解説

勤務時間短縮保育士は保育士定数に充てられるか(令和6年6月25日の通知)

育児や介護のために1か月の勤務時間が120時間未満になった保育士を「勤務時間短縮保育士」と呼びます。令和6年6月25日のこども家庭庁成育局長通知に沿って、定義、最低基準の保育士定数に充てられる2つの条件、園が守る留意事項、指導監査での確認、公定価格での数え方を整理します。

勤務時間短縮保育士は、1か月の勤務時間が120時間未満になった元常勤の保育士

通知は、保育士の柔軟な働き方を可能にし、育児・介護等と就労の両立を支援する観点から出されました。

「勤務時間短縮保育士」とは、保育所等で常勤保育士として働いてきた保育士のうち、おおむね10歳未満のこどもの子育て、家族の介護その他都道府県が適当と認める事由のために、その園の1か月に勤務すべき時間数が120時間未満となる人です。

小規模保育事業所A型・B型と事業所内保育事業所では、「適当と認める」主体が都道府県ではなく市町村になります。

通知が前提にしている保育士の区分
区分通知での位置づけ
常勤保育士令和5年4月21日の通知で定義。この通知の1は、1日6時間・月20日勤務なら常勤保育士に当たると説明している
勤務時間短縮保育士1日の所定労働時間を6時間未満にするなどして、1か月の勤務すべき時間数が120時間未満になった元常勤の保育士

対象は保育所、小規模保育事業所A型・B型、事業所内保育事業所です。育児・介護休業法の所定労働時間の短縮措置(1日6時間を含む)を使い月20日勤務する場合は常勤保育士に当たり、この通知の対象は、園独自の取組などで1日6時間未満になった場合です。常勤保育士の定義は、記事短時間勤務の保育士の定数上の扱いで整理しています。

定数に充てられるのは、2つの条件をどちらも満たす場合

通知は、保育士定数はこどもを長時間保育できる常勤保育士で確保するのが原則で、望ましいという考え方は変えていません。

そのうえで、保育の質が確保できる場合に、次の2つの条件をすべて満たすときは、保育士定数の一部に勤務時間短縮保育士を充ててもよいとしています。

適用にあたっては、組やグループの編成を適切に行い、明確にしておく必要があります。

定数に充てる2つの条件(通知の3)
条件内容
常勤保育士の配置各組・各グループに常勤保育士が1名以上。乳児を含む組・グループで、その最低基準上の保育士定数が2名以上のときは、2名以上
勤務時間数の確保常勤保育士に代えて勤務時間短縮保育士を充てる場合の勤務時間数が、常勤保育士を充てる場合の勤務時間数を上回ること

2つ目の条件は、勤務時間短縮保育士を充てる場合の勤務時間数が、常勤保育士を充てる場合を上回ることです。

通知は、1人を何人分と数える換算率や、具体的な人数の組み合わせ例を示していません。自園の組・グループの編成での当てはめは、所在地の都道府県・市町村に確認してください。

園が守る留意事項と、定数に充てられない場合

通知の4は、園の長に次の事項を求めています。

同じ組・グループに、日によって異なる勤務時間短縮保育士を配置することは適切ではないと明記されています。

通知の「留意すべき事項」の主なもの
事項通知の内容
研修と業務の分担勤務形態を問わず研修へ参加する機会を確保する。常勤職員などに業務の負担が偏らないよう、周辺業務の効率化や分担を含めた業務マネジメントを行う
指導計画・引継ぎ同じ組・グループの常勤保育士と勤務時間短縮保育士が共同で指導計画と保育の記録を作る。交替の際の引継ぎ時間を確保する
待遇労働関係法規を守り、不安定な雇用や低い処遇の保育士が生じないようにする。担任を務める勤務時間短縮保育士と常勤保育士の間に不合理な待遇差を設けない
情報提供児童福祉法第48条の4第1項に基づき、保育士の勤務形態の状況等の情報提供に努める
指導監査都道府県知事・市町村長は、児童福祉法に基づく指導監査で、この取扱いの運用を確認する。例として、勤務時間短縮保育士の処遇の適正性と、共同で指導計画を作る機会の確保が挙げられている

過去3年間に指導監査で勧告・改善命令を受けた園は、この取扱いを使えない

通知は、過去3年間の指導監査で、都道府県知事または市町村長から勧告や改善命令を受けている保育所等には、定数に充てる取扱い(通知の3)の適用を認めないとしています。

直近3年間に勧告・改善命令を受けたかどうかは、自園の指導監査の通知文書で確認する。判断に迷う場合は、所轄の自治体に確認してください。指導監査の確認事項は指導監査で確認される事項の一覧を参照してください。

公定価格では、常勤換算で数える

この通知は、最低基準上の保育士定数の取扱いを示すものですが、公定価格の取扱いにも触れています。

公定価格で充足すべき職員数の算定では、勤務時間短縮保育士は、留意事項通知にある常勤以外の職員と同様に、各施設・事業所の就業規則等で定めた常勤職員の1か月の勤務時間数に達しない者として、常勤換算で数えます。

算式は、常勤以外の職員の1か月の勤務時間数の合計を、常勤職員の1か月の勤務時間数で割る形で、小数点以下の端数処理は行いません。

これまで異なる取扱いをしてきた自治体の園は、移行の時期を確認する

通知は、これと異なる取扱いをしてきた自治体に、今後はこの取扱いで運用するよう周知・指導を求めています。ただし、現場の実務への影響を考えてやむを得ない場合に限り、異なる取扱いでの運用も認めるとしており、できる限り早期に移行するとしています。

自園の所在地での取扱いと移行の時期は、市区町村に確認する。常勤換算の算式と計算例は常勤換算の算式と計算例を参照してください。

よくある質問

勤務時間短縮保育士は、保育士定数に何人分として数えますか。

通知は、1人を何人分と数える換算率を示していません。定数に充てる条件として、各組・グループの常勤保育士の配置と、常勤保育士を充てる場合より勤務時間数が多くなることを求めています。自園の編成での当てはめは、所在地の自治体に確認してください。

育児のための短時間勤務の制度を使う保育士は、勤務時間短縮保育士ですか。

通知の趣旨では、育児・介護休業法の所定労働時間の短縮措置(1日6時間を含む)を使い、月20日勤務する場合は常勤保育士に当たります。この通知の対象は、園独自の取組などで1日6時間未満になった保育士です。雇用管理上の扱いは、労務の専門家や労働局に確認してください。

勤務時間短縮保育士にも、処遇改善等加算の賃金改善は必要ですか。

通知は、不合理な待遇差を設けないことを求めていますが、処遇改善等加算の賃金改善の対象者や配分は、加算の通知で決まります。この記事では扱いません。

自園の条件で試算する

所在地・定員・年齢別の園児数を入力すると、公定価格(委託費)を試算します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

公定価格の試算を開く

この記事は、令和6年6月25日の通知の本文に書かれた範囲だけを扱います。通知のその後の改正の有無は確認していません。個別の園での適用可否や、雇用管理上の判断は、所轄の自治体や労務の専門家に確認してください。

次に知りたいこと:短時間勤務の保育士の定数上の扱い、スポットワーク(スキマバイト)の保育士は保育士定数に充てられるか(令和7年2月14日の通知)

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」2件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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