解説

保育所の送迎用自動車の所在確認(乗降時の点呼)と見落とし防止装置

保育所の送迎バスの乗降時の所在確認と見落とし防止装置について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第6条の4が求める内容を整理します。対象となる自動車の範囲、条文が決めていないこと、点検の順序までを条文に沿って確認できます。

第6条の4は、乗降時の所在確認と見落とし防止装置の2段で書かれている

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第6条の4は、自動車で児童を運ぶときの所在確認を、第1項と第2項の2段で定めています。

第1項は児童福祉施設全般が対象で、第2項は保育所と児童発達支援センターが対象です。

この記事は、保育所に関わる部分を条文の文言に沿って整理します。

第6条の4の内容(確認日 2026-10-13)
項目対象条文の求め方
第1項 乗降時の所在確認児童の施設外での活動、取組等のための移動その他の児童の移動のために自動車を運行するとき児童の乗車及び降車の際に、点呼その他の児童の所在を確実に把握することができる方法で所在を確認しなければならない
第2項 見落とし防止装置保育所と児童発達支援センターが、児童の送迎を目的とした自動車を日常的に運行するときブザーその他の車内の児童の見落としを防止する装置を備え、降車の際の所在確認に用いなければならない

第1項は、送迎に限らず、園外保育や行事への移動など「児童の移動のために自動車を運行するとき」に広く当たる書き方です。

第2項は、送迎を目的とした自動車を日常的に運行する場合に、装置を備えることまで求めています。

装置による確認は、降車の際に限って求められています。乗車の際の確認は、第1項の点呼その他の方法で行います。

第2項の装置の義務から外れる自動車がある

第2項の装置の義務から外れるのは、見落としのおそれが少ない座席配置の自動車です。

条文は、運転者席とこれと並列の座席、これらより一つ後方に備えられた前向きの座席以外の座席を持たない自動車を、装置の対象から除いています。

これと同程度に児童の見落としのおそれが少ないと認められるものも、利用の態様を勘案して除かれます。

どの自動車が「同程度」に当たるかは、条文には列挙されていません。

装置の義務から外れるかどうかは、自己判断で決めず、所管の自治体に確認します。

「日常的に運行する」の線引きも、条文には定義がありません。

なお、第1項の乗降時の所在確認は、装置の対象から外れる自動車でも、児童の移動に自動車を使うかぎり求められます。

装置を備えていれば、所在確認をしたことになるわけではない

第2項は、装置を備えるだけでなく、これを用いて降車の際の所在確認を行うことまで求めています。装置が付いていても、降車の確認の手順に組み込まれていなければ、条文が求める形になっていません。

降車のたびに、装置の操作と点呼を誰が行うかを手順に書き、運転者以外の職員が車内を確かめる流れまで通して確認します。

条文が決めていないこと

第6条の4は、点呼の細かな方法、装置の種類、記録の様式までは定めていません。

条文にあるのは「点呼その他の児童の所在を確実に把握することができる方法」と「ブザーその他の車内の児童の見落としを防止する装置」という書き方までです。

条文に書かれていること・書かれていないこと(確認日 2026-10-13)
論点条文の扱い
乗車と降車の両方で所在を確認すること書かれている(第1項)
送迎用自動車に見落とし防止装置を備えること書かれている(第2項)
装置を用いた降車時の所在確認書かれている(第2項)
点呼の人数の数え方・誰が行うか書かれていない
装置の機種・仕様書かれていない
確認結果の記録の様式・保存期間書かれていない

書かれていない部分は、都道府県等の条例や所管の自治体の案内、国の通知で補われている場合があります。

この記事は、そうした条例や通知の内容までは扱いません。

実際に適用されるのは条例。第6条の4は従うべき基準に挙がっている

設備運営基準の第1条は、都道府県が条例を定めるときに従うべき基準を列挙しており、その第3号の列挙に第6条の4が挙がっています。

同じ列挙に第6条の3(安全計画)も挙がりますが、非常災害対策を定める第6条は挙がりません。

従うべき基準は、条例が国の基準と異なる内容を定める余地が小さい部分です。

それでも、実際に園が守るのは、所在地の都道府県や指定都市、中核市の条例です。

条例の条番号や文言は、国の省令と一致するとは限りません。

施設の所在地の条例と、所管の自治体の案内で、確認する必要があります。

第6条の3の安全計画とは別の条で、別の確認が必要

第6条の4は自動車の所在確認、第6条の3は安全計画で、別々の条です。

第6条の3の安全計画には、施設外での活動を含む安全に関する指導や職員の研修・訓練などが入ります。

送迎や園外保育での移動の安全を、安全計画の中でどう扱うかは、園の運用の問題です。第6条の4の確認手順を満たすことと、安全計画を定めることは、それぞれ別に確かめます。

公定価格にある、安全計画の策定等をしていない場合の調整は『安全計画の策定等をしていない場合の減算:何が足りないと適用され、いつ外れるか』で整理しています。送迎の費用に関わる通園送迎加算の算定条件は、『通園送迎加算の算定条件』が別の記事です。

自園の送迎の確認手順を点検する順序

点検は、自動車の種類、乗降時の確認手順、装置の使い方、条例の確認の順に進めると抜けが減ります。

  1. 児童を運ぶ自動車を、用途ごとに洗い出す

    日常の送迎に使う自動車と、園外保育や行事の移動に使う自動車を分けて一覧にします。第1項は両方に、第2項は日常的な送迎に関わるためです。

  2. 座席の配置から、装置の対象になるかを見る

    運転者席と並列の座席、一つ後方の前向きの座席だけの自動車は、第2項の装置の対象から除かれます。判断に迷う自動車は、所管の自治体に確認します。

  3. 乗車と降車の確認手順を、書いたものにする

    乗車時と降車時の点呼を、誰が、どの名簿で行い、誰が最後に車内を確かめるかを手順に書きます。

  4. 装置を、降車の手順に組み込む

    装置を備えるだけで終わらせず、降車のたびに操作し、その後の車内確認につなげる流れを職員に周知します。

  5. 条例の条文と所管の案内で、文言と運用を照らす

    国の省令と条例の文言を並べ、点呼や記録について自治体が追加で示している内容がないかを確かめます。

よくある質問

園外保育でバスを使うときも、所在確認が必要ですか。

第1項は、施設外での活動、取組等のための移動を含む、児童の移動のための自動車の運行を対象にしています。乗車と降車の際に、点呼その他の方法で所在を確認します。実際の運用は、所在地の条例と所管の案内で確認してください。

見落とし防止装置は、すべての保育所の自動車に必要ですか。

条文上は、児童の送迎を目的とした自動車を日常的に運行する場合が対象です。運転者席と並列の座席、一つ後方の前向きの座席以外の座席を持たない自動車などは除かれます。自園の自動車が除外に当たるかは、所管の自治体に確認してください。

装置はブザーでなければいけませんか。

条文は「ブザーその他の車内の児童の見落としを防止する装置」と書いており、ブザーに限っていません。使える装置の仕様は条文からは分かりませんので、所管の自治体に確認してください。

点呼の結果は、記録に残す決まりがありますか。

第6条の4には、記録の様式や保存期間の定めがありません。条例や所管の案内に記録の定めがあるかは、別に確認してください。

この記事で、自園の送迎が基準に適合しているか分かりますか。

分かりません。この記事は条文の構造の説明で、適合の判定や指導監査の結果の見込みを示すものではありません。所管の自治体に確認してください。

確認したうえで、公定価格を試算する

確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。送迎の安全対策の適合は、試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

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