解説

保育所の保育士配置の特例3種類(朝夕・8時間超の開所・幼稚園教諭等)

保育所の保育士配置には、朝夕の児童が少ない時間帯、1日8時間を超える開所、幼稚園教諭・小学校教諭・養護教諭の活用という3つの特例があります。児童福祉施設の基準の附則第94〜97条と平成28年の局長通知から、各条件と保育士資格者を3分の2以上置く条件を整理します。

保育士の人数に数えられる特例は、附則に3つある

保育所の保育士の数は、本則の第33条第2項に比率が定められ、これに3つの特例が附則で重ねられています。

本則は、乳児おおむね3人、1歳以上3歳未満おおむね6人、3歳以上4歳未満おおむね15人、4歳以上おおむね25人につき保育士1人以上とし、保育所1つにつき2人を下ることはできないとしています。

附則は、保育の受け皿が足りないことを理由に、当分の間の特例を認めています。

3つの特例の違い(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 附則第94〜97条、確認日 2026-10-13)
特例条文数えられる人使える場面保育士を3分の2以上(第97条)
朝夕の少数時間帯附則第94条都道府県知事等が保育士と同等の知識・経験を認める者(保育士の2人目として置く)子どもの数で必要な保育士が1人になる時間帯対象外(保育士に加えて認める者を置く条件が別にある)
8時間超の開所附則第96条都道府県知事等が保育士と同等の知識・経験を認める者1日8時間を超えて開所し、必要な保育士の総数が利用定員に応じた数を超えるとき、その差の範囲対象
幼稚園教諭等の活用附則第95条幼稚園教諭・小学校教諭・養護教諭の普通免許状を持つ者保育士の数の算定(人数の上限は条文にない)対象

通知は、この3つの特例が保育所のほか、小規模保育事業所A型と保育所型事業所内保育事業所にも設けられたと説明しています。この記事は保育所を対象にします。

朝夕の少数時間帯は、2人目を知事等が認める者にできる

附則第94条は、本則の「保育所1つにつき2人を下ることはできない」という下限を、適用しないことができるとしています。

ただし、子どもの数から計算した保育士が1人になる時間帯は、その保育士に加えて、知事等が保育士と同等の知識・経験を認める者を置かなければなりません。

保育士が実際に1人だけになる運用を認める特例ではありません。

通知は、知事等が認める者として想定する人を例示しています。

保育所で保育業務に従事した期間が十分にある者、家庭的保育者、子育て支援員研修の地域型保育コースを修了した者などです。

誰を認めるかは都道府県・指定都市・中核市が決めるため、自園の所在地の自治体で要件を確認します。

8時間超の特例で認める者の要件は、通知で第94条と同様とされています。

8時間超の開所は、追加で必要な分だけ知事等が認める者を数えられる

附則第96条は、1日8時間を超えて開所する保育所に限った特例です。

開所時間を通じて必要になる保育士の総数が、利用定員に応じて置く保育士の数を超えるとき、その超えた分の範囲で、知事等が認める者を保育士とみなせます。

通知は、利用定員に応じて置く保育士の数を、認可の基準として算定される数と説明しています。

考え方を仮の数字で示します。

利用定員に応じて置く保育士が10人、開所時間を通じて必要な総数が12人なら、差の2人までが知事等が認める者で数えられる範囲です。

実際の園の人数ではなく、条文の読み方を示す例です。

幼稚園教諭等は、免許状を持つ人を保育士の数に数えられる

附則第95条は、幼稚園教諭・小学校教諭・養護教諭の普通免許状を持つ人を、保育士とみなせるとしています。

条文に、みなせる人数の上限は書かれていません。

通知は、専門性を生かす観点から、幼稚園教諭は3歳以上児、小学校教諭は5歳児を中心に保育することが望ましいと述べています。

「望ましい」は条文の要件ではなく、通知の助言

年齢の目安は通知に書かれた「望ましい」という助言で、附則第95条の条文には年齢の限定がありません。通知は、保育の経験がない幼稚園教諭等には子育て支援員研修などの受講を促すとも述べています。

年齢や研修の扱いに自治体独自の運用がないか、所轄の自治体の案内で確認します。

幼稚園教諭等と8時間超の開所の特例では、保育士資格者を3分の2以上置く

附則第97条は、第95条(幼稚園教諭等)と第96条(8時間超の開所)を使うときに、保育士を特例がないとした場合の保育士数の3分の2以上置くことを求めています。

ここで数える保育士は、第33条の保育士であり、特例や看護師等の経過措置で保育士とみなされる人は含みません。

朝夕の少数時間帯の特例(第94条)は第97条の対象外で、保育士に加えて認める者を置く条件が別にあります。

仮に特例がなければ必要な保育士が9人なら、第95条・第96条を使う園では、保育士資格を持つ人が6人以上になります。

通知は、この割合を各時間帯で見るとも述べています。

通知は、各特例を実施するときの留意点も示しています。

過去3年間の指導監査で、知事等から勧告や改善命令などを受けた保育所には、各特例の実施を認めないとされています。

また、地域の待機児童や保育士不足の状況を見て、限定的に実施することも認められています。

公定価格では、特例で数えた人を保育士として算定する

通知は、特例を実施する場合の公定価格の算定は、保育士以外の者を保育士とみなして行うとしています。

可能な限り、1人を超える配置や保育士の処遇改善に配慮して実施するようにも述べています。

公定価格の中にある配置の加算ごとに、特例で数えた人を保育士として扱えるかは、加算の要件で別に確認します。

  1. 自治体の運用を確認する

    特例を実施しているか、知事等が認める者の要件をどう決めているかを、都道府県・指定都市・中核市の案内で確認します。

  2. 保育士資格を持つ人の割合を確かめる

    幼稚園教諭等や8時間超の特例を使うときは、特例を使わない場合の保育士数を出し、その3分の2以上を保育士資格を持つ人で置けているかを確かめます。

  3. 加算の要件で保育士の数え方を確かめる

    配置に関わる加算は、特例で数えた人を保育士の人数に入れてよいかを、加算ごとの要件で確かめます。

看護師等や専門職を保育士とみなす別の特例は、看護師等の保育士みなし特例(保育所は乳児要件の撤廃、認定こども園は3分の1の上限)と専門職の保育士みなし特例(令和8年度)の対象職種と要件で整理しています。

この記事・試算で扱わないこと

この記事は、附則第94〜97条と通知の枠組みを説明するもので、自園の配置が基準を満たすか、特例を使えるかの判定は行いません。

試算ツールも、職員配置基準そのものの判定は対象外です。

実施の可否と、認める者の要件は、所轄の自治体にお問い合わせください。

よくある質問

朝夕の時間帯は、保育士が1人だけでもよいのですか。

いいえ。附則第94条は、子どもの数から計算した保育士が1人になる時間帯に、その保育士に加えて知事等が認める者を置くことを求めています。本則の「2人を下ることはできない」の下限を、保育士2人でなくてもよい形に緩める特例です。

特例で数えた人は、保育士として公定価格の算定に入りますか。

通知は、特例を実施する場合の公定価格の算定は、保育士以外の者を保育士とみなして行うとしています。配置に関わる加算で同じ扱いになるかは、加算ごとの要件で確認してください。

知事等が認める者には、どんな人がなれますか。

通知は、保育所で保育業務に従事した期間が十分にある者、家庭的保育者、子育て支援員研修の地域型保育コースを修了した者などを想定しています。実際の要件は都道府県・指定都市・中核市が定めるため、自治体の案内で確認します。

この特例に期限はありますか。

附則は「当分の間」の特例としています。終期は条文に書かれていないため、改正の有無を確認する場合は、e-Gov法令検索の現行の条文と、所轄の自治体の案内を見ます。

この試算ツールで、特例を使った配置を確認できますか。

できません。この試算は公定価格(委託費)の算定に特化しており、職員配置基準そのものの判定は対象外です。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていないことも表示されます。

公定価格の試算を開く

次に確認したいときは、年齢別配置基準の比率と計算式で特例を使う前の保育士数を、配置改善加算で配置の加算を確認できます。特例の適用可否の判断は、所轄の自治体へお問い合わせください。

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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