解説

特定理学療法士等を保育士とみなす特例の運用(令和8年4月8日の通知)

令和8年4月1日施行の改正で、理学療法士などの専門職を1人に限り保育士とみなせるようになりました。令和8年4月8日の通知に沿って、合同の組・グループの編成、支援する保育士の望ましい条件、療育の経験5年以上と子育ての知識・経験の意味、看護師等の特例との併用を整理します。

特例の運用は、令和8年4月8日の通知で整理されている

保育所では従来から、保健師、看護師、准看護師(看護師等)を1人に限り保育士とみなせます。

令和8年3月16日公布、同年4月1日施行の内閣府令(令和8年内閣府令第10号)により、理学療法士などの専門職も、1人に限り保育士とみなせるようになりました。

令和8年4月8日の通知は、こども家庭庁成育局長と文部科学省初等中等教育局長の連名で、この特例の取扱いの留意事項をまとめたものです。

対象の職種と要件、認定こども園での上限は、別の記事(専門職の保育士みなし特例(令和8年度)の対象職種と要件)で整理しています。この記事は、通知が示した運用面(組の編成、支援する保育士、経験の条件、併用)を扱います。

特定理学療法士等は、5つの職種のいずれかで、子育ての知識・経験がある人

通知の第1(趣旨)と、参考に載る基準の第33条第3項は、特定理学療法士等を次のように定めています。

保育所に勤務する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理担当職員、または障害児の療育の指導を行う業務に5年以上従事した経験を持つ人のいずれかに該当し、かつ、子育てに関する知識と経験を持つ人です。

この特例の対象は1人に限られ、保育を行うときは、保育所の保育士による支援を受けられる体制を確保する必要があります。

通知の第3が示す、2つの条件の読み方
条件通知での読み方
障害児の療育の指導を行う業務に5年以上従事した経験障害児通所支援等に係る業務の経験があり、かつ、児童発達支援センターや保育所等訪問支援事業所などで、他機関への障害児支援の助言等の業務に5年以上従事していたこと
子育てに関する知識及び経験を有する質の高い保育を提供する観点から、その保育所等での勤続年数が3年以上である場合。3年未満でも、子育て支援員研修の地域保育コースその他、都道府県知事または市町村長が認める研修を修了していれば、満たすものとして扱ってよい

1行目は、療育の経験で特定理学療法士等に当たる人の読み方です。2行目の「子育てに関する知識及び経験」は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理担当職員に当たる人にも必要な、共通の条件です。個別の人が条件に当たるかは、所在地の都道府県・市町村に確認してください。

保育を行うときは、保育士と合同の組・グループを編成する

通知の第2は、特定理学療法士等が保育を行う体制を3点で示しています。

特定理学療法士等と保育士は合同の組・グループを編成し、原則として同じ保育室等で保育を行わなければなりません。

保育士の支援を受けられる体制を確保するためです。

通知の第2が示す体制
項目通知の内容
合同の組・グループ特定理学療法士等と保育士で合同の組・グループを編成し、原則として同一の保育室等で保育を行う(しなければならない)
支援する保育士合同の組を担当する保育士は、その保育所での勤続年数がおおむね3年以上で、常勤の者であることが望ましい。休暇の際などに代わりに支援する保育士も同様が望ましい
保育所の長の責務職員が相互に連携し協力する体制を確保し、特定理学療法士等が各種の研修に参加する機会を確保するよう努める。特定理学療法士等以外の職員に業務の負担が過剰に偏らないよう、業務効率化や適切な業務分担に配慮する(いずれも努力義務の書きぶり)

「望ましい」は義務ではないが、支援体制の確保は義務

支援する保育士の勤続年数や常勤の条件は、通知では「望ましい」とされています。一方、合同の組・グループの編成と、保育士の支援を受けられる体制の確保は、「しなければならない」と書かれています。

自園で「望ましい」条件を満たせない場合の扱いは、通知に書かれていません。自治体の指導監査での見方は、所轄の自治体に確認してください。

看護師等の特例との併用:支援する保育士は別の人にする

通知の第4は、従来の看護師等の特例と今回の特例の併用を認めています。

看護師等と特定理学療法士等のどちらも保育士とみなして保育を行わせることは可能です。

この場合、それぞれが保育士の支援を受けられる体制を確保する必要があります。

看護師等を支援する保育士と、特定理学療法士等を支援する保育士は、異なる人にする必要があります。

基準の第98条にも、両方が保育を行う場合の支援体制の規定があります。

看護師等の特例の考え方は看護師等を保育士とみなす特例を参照してください。通知の文言は「異なる者とする」ことまでです。看護師等用と特定理学療法士等用で、それぞれ別の保育士が要ると読めるため、配置の計画で確認してください。

小規模保育・事業所内保育・認定こども園も、同じ趣旨で扱う

通知の前文と第5は、小規模保育事業所(A型・B型)、事業所内保育事業所、認定こども園についても、関連法令の改正により同様の扱いとしたと書いています。

保育所以外の施設は、通知の趣旨を踏まえて取り扱うとされています。

認定こども園での上限など、施設ごとの細かい扱いは、通知の本文からは分かりません。

よくある質問

特定理学療法士等は、保育士として何人まで数えられますか。

保育所では、1人に限り保育士とみなすことができます。特定理学療法士等1人と看護師等1人を、それぞれ保育士とみなすことも、通知は認めています。

支援する保育士の条件を満たせないとき、特例は使えませんか。

通知は、勤続年数がおおむね3年以上で常勤であることを「望ましい」としています。使えるかどうかの判断は、通知からは分かりません。所在地の自治体に確認してください。

この特例を使うと、公定価格の試算は変わりますか。

通知は、最低基準上の保育士の数え方を示すもので、公定価格の算定は扱っていません。この試算ツールは公定価格(委託費)の算定のみを行い、この特例の適用は試算に含めていません。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は、令和8年4月8日の通知の本文に書かれた範囲だけを扱います。通知のその後の改正の有無は確認していません。個別の人や園での適用可否は、所轄の自治体に確認してください。

次に知りたいこと:専門職の保育士みなし特例の対象職種と要件、看護師等を保育士とみなす特例、勤務時間短縮保育士は保育士定数に充てられるか(令和6年6月25日の通知)

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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