解説

保育所の非常用の照明装置:保育室・廊下・階段が対象になる条文と、除外される居室(建築基準法)

保育所は建築基準法の特殊建築物に当たり、保育室などの居室と、そこから地上に通じる廊下・階段に非常用の照明装置が必要になります。除外される居室、床面で1ルクス以上という構造の基準、排煙設備との違いを条文で整理します。

保育所は特殊建築物の用途に入り、非常用の照明装置の規定がかかる

保育所は、建築基準法の別表第一(い)欄(二)項に類する用途として、特殊建築物に当たります。

施行令第115条の3第1号は、(二)項の用途に類するものに児童福祉施設等を挙げています。保育所は、児童福祉施設の一つとして、この児童福祉施設等に含まれます(保育所の保育室は施行令第19条第2項第1号にも明記されています)。

法第35条は、別表第一(い)欄(一)項から(四)項までの特殊建築物について、避難施設・消火設備・排煙設備・非常用の照明装置などの技術的基準を政令で定めるとしています。非常用の照明装置の具体的な基準は、施行令第126条の4と第126条の5にあります。

ここでの整理は条文の案内で、自園への設置義務の判定ではありません

用途・階数・面積・間仕切りの状況で、対象の範囲と除外の当てはめが変わります。個別の要否と器具の仕様は、設計者が確認し、建築主事または指定確認検査機関が審査します。

対象は居室と、居室から地上に通じる廊下・階段などの通路

施行令第126条の4は、特殊建築物の居室と、そこから地上に通じる通路に、非常用の照明装置を設けるよう求めています。

条文の対象は、別表第一(い)欄(一)項から(四)項までの特殊建築物の居室のほか、階数が3以上で延べ面積が500平方メートルを超える建築物の居室、窓などの開口部がない居室、延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物の居室です。

これらの居室から地上に通じる廊下・階段その他の通路と、照明装置の設置を通常要する部分にも設置が必要です。ただし、採光上有効に直接外気に開放された通路は除かれています。保育所の場合、保育室・遊戯室・乳児室などの居室に加え、そこから出る廊下と階段が、設計で確認する範囲になります。

保育所は特殊建築物の居室として対象になり得るため、条文の読み方では、延べ面積が小さい園でも「面積が小さいから対象外」とは言えません。面積の条件は、特殊建築物以外の建築物に向けた条件です。

除外されるのは、一戸建の住宅・病室・学校等・避難上支障がない居室など

第126条の4には、設置を要しない居室の一覧があります。

一戸建の住宅・長屋・共同住宅の住戸、病院の病室・下宿の宿泊室・寄宿舎の寝室などに類する居室、学校等、そして避難階か避難階の直上階・直下階の居室で避難上支障がないものなどとして国土交通大臣が定めるものです。

ここでいう「学校等」は、学校(幼保連携型認定こども園を除く)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場で、保育所は入っていません。保育所が除外を受けるとすれば、避難階などの居室に関する国土交通大臣の定めに当たる場合です。

避難階の居室だから除外、と決めつけない

除外は、避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める内容に合う居室に限られます。1階の保育室でも、通路の条件や避難経路によって扱いが変わります。

告示の条件を設計者に当てはめてもらい、確認申請の窓口で扱いを確かめます。

器具の仕様は、床面で1ルクス以上、予備電源つきの直接照明

設置する非常用の照明装置は、床面で1ルクス以上の照度を確保できる直接照明で、予備電源を持つ構造にします。

施行令第126条の5第1号が定める構造です。照明器具は、火災で温度が上がっても光度が著しく落ちないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用います。

同条第2号には別の道もあります。停電時に自動で点灯し、避難するまでの間、室内の温度が上昇しても床面で1ルクス以上の照度を確保できるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものです。器具の選定は設計者と施工業者の仕事で、保育所の側は、避難経路のどこに付くかを図面で把握しておきます。

条文と設備の対応表と、混同しやすい誘導灯・排煙設備

非常用の照明装置は建築基準法、誘導灯は消防法の設備で、確認先が違います。排煙設備も建築基準法の別の条文です。名前が似ているため、下の表で区別します。

非常用の照明装置と、似た名前の設備の違い(確認日 2026-10-21)
設備根拠役割ひとこと
非常用の照明装置建築基準法施行令第126条の4・第126条の5停電時に居室・通路の床面を照らす建築基準法の規定。建築確認で見る
誘導灯消防法施行令第26条避難口と避難の方向を示す消防法の規定。消防署で確認する
排煙設備建築基準法施行令第126条の2火災の煙を排出する特殊建築物で延べ面積500㎡超などが対象。区画による除外あり

誘導灯は消防法の設備で、保育所の設置基準は『保育所の消防用設備の設置基準(消火器・自動火災報知設備・誘導灯・スプリンクラー)』にあります。非常用の照明装置と誘導灯は、法律も確認先も違います。

排煙設備の条文(第126条の2)には、(二)項の用途の特殊建築物のうち、準耐火構造の床・壁や防火設備で区画された床面積100㎡以内の部分を対象外とする定めがあります。表は条文の骨格を並べたもので、除外や緩和の条件は設計者が確認します。

よくある質問

小さな保育園でも、非常用の照明装置は必要ですか。

特殊建築物の居室は、面積の条件なしに対象に挙げられています。保育所は児童福祉施設等として特殊建築物の用途に類するもので、条文の読み方では、小さな園も確認の対象です。除外に当たるかは、設計者と建築主事に確認します。

停電しても点く防犯灯や懐中電灯で代わりになりますか。

施行令第126条の5が、床面で1ルクス以上、予備電源つきなどの構造を求めています。この構造の基準に合う器具が必要で、一般の照明や懐中電灯は条文上の代わりに位置づけられていません。

改修で保育所に転用するときも対象ですか。

用途を変えて保育所にする場合は、建築確認が必要になるかを含め、建築主事に早い段階で確認します。施行令第126条の4は居室の用途で対象を決めるため、転用後の用途で判断されます。

器具の費用は公定価格の試算に入りますか。

試算結果には含まれません。設備の設置費用は、施設整備の補助など別の仕組みで確認します。

次に知りたいこと:消防用設備、防火管理、2階以上の建物要件

消防法の設備は『保育所の消防用設備の設置基準(消火器・自動火災報知設備・誘導灯・スプリンクラー)』、防火管理者と訓練は『保育所の防火管理者の選任と消防計画・訓練』、保育室を2階以上に置く場合の建物の要件は『保育室等を2階・3階以上に設ける保育所の建物要件(耐火・避難階段)』で整理しています。窓の基準は『保育所の保育室の窓の大きさ:採光は床面積の5分の1以上、換気は20分の1以上(建築基準法)』です。

確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。非常用の照明装置の設置・更新の費用は、試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」2件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

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