解説

保育所の施設長の資格要件(設備運営基準の定めと公定価格の要件)

保育所の施設長に、保育士資格などの資格は必要か。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(第33条)には施設長の資格の定めがなく、公定価格の留意事項通知が経歴・専従・給与の支出を要件にしています。両者の関係と、施設長未配置の調整との結びつきを整理します。

設備運営基準の保育所の章に、施設長の資格の定めはない

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第33条は、保育所に置く職員として、保育士、嘱託医、調理員を挙げています。

保育所の職員を定める条文に、施設長の名前も、施設長の資格も出てきません。

調理業務の全部を委託する施設は、調理員を置かないことができます。

同じ基準は、母子生活支援施設(第27条の2)、児童養護施設(第42条の2)、児童心理治療施設(第74条)、児童自立支援施設(第81条)については、施設の長の資格等を条文で定めています。保育所の章に、これに当たる条文はありません。

施設の長の資格を定める条文の有無(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準、e-Gov取得 2026-10-17)
施設施設の長の資格を定める条文
母子生活支援施設第27条の2
児童養護施設第42条の2(社会福祉士の資格を有する者などのいずれかに該当し、指定された研修を受けた者)
児童心理治療施設第74条
児童自立支援施設第81条
保育所第33条の職員は保育士・嘱託医・調理員で、施設長の資格の条文は見当たらない

第7条は、児童福祉施設の入所者の保護に従事する職員に、健全な心身、豊かな人間性と倫理観、児童福祉事業への熱意を求めています。第7条の2は、職員の自己研鑽と、施設による研修機会の確保を定めています。詳しくは保育所の職員の一般的要件(第7条)と研修の機会の確保(第7条の2)で説明しています。

公定価格の通知は、経歴・専従・給与の支出を施設長の要件にしている

資格の代わりに施設長の要件を置いているのは、公定価格の留意事項通知(保育所の基本分単価に含まれる職員構成)の注です。

通知が見ているのは、保育士資格などの有無ではなく、経歴と勤務の実態と給与の支出元です。

注は、施設長を、児童福祉事業等に2年以上従事した者またはこれと同等以上の能力を有すると認められる者で、常時実際にその施設の運営管理の業務に専従し、かつ委託費からの給与支出がある者としています。

施設長の要件と通知の例示(留意事項通知 別紙2 保育所 Ⅱ 基本部分 1(2)(イ)ⅰの注、令和8年度、確認日 2026-10-17)
区分通知が示す内容
経歴児童福祉事業等に2年以上従事した者
経歴の例示児童福祉施設の職員、幼稚園・小学校等における教諭、市町村等の公的機関で児童福祉に関する事務を取り扱う部局の職員、民生委員・児童委員、認可外保育施設から移行した施設・事業所における移行前の職員など
同等以上の能力同等以上の能力を有すると認められる者
同等以上の能力の例示公的機関等の実施する施設長研修等を受講した者など
勤務常時実際にその施設の運営管理の業務に専従している
給与委託費からの給与支出がある

「保育士資格がなければ施設長になれない」と読まない

通知の注の要件に、保育士資格などの資格の名前は挙がっていません。ただし、これは公定価格の施設長の要件の話です。施設を設置する自治体の条例や、認可の審査で別の要件が求められるかは、この記事では確認していません。

自園の所在地の市町村・都道府県の所管課に、認可や条例上の施設長の要件の有無を確認します。

要件を満たす施設長がいない場合は、公定価格が調整される

通知は、加減調整部分の「施設長を配置していない場合」を、上の注の要件を満たす施設長を配置していない施設に適用すると定めています。

公定価格に結びつくのは、施設長という肩書の人がいるかではなく、注の要件を満たす人がいるかどうかです。

適用の認定は施設が所在する市町村長が行います。2つ以上の施設・事業との兼務や、急な欠勤の代行の扱いは、施設長未配置の減算での兼務と急な代行の扱いで整理しています。減算全体の流れは減算4項目は、いつから・どう計算されるかを確認します。

施設長の配置に関わる、通知のそのほかの定め

施設長の配置に関わる通知の定め(留意事項通知 別紙2 保育所、令和8年度、確認日 2026-10-17)
場面通知の定め
基本分単価の職員構成施設長は1人が含まれる。分園の場合は、施設長を除く職員を充足する
分園分園は中心園の施設長のもと、中心園と一体的に施設運営が行われるものとする
非常勤事務職員施設長等の職員が兼務する場合または業務委託する場合は、配置は不要
施設長を配置していない場合の定員区分分園を設置する施設は、中心園と分園それぞれの利用定員の総和に応じた区分を適用する

施設長の配置に関わる定めは、分園の扱いと非常勤事務職員の配置の要否が中心です。基本分単価に含まれる職員と費用の区分は、基本分単価に含まれる職員と費用の区分(保育士の上乗せ・調理員等・事務費)で説明しています。

自園の施設長が要件に当たるかを確認する順序

  1. 施設長の経歴を、通知の例示と照らして書き出す

    児童福祉施設の職員、教諭、公的機関の児童福祉の担当部局の職員などとして、児童福祉事業等に従事した期間を書き出します。2年に満たない場合は、施設長研修などの受講歴を併せて整理します。

  2. 勤務の実態が運営管理への専従になっているか確認する

    他の施設や事業との兼務がある場合は、施設長として職務を行えているかが論点になります。兼務の有無と、運営管理に充てている時間を記録します。

  3. 給与の支出元を確認する

    施設長の給与が委託費から支出されているかを、会計上の区分で確認します。

  4. 認可・条例上の要件を所管課に確認する

    公定価格の要件とは別に、自治体の条例や認可の審査で施設長に求められる要件がないかを、所管課に確認します。

  5. 判断に迷う点は、市町村に事実を示して確認する

    公定価格の調整の認定は市町村長が行います。経歴の資料と勤務の記録を示して、要件を満たすかを確認します。

よくある質問

保育所の施設長に、保育士資格は必要ですか。

公定価格の留意事項通知の施設長の要件に、保育士資格は挙がっていません。設備運営基準の第33条にも、施設長の資格の定めは見当たりません。自治体の条例や認可の要件は別に確認が必要です。

児童福祉事業等に2年以上従事していない人は、施設長になれませんか。

通知は、同等以上の能力を有すると認められる者も要件に含めています。例示は、公的機関等の実施する施設長研修等を受講した者などです。認められるかは、市町村に確認します。

施設長の給与を委託費から出していない場合はどうなりますか。

通知の注は、委託費からの給与支出がある者を施設長としています。支出がない人は、通知の注の施設長の要件を満たさないため、自園の扱いを市町村に確認します。

この記事で、自園の施設長が要件を満たすかを判定できますか。

できません。この記事は、設備運営基準と通知の定めを整理したものです。適用の認定は施設の所在地の市町村長が行います。

公定価格を試算する

試算ツールには、施設長を配置していない場合の入力欄があります。要件を満たすかの判定は、入力の前提として、市町村への確認で確かめる必要があります。

施設長を配置していない場合を入力して公定価格を試算する

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