解説

公立保育所の指定管理者制度と民間移管の違い(設置者・期間・議会の議決・認可)

公立保育所の民営化には、指定管理者に管理を任せる方法と、法人へ民間移管する方法があります。地方自治法第244条の2と児童福祉法第35条から、設置者・期間・議会の議決・認可の違いを整理し、募集要項で確かめる事項を示します。

指定管理者は管理を任される立場で、保育所の設置者は市町村のままです

公立保育所の運営を民間に任せる方法は、募集の名称が似ていても二つの仕組みに分かれます。一つは、市町村が条例に基づいて法人を指定管理者に指定し、公の施設の管理を行わせる方法です(地方自治法第244条の2第3項)。もう一つは、法人が都道府県知事の認可を受けて自ら保育所を設置する民間移管です(児童福祉法第35条第4項)。

指定管理者は市町村が設置した保育所の管理を行う立場で、民間移管を受ける法人は自らが設置者になる立場です。

指定管理者と民間移管の比較(確認日 2026-10-20)
比べる点指定管理者に管理を行わせる場合民間移管を受ける場合
根拠地方自治法第244条の2第3項児童福祉法第35条第4項
法人の立場市町村が指定した管理者都道府県知事の認可を受けた設置者
期間指定は期間を定めて行う(同条第5項)第35条に期間の定めはない
議会指定の前に議会の議決が必要(同条第6項)第35条の認可に議会の議決の定めはない
市町村の関与報告の請求・実地調査・指示、指定の取消しや業務停止(同条第10項・第11項)認可後の監督は児童福祉法の別の条に定めがあり、この記事では扱わない

表は地方自治法第244条の2と児童福祉法第35条の文言による整理です。市町村側の公立保育所の廃止の手続は別に必要で、この表は法人側に関わる規定だけを比べています。個々の募集では、市町村が募集要項で示す条件が加わります。

指定は期間を定めて議会の議決を経て行われ、毎年度の報告が必要です

地方自治法第244条の2は、指定管理者について次のように定めています。条例には、指定の手続、管理の基準、業務の範囲を定めます(第4項)。指定は期間を定めて行い(第5項)、指定の前にあらかじめ議会の議決を経ます(第6項)。

指定管理者は、毎年度終了後に事業報告書を作成し、設置する市町村へ提出します(第7項)。

指定管理者として受ける場合は、指定期間が終わった後の扱いを、募集の段階で確かめておく必要があります。

  1. 指定の年数

    年数は条文に書かれていません。募集要項と条例で確かめます。

  2. 期間満了後の扱い

    再び指定を受けられるかどうかは、条文では決まりません。公募の有無を含め、市町村に確かめます。

  3. 市町村の関与

    市町村は、管理の適正を期すために報告を求め、実地で調査し、必要な指示をすることができます(第10項)。

指定管理者の指定を、保育所の設置の認可と取り違えない

指定管理者の指定は、市町村が自らの公の施設の管理を任せる行為です。法人が児童福祉法第35条第4項の認可を受けて保育所を設置するものではありません。

募集要項の題名と応募資格を読み、指定管理者の公募か、認可を前提にした民間移管の募集かを最初に書き分けておく。

民間移管を受ける法人は、認可を受ける設置者になります

児童福祉法第35条は、市町村が児童福祉施設を設置するときは都道府県知事への届出、市町村以外の者が設置するときは都道府県知事の認可を定めています。民間移管を受ける法人は、国・都道府県・市町村以外の者です。

民間移管では法人が設置者として認可を受ける立場になるため、認可の審査項目と施設の基準を、応募の前に自分で確かめる必要があります。認可の審査で見られる点と、移管後の委託費の扱いは、公立保育所の民営化(民間移管)を受けるときの委託費・公定価格と確認事項で説明しています。

民間移管で認可を申請する法人が、申請書に書く事項と添付書類を確認できます。

設置認可の申請書に書く事項と添付書類

社会福祉法人・学校法人以外の法人が、認可の審査で示す資金や物件の条件を整理しています。

経済的基礎の審査で見られること

募集要項で確かめる事項と、試算に置く範囲

指定管理者の費用の取り決めは、募集要項や協定などで定められます。第244条の2は費用の額を定めておらず、この記事でも額や算定方法は扱いません。

募集の種類を見分けたら、国の法令で決まる範囲と、市町村へ書面で確かめる範囲を分けて記録します。

国の定めの範囲と、市町村に確かめる範囲
区分確認する内容
国の法令で確認できる指定管理者の指定の手続と期間・議会の議決、民間移管の認可の主体と審査項目
募集要項・協定で市町村へ確かめる指定期間の年数、再指定の扱い、管理に要する費用の取り決め、職員と在籍児童の引継ぎ
試算に置く民間移管で私立保育所として運営する場合の利用定員と年齢別の見込み

所在地、利用定員、年齢別人数を入力して、現行年度の公定価格を条件比較できます。結果は認可・確認や委託費の決定を保証しません。

民間移管後の私立保育所として公定価格を試算する

基本分と加算を組み合わせて委託費の基礎が決まる仕組みは、公定価格の決まり方で確認できます。

よくある質問

指定管理者になると、保育所の設置者になりますか。

なりません。地方自治法第244条の2第3項は、市町村が公の施設の管理を指定管理者に行わせると定めています。設置者は市町村のままで、法人は管理を行う立場です。

指定管理者の指定に期間はありますか。

あります。同条第5項は、指定は期間を定めて行うと定めています。年数は条文になく、市町村の条例と募集要項で決まります。

民間移管と指定管理者で、認可の要否は違いますか。

民間移管を受ける法人は、児童福祉法第35条第4項により都道府県知事の認可を受けて保育所を設置します。指定管理者の指定は、市町村が管理を任せる行為で、この認可とは別のものです。

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この記事が参照した一次資料

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