会社が保育所を新設するとき、この交付金は使えますか。

予算資料の設置主体の欄に、株式会社は挙げられていません。一方で、「実施計画」の採択を受けている場合は「市町村が認めた者(公立施設を除く)」を設置主体とすることができると注記されています。当たるかどうかは所在の市区町村に確認してください。

公立の保育所の整備にも使えますか。

資料の対象事業は、保育所については私立の保育所整備事業です。公立の保育所は、この対象事業の一覧に含まれていません。

改修だけでも対象になりますか。

資料の事業の目的は、新設、修理、改造または整備に要する経費等を補助するとしています。個別の工事が対象に入るかは、市区町村の案内で確認してください。

この試算ツールで、整備の補助額を計算できますか。

できません。この試算は公定価格の算定に特化しており、整備交付金の補助額や採択の可否は扱いません。

自園の条件で試算する

整備の交付金は試算に含まれません。試算できるのは、整備後に運営する園の公定価格です。

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、この試算に含まれない項目が表示されます。

公定価格の試算を開く

この記事は、国の予算資料に書かれた範囲だけを整理しています。補助の可否、補助額、申請の手続は、所在地の市区町村にお問い合わせください。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

「公定価格と別の補助・費用の制度を切り分けたいとき」の解説一覧へ