解説

保育室・ほふく室の面積の数え方:内法・有効面積・収納の扱いを3市で比較

保育室・乳児室・ほふく室の面積は、図面の室面積そのままではなく、内法から収納や固定の造作物を除いた有効面積で数える自治体があります。東京都・札幌市・広島市の手引きの書き方を並べ、図面から人数の目安を出すときの手順を整理します。

この記事が答えること:保育室等の面積を、どの面積で数えるか

保育室等の面積は、図面の室面積ではなく、内法から収納や固定の造作物を除いた有効面積で数える自治体があります。

東京都・札幌市・広島市の手引きは、いずれも内法を出発点にして、棚などを置く部分を除くと書いています。ただし広島市の記載は保育室のみが対象です。

この記事は、その書き方を並べて、図面から人数の目安を出す手順を示します。

この記事は、自治体が公表している手引きの記載を整理するものです。個別の園の面積が基準に合うかの判断や、認可の可否は扱いません。所轄の自治体の担当課に確認してください。

国の省令は、面積を一人あたりで定めるだけで、測り方は書いていない

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第32条は、面積を子ども一人につきの数字で定めています。

乳児室は1.65平方メートル以上、ほふく室は3.3平方メートル以上、保育室または遊戯室は1.98平方メートル以上です。

第32条の文言には、内法で測るのか、収納を除くのかといった測り方は書かれていません。

測り方は、都道府県や市が公表する手引きや要綱に書かれています。

実際に適用される基準は条例にあるため、数え方の確認先も所轄の自治体になります。条例と国の省令の関係は『保育所の面積基準と利用定員を決める順序』で整理しています。

東京都・札幌市・広島市の手引きは、内法から収納などを除いた有効面積で数える

保育室等の面積の数え方(各自治体の手引きの記載、確認日 2026-10-18)
比べる点東京都札幌市広島市
面積の呼び方保育に有効な面積有効面積有効面積(必要保育面積の算出に使う)
出発点部屋の内法面積から、保育に有効でない面積を除いた面積内法から、棚等を除いた面積内法面積から、造付け・固定造作物を除いた面積
除く例ロッカーや棚、本棚等の常設のもの。常時保育室等に置くピアノやオルガン等棚等(具体的な例の列挙は確認した表にはない)押入れ、ロッカー、こども用荷物収納棚などの収納スペース、手洗い器
吊り棚の扱い床から180cm以上の高さに取り付けたものは含められる高さの基準は確認した表にはない床上140cmの空間を確保したものは、除く対象にしない

3自治体とも、内法を出発点にしています。

東京都の解説は、有効面積を有効に保育を実施できる面積と説明しています。建具や固定式家具を置く箇所は含められません。

一方で、食事の机と椅子、遊びの時間の遊具、乳児室のベビーベッドは含められる例として挙げています。

別の自治体の数え方を、そのまま自園に当てはめない

吊り棚の高さの目安は、東京都が180cm、広島市が140cmと違います。この表は3自治体の手引きの記載であり、全国共通の取扱いではありません。

施設の所在地を所管する自治体の手引きで、有効面積の定義と除く物の例を確かめます。手引きの名称と版、確認日を控えておきます。

建築基準法上の面積と、保育の基準面積は別に数える

広島市の別紙は、建築基準法上の基準になる面積を壁芯で算出すると別に書いています。

採光面積の基礎になる床面積などがこれに当たります。

同じ部屋でも、建築の確認で使う面積と、保育の必要面積に使う有効面積は、測り方が違う場合があります。

広島市の別紙は、必要保育面積を保育室のみに適用するとも書いています。

面積の数え方の規定が、どの部屋に適用されるかも手引きごとに確かめます。

図面から人数の目安を出す手順

  1. 所轄の自治体の手引きで、有効面積の定義を確かめる

    まず、内法か壁芯か、何を除くかを手引きで確かめます。定義が見つからないときは、認可の担当課に問い合わせて、回答を日付つきで控えます。

  2. 部屋ごとに、図面の内法面積を拾う

    乳児室・ほふく室・保育室または遊戯室を分けて、内法の面積を控えます。どの部屋に有効面積の規定が適用されるかも手引きで確かめます。建築確認で使う壁芯の面積と取り違えないようにします。

  3. 収納や固定の造作物の面積を引く

    ロッカー、棚、押入れなど、手引きが除くと書いている物の置き場所を図面から拾って引きます。吊り棚や可動の家具は、手引きの例に当てはめて個別に判断します。

  4. 一人あたりの基準面積で割って、人数の目安を出す

    この人数は検討の目安で、認可や確認で認められる定員そのものではありません。条例の基準面積を使い、利用定員は市町村に確認した人数を試算に入れます。

東京都の要綱では、調理室と便所は保育室等とは別の行で『定員に見合う面積、設備を有すること』と定められています。保育室等の面積に何を含めるかの個別の判断は、所轄の自治体に確認します。

よくある質問

保育室の面積は、内法と壁芯のどちらで数えますか。

確認した東京都・札幌市・広島市の手引きは、保育の基準面積について内法を出発点にしています。広島市の記載は保育室のみが対象で、乳児室・ほふく室の記載は確認していません。国の省令に測り方の定めは確認できなかったため、所轄の自治体の手引きで確かめてください。

ロッカーや棚の面積は、保育室の面積に含められますか。

東京都は常設のロッカーや棚、本棚を含められないとし、広島市も収納スペースを除くとしています。札幌市も棚等を除いた面積で確保するよう書いています。

吊り棚は面積から除きますか。

東京都は床から180cm以上の高さに取り付けたものを含められるとし、広島市は床上140cmの空間を確保したものは除く対象にしないとしています。高さの目安は自治体で違います。

この試算で、面積基準を満たすか判定できますか。

判定できません。この試算は公定価格のモデル計算で、設備基準の適合や認可の可否は扱いません。

確認された利用定員で公定価格を試算する

市町村に確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。面積基準の適合や定員の可否は試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

次に知りたいこと:第32条が求める部屋の一覧と被服室の扱い、保育室等を2階以上に設ける場合の要件、屋外遊戯場に代わるべき場所

ほかの記事の確認事項・よくある質問の一覧

  • 試算前の確認事項の一覧

    この記事の「つまずきやすい確認事項」1件を、ほかの記事の確認事項と対処とあわせて見られます。

この記事が参照した一次資料

ほかの解説

「定員・在籍・利用開始の時期が変わるとき」の解説一覧へ