解説

東京都の保育所の非常口は2か所2方向:原則10m以上離す条件と耐震の要件

東京都の保育所設備・運営基準解説(令和5年9月21日版)にある、非常口の2か所2方向、避難路の2経路、原則10m以上の離隔、私道を通る場合の覚書、耐震性能の2つの要件を整理します。他の自治体の基準と取り違えないための確認先も示します。

この記事が答えること:東京都の保育所で、建物の避難と耐震について何を求められるか

東京都の保育所は、非常口を2か所2方向に設け、避難路は公道まで2経路以上を確保し、建物は新耐震の建物か、耐震診断で基準を満たした建物のどちらかである必要があります。

東京都福祉局の「東京都保育所設備・運営基準解説」(令和5年9月21日版)が、この3点を要綱の文言と解説で示しています。

賃貸の建物で保育所を開く計画では、面積や階数より先に、この避難と耐震の条件で候補から外れることがあります。

この記事は、東京都が公表している解説書の記載を整理するものです。個別の建物が基準に合うかの判断や、認可の可否は扱いません。図面を持って、東京都の保育支援課や区市の担当課に確認してください。

非常口は2か所2方向。建物全体と各保育室の両方に必要

非常口は、火災のときに入所児童が逃げやすい位置に、2か所2方向で設置する決まりです。

要綱は「入所児童の避難に有効な位置に2か所2方向設置されていること」と書いています。

解説は、一方の避難路で火災が起きても、もう一方が使えなくなるような配置を避けるためと説明しています。

非常口を2か所以上設ける対象(東京都の解説、確認日 2026-10-22)
建物の使い方2か所以上が必要な範囲
建物全体を保育所が専用する乳児室・ほふく室・保育室・遊戯室の各室と、建物
複合ビルの一部を保育所として使う各保育室等と、保育所の部分と、建物

非常口とは、保育所に設けられた出入り口を指すと解説に書かれています。

複合ビルの2階以上に入る場合の図では、非常口が1か所だけの配置や避難経路が重なる配置が不適、2方向に分かれる配置が適とされています。

避難路は公道まで2経路。非常口どうしも公道への避難位置も原則10m以上離す

避難路は、各保育室等から建物の外に出て公道まで退避できるものとし、2経路以上を確保します。経路の重複は認められません。

解説は、避難路の幅を1.5m以上確保することが望ましいとも書いています。

これは「望ましい」という書き方で、必須の数値としては書かれていません。

離隔の条件は2つあります。

1つは建物からの2か所の非常口どうし、もう1つは公道への2か所の最終的な避難位置どうしで、どちらも原則として10m以上離れている必要があります。

図で示された例では、公道への避難位置が10m以上離れていても、2か所の非常口が1か所に集中していると、利用の実態上は出口が1つの機能しか持たないため、安全な避難が確保されないとされています。

公道に出るまでに私道や隣地の通路を通るときは、覚書が要る

公道に出るまでの間に私道や隣地の通路を避難路とする場合は、保育所の児童が避難路として使うことについて、その私道などの所有者との覚書等を取り交わす必要があると解説に書かれています。私道などが保育所の敷地の所有者のものである場合は不要です。

物件の図面で、非常口から公道までの経路上の土地の所有者を確かめます。保育所の敷地の所有者以外の土地を通る場合は、覚書の取り交わしを賃貸借の契約と並行して進めます。

耐震は、新耐震の建物か、耐震診断で基準を満たした建物のどちらか

乳児室・ほふく室・保育室・遊戯室と医務室がある建物は、2つの要件のどちらかを満たす必要があります。

要綱の書き方は次のとおりです。

耐震性能の2つの要件(東京都の要綱、確認日 2026-10-22)
要件内容
ア建築基準法の新耐震基準(昭和56年6月1日施行)により建築された建物
イ国土交通省告示の方法で行った耐震診断で、鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造はIs値0.7以上かつq値1.0以上またはCTUSD値0.3以上、木造はIw値1.1以上と確認された建物

イに当たるときは、その事実を客観的に証明できる書類が必要です。

解説は、指定確認検査機関、一級建築士、二級建築士、登録住宅性能評価機関、地方公共団体のいずれかが、国土交通省告示の方法で耐震診断を行ったうえで発行する証明書を指すと説明しています。

二級建築士は、建築士法第3条に当たる建物を除くと書かれています。

東京都は、これまで独自の耐震化補助制度などで施設の耐震化を促してきた経緯と、東日本大震災以降の地震への備えへの関心を理由として、保育所に耐震性能を備えていることを要件にしていると解説に書いています。

物件を探す段階での確かめ方

  1. 建物の建築時期を確かめる

    まず、建築確認の時期が昭和56年6月1日以降か確かめます。それ以前の建物は、耐震診断の証明書があるかを貸主に尋ねます。

  2. 非常口と階段の位置を図面に書き込む

    保育所の部分から出られる非常口を拾い、2か所が別の方向にあるか、経路が重ならないかを図面で見ます。複合ビルでは、保育所の部分と建物の両方で数えます。

  3. 非常口どうし、公道への避難位置どうしの距離を測る

    どちらも原則10m以上かを図面で確かめます。2か所の非常口が近くに集まっていないかも見ます。

  4. 公道までの経路上の土地の所有者を確かめる

    私道や隣地を通るときは、所有者に覚書の可否を早めに尋ねます。

  5. 図面を持って、窓口に事前に相談する

    原則や望ましいという書き方の部分は、窓口の判断が入ります。図面を見せて、10mの数え方などを確かめ、回答を日付つきで控えます。

この解説書は東京都の基準を扱っています。保育所は、都の基準のほか、区市町村の条例で定める基準にも従って運営する、と解説書の冒頭に書かれています。他の道府県や市では別の定めがあるため、東京都の数字をそのまま使わないでください。

よくある質問

非常口が1か所しかない建物でも、保育所にできますか。

東京都の要綱は、非常口を2か所2方向に設けることを求めています。解説の図でも、非常口が1か所だけの配置は不適とされています。個別の建物の可否は、窓口に図面を見せて確かめてください。

10m以上離すのは、非常口どうしだけですか。

違います。建物からの2か所の非常口どうしと、公道への2か所の最終的な避難位置どうしの、両方が原則10m以上とされています。

避難路の幅は1.5m以上が必須ですか。

解説は「確保することが望ましい」と書いており、必須とは書いていません。必須かどうかは窓口に確かめてください。

昭和56年より前に建った建物は使えませんか。

耐震診断の結果が要綱のイの基準を満たし、証明書を用意できれば、要件を満たす道があります。診断の方法と書類の様式は、解説の記載のほか窓口で確かめてください。

この試算で、避難や耐震の基準を満たすか判定できますか。

判定できません。この試算は公定価格のモデル計算で、設備基準の適合や認可の可否は扱いません。

建物の条件を確かめたうえで、公定価格を試算する

市町村に確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。避難や耐震の基準の適合は試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

次に知りたいこと:保育室等を2階以上に設ける場合の要件、非常用の照明装置が必要な部屋、保育室等の面積の数え方

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この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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