解説

施設長未配置の減算:兼務・急な代行・乳児等通園支援事業はどう扱われるか

保育所の施設長を配置していない場合の調整(減算)について、施設長の要件、2つ以上の施設・事業との兼務、急な欠勤の代行、乳児等通園支援事業の幹部職員との兼ね合いを、留意事項通知とFAQ(第32版)の原文で整理します。

要件を満たす施設長を置いていなければ、調整の対象になる

留意事項通知(保育所の調整部分)は、要件を満たす施設長を配置していない施設に、施設長未配置の調整を適用すると定めています。

基準になるのは、施設長の名前の有無ではなく、通知が定める要件を満たす施設長がいるかどうかです。

通知の注は、施設長を、児童福祉事業等に2年以上従事した人、またはこれと同等以上の能力があると認められる人で、常時実際にその施設の運営管理の業務に専従し、委託費から給与の支出がある人としています。

この記事は、この「専従」の判定に絞って整理します。減算額の計算の流れは、減算4項目は、いつから・どう計算されるかの記事で説明しています。

施設長の要件(留意事項通知 保育所の基本分単価の職員構成の注、令和8年度、確認日 2026-10-05)
要件通知が定める内容
経歴児童福祉事業等に2年以上従事した人、またはこれと同等以上の能力があると認められる人
勤務常時実際にその施設の運営管理の業務に専従している
給与委託費からの給与支出がある

基本分単価に施設長1人が含まれていること自体は、基本分単価に含まれる職員と費用の区分(保育士の上乗せ・研修代替・調理員等・事務費と事業費)で説明しています。

2つ以上の施設・事業との兼務は、欠員とみなされる

通知は、2つ以上の施設または他の事業と兼務し、施設長として職務を行っていない人は欠員とみなされ、要件を満たす施設長を配置したことにならないとしています。

兼務しているだけでなく、施設長としての職務を行っていない状態が、欠員の判定の要点です。

FAQ(第32版)には、この前提に立った質問(No.261)と、緊急の代行についての質問(No.159)があります。回答の扱いは、次の表のとおりです。

施設長の勤務の状態と、通知・FAQの扱い(令和8年度、確認日 2026-10-05)
施設長の勤務の状態通知・FAQが示す扱い
2以上の施設または他の事業と兼務し、施設長として職務を行っていない欠員とみなされ、要件を満たす施設長を配置したことにならない(通知)
急に休んだ職員の業務を代わりに行うなど、やむを得ず緊急的に他の業務を行った「兼務」として取り扱わず、減算は適用されない(FAQ No.159)
乳児等通園支援事業の「実務を担当する幹部職員」を施設長が担うそれをもって直ちに減算の対象となるものではない(FAQ No.261)

「緊急の代行なら何日でも対象外」と読まない

FAQ No.159が兼務として取り扱わないとしているのは、止むを得ず緊急的に他の業務を行った場合です。通知とFAQは、緊急的な場合だけを対象外としています。

施設長が他の業務をした日と理由を記録し、緊急的なものか、継続的なものかを分けて、市町村に確認します。

乳児等通園支援事業の幹部職員を担っても、直ちには減算されない

FAQ No.261は、乳児等通園支援事業の「実務を担当する幹部職員」は、日常的に業務に従事することは想定されていないため、保育所等の施設長がこの幹部職員を担うことをもって直ちに減算の対象となるものではないと答えています。

回答が示す理由は、幹部職員は日常的に業務に従事することが想定されていない、という点です。

施設長の要件(運営管理業務への専従など)は、通知の注に定めがあります。自園の勤務が欠員に当たるかは、市町村に確認します。

乳児等通園支援事業を公定価格でどう扱うかは、こども誰でも通園制度は通常保育と別に試算するの記事で整理しています。この記事は、施設長の兼務の判定だけを扱います。

適用の認定を行う者(市町村長)と調整額の算定

通知は、施設長未配置の調整を適用する施設を、施設が所在する市町村長が認定すると定めています。

市町村長は、申請や指導監督等を通じて、施設の状況を把握するとされています。

調整額は、地域区分等に応じた単価に、処遇改善等加算(区分1・区分2)の単価に認定した加算率を乗じた額を加えた額として算定されます。

調整額の具体的な値は、試算ツールが通知・告示の別表をもとに計算します。この記事には書きません。

自園の施設長が要件に当たるかを、市町村に確認する順序

  1. 施設長の経歴と給与の支出元を確認する

    児童福祉事業等への従事が2年以上あるか、またはこれと同等以上の能力があると認められる人か、委託費から給与が支出されているかを確認します。

  2. 他の施設・事業との兼務の有無を洗い出す

    2つ以上の施設や他の事業を兼ねている場合は、施設長として職務を行えているかが論点になります。法人内の他の園や、乳児等通園支援事業などの事業を含めて確認します。

  3. 他の業務をした日の理由と頻度を記録する

    急な欠勤の代行など、緊急的なものと、継続的なものを分けて記録します。FAQが対象外とするのは、止むを得ず緊急的に行った場合です。線引きに迷う場合は、記録を示して市町村に確認します。

  4. 市町村へ、自園の勤務の実態を伝えて扱いを確認する

    認定は市町村長が行います。通知とFAQの定めを示したうえで、自園の施設長の勤務が欠員に当たるかを確認します。

  5. 試算ツールに、市町村の確認の結果を反映する

    市町村が欠員と確認した場合は、試算ツールの「施設長を配置していない」の入力欄にチェックを入れて試算します。

施設長の未配置を含む減算の扱いが、保育所・小規模保育・認定こども園でどう違うかを並べています。

園の種別ごとの加算・減算の違いを開く

施設長に求められる資格そのものは、保育所の施設長の資格要件で確認できます。

よくある質問

施設長が急に休んだ職員の代わりに保育に入ると、減算になりますか。

緊急的な代行であれば、減算は適用されません。FAQ No.159は、急に休んだ職員の業務を代わりに行うなど、止むを得ず緊急的に他の業務を行った場合は「兼務」として取り扱わないと答えています。

施設長が、乳児等通園支援事業の幹部職員も担っています。減算になりますか。

FAQ No.261は、それをもって直ちに減算の対象となるものではないと答えています。専従が保たれているかは、市町村に確認します。

施設長を法人内の2つの園で兼ねています。減算になりますか。

通知は、2つ以上の施設または他の事業と兼務し、施設長として職務を行っていない人を欠員とみなすとしています。自園の扱いは、市町村の認定によるため確認します。

この記事で、自園が減算の対象かどうかを判定できますか。

できません。この記事は、通知とFAQの定めを整理したものです。適用の認定は施設の所在地の市町村長が行うため、自園の扱いは市町村に確認します。

公定価格を試算する

試算ツールには、施設長を配置していない場合の入力欄があります。施設長の要件を満たすかの判定は、入力の前提として、市町村の認定で確認する必要があります。

施設長を配置していない場合を入力して公定価格を試算する

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

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