解説

公定価格の常勤換算の計算式と、非常勤・勤務時間短縮保育士の処遇改善等加算での扱い

公定価格では、就業規則等で定めた常勤職員の1か月の勤務時間数に達しない職員を常勤換算します。公定価格FAQのNo.220・227・259に示された算式と、非常勤職員が処遇改善等加算の賃金改善の対象になるかを一次資料で整理します。

最低基準上の「常勤」と公定価格上の常勤換算は別の取扱い

こども家庭庁の「公定価格に関するFAQ(第32版)」No.220は、「保育所等における常勤保育士及び短時間保育士の定義について」(令和5年4月21日付こ成保21)を、最低基準上の保育士定数に充てられる常勤の保育士と短時間勤務の保育士の定義を示したものと説明しています。

この通知では、就業規則で定める常勤の勤務時間数に達していなくても、1日6時間以上かつ月20日以上勤務する者は常勤の保育士と扱われます。一方で、公定価格の取扱いは留意事項通知で示しているとおり、各施設・事業所の就業規則等で定めた常勤職員の1か月の勤務時間数に達しない者について常勤換算を行うとされ、この通知による変更は無く従前のとおりです。

同じ職員でも、見る基準で扱いが変わる
基準就業規則上の常勤の勤務時間数に達しないが、1日6時間以上かつ月20日以上勤務する保育士
最低基準上の保育士定数常勤の保育士として扱う(令和5年4月21日付こ成保21)
公定価格常勤換算を行う(公定価格FAQ No.220)

最低基準上の定数に短時間勤務の保育士を充てられる条件は、短時間勤務の保育士を最低基準の保育士定数に充てる条件で説明しています。

常勤換算値を算出する算式

公定価格FAQのNo.220とNo.227は、同じ算式を示しています。

公定価格上の常勤換算の算式(公定価格FAQ No.220・227)
項目内容
分子常勤以外の職員の1か月の勤務時間数の合計
分母各施設・事業所の就業規則等で定めた常勤職員の1か月の勤務時間数
結果常勤換算値(小数点以下の端数処理を行わない)

計算の流れを示す仮の数字の例です。就業規則等で定めた常勤職員の1か月の勤務時間数が160時間の施設で、常勤以外の保育士3人の1か月の勤務時間数の合計が300時間の場合、300÷160=1.875となり、端数処理をせず1.875として扱います。

分母は全国一律の時間数ではなく、各施設・事業所の就業規則等で定めた時間数です。自園の就業規則等の定めを確認してください。

育児・介護による勤務時間短縮保育士も常勤換算

「保育所等における勤務時間短縮保育士の定義について」(令和6年6月25日付こ成保666号)は、これまで常勤保育士として働いてきた保育所等で就労を希望するものの、育児・介護等により1か月に勤務すべき時間数が120時間未満となる保育士を「勤務時間短縮保育士」として扱うものです。

公定価格FAQ No.227は、この通知を最低基準上の保育士定数に充てる短時間勤務保育士の取扱いの定義とし、公定価格上は、常勤以外の職員を配置する場合と同様に、常勤職員の1か月の勤務時間数に達しない者として常勤換算するとしています。

自治体の運用が移行途中の場合がある

公定価格FAQ No.227は、これと異なる取扱いをしてきた地方公共団体に対し、この取扱いで運用するよう求めています。ただし、現場の実務への影響に鑑みやむを得ない場合に限り、異なる取扱いによる運用でも差し支えないとし、できる限り早期の移行を求めています。

自園の所在市町村が現在どちらの運用をしているかは、市町村の担当窓口で確認してください。

1名配置の職員が常勤の勤務時間数に達しない場合

公定価格FAQ No.259は、園長(専任でない園長を除く)、施設長、管理者、専任化させる主幹教諭等・主任保育士等・主幹保育教諭等が、1日6時間以上かつ月20日以上勤務するものの常勤職員の1か月の勤務時間数に達しない場合を扱っています。

この場合は常勤換算を行い、他の職員の配置をもって「1」を満たすこととされています。

「1」を満たすために配置する「他の職員」(公定価格FAQ No.259)
1名配置の職員他の職員
園長、施設長、管理者職種の定めなし
専任化させる主幹教諭等教諭
専任化させる主任保育士等保育士
専任化させる主幹保育教諭等保育教諭

公定価格FAQ No.259は、「他の職員」の経験年数や発令等は問わないとしています。主任保育士の専任化の要件は主任保育士専任加算の要件で確認できます。

非常勤職員と処遇改善等加算の賃金改善

こども家庭庁の「処遇改善等加算に関するFAQ(第4版)」は、賃金改善の対象職員について次のとおり示しています。

処遇改善等加算の賃金改善の対象と非常勤職員
区分非常勤職員の扱い
区分1・区分2事務職員、調理員、栄養士等を含め、通常の教育・保育に従事するすべての職員(非常勤職員含む)が対象(処遇改善等加算FAQ No.1)
区分3原則は副主任保育士等と職務分野別リーダー等。これに該当する場合は、非常勤職員であっても対象とすることを妨げない(処遇改善等加算FAQ No.2)

処遇改善等加算の通知は、区分1のキャリアパス要件について、就業規則等の根拠規定を全ての職員(非常勤職員と、法人の役員等を兼務している職員を含む)に周知することを求めています。

また区分3-②の改善額について、法定福利費等の事業主負担がない又は少ない非常勤職員の賃金の改善を図っているなど、事業主負担額の影響で前年度に残額が生じた場合は、その実績も加味して、計画当初から原則額を上回る改善額を設定することが望ましいとしています。

加算額を算定する人数の数え方は、この記事では扱わない

処遇改善等加算の加算額を算定する際の人数に、非常勤職員を常勤換算で数えるかどうかは、この記事で確認した一次資料には明記がないため、この記事では扱いません。

加算額の算定に使う人数は、加算の認定を行う自治体の担当窓口で確認してください。制度の全体像は処遇改善等加算の区分1・2・3で説明しています。

よくある質問

1日6時間・月20日勤務のパート保育士は、公定価格上も常勤として数えますか。

公定価格上は、就業規則等で定めた常勤職員の1か月の勤務時間数に達しなければ常勤換算します。最低基準上の保育士定数では常勤の保育士として扱われますが、公定価格の常勤換算の方法は変わらないと公定価格FAQ No.220が示しています。

常勤換算値は小数点以下を切り捨てますか。

切り捨てません。公定価格FAQの算式は、常勤換算値を小数点以下の端数処理を行わない値としています。

この試算ツールに、常勤換算値を入力できますか。

できません。この試算は所在地・定員・年齢別の園児数などから公定価格(委託費)を試算するもので、職員の勤務時間数や常勤換算値の入力欄はありません。

自園の条件で試算する

基本分単価に含まれる保育士数は年齢区分ごとの比率で決まります。基本分単価の保育士数と年齢別配置基準もあわせて確認してください。

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

職員の常勤換算値や、実際の職員配置が要件を満たすかどうかの判定は試算に含まれません。

公定価格の試算を開く

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」2件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説