解説

処遇改善等加算の区分3:研修修了見込みの者が退職したとき・年度途中に研修修了者を確保したとき・区分3-②の「最も低い額」(FAQ No.69〜71)

処遇改善等加算の区分3で年度の途中に起きる3つの場面を、国の通知とFAQ(第4版)の原文で整理します。1つ目は、研修修了見込みの者が修了前に退職したときの扱いです。2つ目は、年度途中に研修修了者を確保したときの加算の開始月です。3つ目は、区分3-②の上限になる「最も低い額」の範囲です。

区分3の人数は4月1日時点で数え、年度途中の動きにはFAQが答えている

処遇改善等加算通知の第2の3(1)の(注1)は、区分3の人数を加算当年度の4月1日時点の研修修了者の人数で判断すると定めています。

この人数には、年度内に研修を修了する予定の「研修修了見込みの者」は含まれません。

ただし、年度の途中には、通知の本文だけでは判断しにくい場面が出ます。

FAQ(第4版、令和7年9月2日時点版)のNo.69〜71は、そのうち3つの場面に答えています。

FAQ No.69〜71が答えている3つの場面
FAQ場面答えの要点
No.69研修修了見込みの者が、修了前に退職した退職予定が分かっていても要件を満たす者は対象にできる。すでに払った分の返還までは求めない
No.70区分3-②の上限になる「最も低い額」副主任保育士等の改善額のこと。園長以外の管理職の改善額は考慮しない
No.714月1日に研修修了者がいない施設が、年度途中に確保した加算の開始月を、確保した月の翌月から1人分とするか、後から増えた人数がそろった月の翌月から全員分とするか、施設が選べる

研修修了見込みの者が修了前に退職したとき(FAQ No.69)

区分3は、年度内に研修を修了する予定の者を、賃金改善の対象に含められます。

No.69の問いは、12月に研修を修了する予定だった職員が11月に退職し、結果として研修を修了しないままになった場合に、どう扱うかというものです。

退職の予定があらかじめ分かっていた場合と、分かっていなかった場合で扱いが変わるかも、あわせて問われています。

答えは、次のとおりです。

退職の予定が分かっていても、要件を満たす者であれば、賃金改善の対象にすることはできます。

ただし、11月に退職する時点で研修の修了予定が立っていない場合は、在籍中に通知の「年度内に別に定める研修を修了する予定」の要件を満たさないため、基本的には賃金改善の対象にできません。

FAQは、もう1つの場面にも答えています。

すでに賃金改善を行っていて、そのあとに退職することになり、年度内に研修を修了できなくなった場合は、その退職予定の職員に支払った分について、返還を求めるなどの対応は必要ありません。

通知の(注1)は、研修修了見込みの者を3つの条件で定義しています。

1つ目は、年度内に研修を修了する予定があることです。2つ目は、研修計画で本人の受講を明示し、本人に周知していることです。3つ目は、副主任保育士等に準ずる職位や職務命令を受けていることです。

退職が決まった職員を対象にするかどうかは、この定義を満たしているかが目安になります。

区分3-②の「最も低い額」は副主任保育士等の改善額(FAQ No.70)

通知の第2の3(3)は、職務分野別リーダー等への区分3-②の賃金改善額を、原則として月額5千円としています。

例外として、副主任保育士等の改善額のうち最も低い額を上回らない範囲で、月額5千円以上4万円未満にできます。

一方、通知の第2の3(2)の(注2)には、別の例外があります。

賃金のバランスを踏まえて必要な場合は、園長以外の管理職にも区分3-①による賃金改善を行えます。

No.70の問いは、この例外の「最も低い額」を決めるときに、園長以外の管理職への改善額も含めて考えるのかです。

FAQの答えはお見込みのとおりです。

「最も低い額」は副主任保育士等の改善額のことで、園長以外の管理職への改善額は考慮しません。

「最も低い額」を決めるときの見るところ(通知の第2の3(3)とFAQ No.70)
配分先区分3-②の上限を決めるときに
副主任保育士等(区分3-①)改善額のうち最も低い額を、区分3-②の上限として見る
園長以外の管理職への区分3-①による改善(例外)最も低い額を決めるときの比較に入れない

4月1日に研修修了者がいない施設が、年度途中に確保したとき(FAQ No.71)

通知の第2の3(1)の(注1)は、4月1日時点で研修修了者がいない施設でも、年度途中に研修修了者を1人以上確保できて要件を満たしたときは、要件を満たした日の属する月の翌月から加算を適用できるとしています。

No.71の問いは、次の例です。

5月に副主任保育士等を1人確保し、7月からもう2人確保した場合に、6月から1人分とするのか、8月から3人分とするのかを、施設・事業所が選べるのかというものです。

答えはお見込みのとおりで、選べます。

FAQの答えは、この2つの算定の仕方のどちらかを施設が選べる、というものです。

開始月をいつにするかで加算の対象になる月数が変わります。申請書類への書き方は、所轄の自治体に確認してください。

No.71の例で、施設が選べる2つの算定の仕方
選び方加算の開始月算定する人数
確保した月の翌月から始める6月(5月に1人確保)1人分
後から増えた人数がそろった月の翌月から始める8月(7月までに3人確保)3人分

自園で確認すること

年度の途中で人の動きがあったときは、次の3つを確かめます。

  1. 退職予定の職員に、研修の修了予定があるか確かめる

    退職の予定が分かっていても、要件を満たす者は対象にできます。研修を修了する予定が立っていない場合は、基本的には対象にできません。通知の(注1)が求める研修計画での明示と本人への周知を確認します。

  2. 区分3-②の上限は、副主任保育士等の改善額だけで決める

    園長以外の管理職へ改善する場合でも、その額は「最も低い額」の比較に入れません。副主任保育士等の改善額のうち最も低い額を上限にします。

  3. 年度途中の確保は、開始月と人数を決める

    4月1日に研修修了者がいない施設が年度途中に確保したときは、確保した月の翌月から加算を適用できます。後から人数が増えた場合は、開始月を1人分の月から始めるか全員がそろった月から始めるかを決めます。

この記事は、処遇改善等加算通知とFAQ(第4版)の整理です。個別の職員が要件を満たすかどうか、加算の開始月をいつにするかを判定するものではなく、計画書や報告書の作成を代行するものでもありません。

最終的な判断は、加算の認定を行う所轄の自治体に確認してください。

よくある質問

区分3の年度途中の動きについて、よく聞かれる4点です。

退職が決まっている職員を、区分3の対象にできますか。

FAQ No.69は、退職の予定が分かっていても、要件を満たす者であれば賃金改善の対象にできるとしています。ただし、研修の修了予定が立っていない場合は、年度内に研修を修了する予定の要件を満たさないため、基本的には対象にできません。

賃金改善をしたあとに、研修を修了しないまま退職した場合、加算は返還しますか。

FAQ No.69は、すでに賃金改善を行ったあとに退職し、年度内に研修を修了できなくなった場合、その職員に支払った分について返還を求めるなどの対応は必要ないとしています。

区分3-②の上限になる「最も低い額」に、園長以外の管理職の改善額は入りますか。

FAQ No.70は、入らないとしています。「最も低い額」は副主任保育士等の改善額のことで、園長以外の管理職への改善額は考慮しません。

年度途中に研修修了者を確保したら、加算はいつから使えますか。

通知の第2の3(1)の(注1)は、4月1日時点で研修修了者がいない施設が年度途中に確保したときは、要件を満たした日の属する月の翌月から適用できるとしています。FAQ No.71は、5月に1人、その後さらに増えた例で、1人分から始めるか、人数がそろってから全員分で始めるかを、施設が選べるとしています。

次に読む記事

区分3の研修修了見込みと人数は、別の記事でも整理しています。見込みの者の数え方は区分3の研修修了見込みの者の扱い、人数の確認は区分3の人数の確認、配分の上限は区分3の配分と月額の上限を読んでください。

自園の条件で試算する

認定を受けた人数A・Bを入力し、区分3の内訳を確認します。

結果には計算過程、使った告示・通知、確認日、そしてこの試算に含まれていない項目を必ず表示します。

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この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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