解説

処遇改善等加算の賃金改善の配分方法(基本給・手当・賞与・一時金)

処遇改善等加算の賃金改善で、区分2は基本給・手当・賞与・一時金から改善する項目を特定し、毎月払いか一括払いで行えます。区分2と区分3を合わせた改善額の1/2以上を基本給か毎月の手当で行う基準、区分3の毎月払い、国家公務員の給与改定時の追加支払、法定福利費の扱いを、通知の原文で整理します。

賃金改善の配分は、区分2と区分3で通知の定めが違う

処遇改善等加算の賃金改善は、加算額を何に、どの支払い方で配るかを通知が定めています。

区分2(賃金改善分)と区分3(質の向上分)で、使える賃金の項目と支払い方が違います。

区分3は、決まって毎月支払われる手当か基本給に限られます。区分2は、基本給・手当・賞与・一時金から選べます。

賃金改善の配分方法の定め(処遇改善等加算通知 第5の2、令和8年度、確認日 2026-10-05)
区分改善に使える賃金の項目支払い方
区分2(賃金改善分)基本給、手当、賞与、一時金等のうちから、施設・事業所が改善する項目を特定する毎月払い、一括払い等
区分3(質の向上分)役職手当、職務手当など、職位・職責・職務内容等に応じて決まって毎月支払われる手当、または基本給毎月払い

対象職員・配分・実績報告の違いを、区分ごとに並べています。

処遇改善等加算の区分1・2・3の比較を開く

区分2は、各施設・事業所で決める範囲の職員に対して行います。どちらの区分でも、改善する賃金の名称と内訳を、施設・事業所で明確に管理するよう通知が定めています。

基本給・毎月の手当による改善額の下限(区分2・3合計の1/2以上)

区分2と区分3を併せた加算による改善見込額は、1/2以上を基本給か、決まって毎月支払われる手当で改善します。通知は、この定めを加算の要件(第2の2(2))と賃金改善の方法(第5の2)の両方に置いています。

賞与や一時金だけで改善額の全部を配ることはできません。半分以上は、毎月の賃金に入れます。

手当や一時金については、基本給の引上げや定期昇給の増額などに段階的に反映していくことが望ましく、給与表や給与規程の見直しを進めるよう、通知は求めています。

区分2だけで1/2を数えない

1/2の基準は、区分2と区分3を併せた改善額に対して置かれています。区分ごとに別々に1/2を数えると、通知の定めと合いません。

区分2と区分3の改善額を合計し、そのうち基本給と決まって毎月支払われる手当で行う分が半分以上になっているかを確認します。

改善する項目以外の賃金は、下げない

通知は、賃金改善の方針を事前に職員へ周知し、改善を行う項目以外の賃金の項目の水準を下げないことを前提にするよう定めています。職員個人の業績評価などに応じて変動する項目は、この対象から除かれています。

対象者や改善額が恣意的に偏らず、改善が必要な職種の職員に重点的に行われるよう留意することも求めています。

次の場合は、この前提の例外になると通知は定めています。基準年度より加算額が減る場合、または施設独自の改善を実施しないことにした場合に、必要事項を記した届出書(別紙様式7)を提出したときです。個別の施設が例外に当たるかは、認定する自治体に確認します。

国家公務員の給与改定で増額があれば、追加で支払う

加算の年度の途中で、国家公務員の給与改定に伴う増額改定があった場合は、それに応じた賃金の追加的な支払を行うことが、区分2と区分3の共通の要件です(通知 第2の2(3))。

公定価格の人件費の増額改定分は、その全額を賃金の改善に充てることが、加算の使途として定められています(第5の1)。

市町村の長は、年度内に公定価格の人件費の改定があったとき、その影響額を設置者・事業者へ速やかに通知します。増額改定のときは、一時金等による迅速で確実な賃金の支払に充てるよう、指導と要請を行うと通知は定めています。

改定分の具体的な額の算定式は、通知の第4の5に定められています。実績報告の差額精算との関係は、処遇改善等加算は翌年度の実績報告と差額精算が必要の記事で説明しています。

法定福利費の事業主負担分は、改善額に伴う分を含められる

区分2と区分3の加算額は、全額を職員の賃金の改善に充てます。ただし、加算による改善額に伴う法定福利費等の事業主負担分(社会保険料の会社負担分など)に充てることも認められています(通知 第5の1の注)。

加算額と改善の実績を比べるときも、賃金の改善に伴って増える事業主負担分を含められます(第2の2(1)の注2)。

反対に、退職金や法人の役員等としての報酬は、賃金に含めて数えられません。退職者に対して加算の目的と関係なく適用される賃金の項目や、その増額も、名目にかかわらず改善に要した費用に含められません(第2の2(1)の注1)。

区分1の加算額は、昇給等に充てる

区分1(基礎分)の加算額は、職員の賃金の勤続年数等を基準として行う昇給等に適切に充てるよう、通知が定めています。区分2・区分3の全額改善の定めとは使い道が違うため、配分を考えるときは区分を分けて確認します。

区分ごとの要件の違いと令和7年度との年度差は処遇改善等加算の加算率はどこで決まるか、区分2・区分3の対象職員の範囲は処遇改善等加算の賃金改善は誰が対象か(区分ごとの範囲と非常勤・派遣・独自加配)で説明しています。

配分を決める順序

  1. 区分2と区分3の加算見込額を確認する

    認定を受けた区分ごとの加算見込額が、賃金改善の合計額の下限になります。改善等見込総額が加算見込額を下回らないことが、共通の要件です。

  2. 区分3は、毎月払いの手当か基本給に決める

    副主任保育士等と職務分野別リーダー等への改善は、役職手当、職務手当、基本給など、決まって毎月支払われる形にします。

  3. 区分2は、改善する項目と支払い方を特定する

    基本給、手当、賞与、一時金等から改善する項目を決め、毎月払いか一括払いかを決めます。名称と内訳は、明確に管理します。

  4. 区分2と区分3の合計の半分以上が、基本給か毎月の手当になっているか確認する

    賞与や一時金の配分が多すぎないかを、合計額で確かめます。

  5. 年度の途中の国家公務員の給与改定に備える

    増額改定があったときに、追加で支払える枠を残しておきます。自治体からの通知を確認します。

よくある質問

区分2の加算額を、賞与だけで配ってもよいですか。

区分2は、基本給、手当、賞与、一時金等から改善する項目を選べます。ただし、区分2と区分3を併せた改善額の1/2以上は、基本給か決まって毎月支払われる手当で改善する必要があります。

区分3の改善を、年に1回の一時金で行えますか。

通知は、区分3は決まって毎月支払われる手当か基本給で改善すると定めています。一時金は、区分3の方法として示されていません。

国家公務員の給与改定があったとき、必ず追加で払う必要がありますか。

加算当年度の途中に国家公務員の給与改定に伴う増額改定が生じた場合は、それに応じた賃金の追加的な支払を行うものとすると、通知が定めています。額の算定は通知の第4の5によります。

法定福利費の会社負担分は、賃金改善に含められますか。

賃金の改善額に伴って増える法定福利費等の事業主負担分は、加算額の使途にも、加算額との比較にも含められます。退職金や役員報酬は含められません。

自園の配分が要件を満たすかを、この記事で判定できますか。

できません。賃金規程や雇用契約の判断は、この記事の範囲外です。認定する自治体と、社会保険労務士などの専門家に確認してください。

公定価格を試算する

加算率を入力して加算額を試算します。賃金の配分方法が要件を満たすかは、試算の結果には含まれません。

処遇改善等加算を含めて公定価格を試算する

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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