解説

東京都の保育所の避難訓練・消火訓練:毎月1回、避難先は屋外が基本、人手が薄い時間帯を想定する

東京都の保育所設備・運営基準解説(令和5年9月21日版)が示す、避難訓練・消火訓練の毎月1回の実施、避難先を屋外(地上)とする訓練、早朝・夜間・午睡の時間帯の想定、消防署や近隣住民との連携、待避スペースや排煙設備がある場合の訓練、災害への備え(消防計画・引き渡し場所・統括防火管理者)を整理します。

この記事が答えること:東京都の解説が訓練に求める内容

東京都の解説は、避難訓練と消火訓練を月1回以上実施し、保育士の数や保育室等の設置階を踏まえた実用性の高い訓練にすることを求めています。

東京都福祉局の「東京都保育所設備・運営基準解説」(令和5年9月21日版)は、「第3 職員の配置・運営の基準 4 非常災害対策」で、条例・施行規則と、国通知の抜粋を載せています。

この記事では、毎月の訓練の計画に入れる想定と連携先を、解説の書き方に沿って整理します。

この記事は、東京都が公表している解説書の記載を整理するものです。個別の施設の防火管理や訓練の適合は判断しません。東京都の取扱いなので、他の自治体は各自治体の手引きで確かめてください。

回数と基本:少なくとも毎月1回、避難先は屋外(地上)

条例第20条は、消火器等の消火用具、非常口その他の設備を設け、非常災害に対する具体的な計画を策定し、訓練をするよう努めなければならないと定めています。

そのうち避難訓練と消火訓練は、条例第20条第2項と施行規則第5条により、少なくとも毎月1回の実施が義務です。

解説は、実際に火災や地震等が発生した場合を想定し、保育士の数や保育室等の設置階を踏まえた、実用性の高い訓練にすると書いています。

また、避難訓練は、避難先を屋外(地上)とする訓練を基本とするとされています。

解説は、国通知の「保育室等を高層階に設置するにあたって事前に検討すべき事項」で示された災害への備えと避難訓練のあり方について、保育室等の設置階に関わらず、通知の内容に留意するよう求めています。高層階に限った話ではない、という書き方です。

災害への備え:消防計画、引き渡し場所、統括防火管理者

解説が載せる国通知の抜粋は、備えとして、消防計画の策定・消防署への届出、最終避難場所と保護者への引き渡し場所の事前決定、建物全体の防火管理体制への参加を挙げています。

災害への備え(解説が載せる国通知の抜粋、確認日 2026-10-22)
項目書かれている内容
消防計画とマニュアル消防計画を策定して消防署に届け出る。避難・消火訓練の実施、職員の役割分担の確認、緊急時の対応等のマニュアルを作成して周知する
最終避難場所と引き渡し場所災害時は通常と異なる経路を使う可能性があるため、最終避難場所と保護者への引き渡し場所をあらかじめ決め、保護者に周知する
訓練の回数避難・消火訓練は、少なくとも毎月1回行う(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準)。自治体の条例に基づき定期的に確実に実施する
統括防火管理者平成26年4月1日から、保育所が入居する3階以上の建物で、管理の権原が分かれているもののうち建物全体の収容人員が30名以上となるものは、統括防火管理者の選任・届出や建物全体の消防計画の作成が義務になった。保育所は、建物全体の防火管理体制の構築に積極的に参加する

訓練の計画に入れる想定と連携先

解説が載せる国通知の抜粋は、人員体制が手薄な時間帯や、避難に時間がかかる場合を想定して訓練を行うことを求めています。

表は、抜粋の「避難訓練の実施」の6項目を、訓練の計画に入れる内容として並べたものです。

避難訓練の実施(解説が載せる国通知の抜粋、確認日 2026-10-22)
項目書かれている内容
想定する時間帯と避難時間実際の保育士の人数や設置階を踏まえる。早朝、夜間、お昼寝の時間など、人員が手薄で避難に時間がかかる時間帯の発生も想定する。クラス別に保育士等が介助し、避難中の人数確認も必要なため、避難時間が長くなることに留意する
避難のルートと連携先園児と保育士等が実際に避難に使うルートで行う。消防署、近隣の地域住民、同じビルの他の入居者、家庭と連携した訓練も行う
避難経路乳幼児が慣れている日常動線による避難が望ましい。非常用階段も日頃の訓練で慣れておく。高層階で非常用エレベーターがある場合は、消防隊の救助を考慮に入れた避難計画の検討も考えられる
外部の救助を待つスペース待避を想定した避難・消火訓練をしておく。乳幼児が安全に待避できるように日頃から管理する
排煙設備などの設備階段室に排煙設備を設置する場合は、訓練の際に排煙設備を動かし、非常時に使う設備や器具が有効に機能するか日頃の訓練で確かめる
階段室の手前での滞留階段室の手前で乳幼児が滞留しないよう円滑に避難できるようにする。例として、年齢の高い乳幼児から避難させるなど、避難の順番を工夫することが考えられる

解説は、円滑な避難のためには、近隣の地域住民や同じビルの他の入居者と、乳幼児が日頃から顔見知りになっておくことも重要だと書いています。

毎月の訓練を、同じ時間帯・同じ想定だけで繰り返さない

抜粋は、人員が手薄な時間帯や避難に時間がかかる場合を想定した訓練、実際に使うルートでの訓練を求めています。外部の救助を待つスペースがある場合はその待避の訓練、階段室に排煙設備がある場合はその作動の確認も求めています。毎回、日中の通常の人員体制だけで行うと、これらの想定が抜けます。

年間の訓練計画に、月ごとの想定(時間帯、人員、使うルート、待避スペースや排煙設備がある場合はその訓練)を書き出し、抜けている想定がないか確かめます。

年間の訓練計画を確かめる順番

先に毎月1回の枠を確保し、次に月ごとの想定と連携先を割り振る順番で確かめます。

以下の順番は、この記事の確認の並べ方で、解説に順番の指定はありません。

  1. 毎月の実施日を確保する

    避難訓練と消火訓練を、少なくとも毎月1回、年間の行事計画に入れます。

  2. 備えの書類を確かめる

    消防計画の消防署への届出、マニュアル、最終避難場所と引き渡し場所の保護者への周知を確かめます。

  3. 月ごとの想定を割り振る

    早朝・夜間・午睡の時間帯、人員が手薄な体制、実際に使うルートを、月ごとに割り振ります。

  4. 連携先と設備を入れる

    消防署、近隣住民、同じビルの入居者、家庭との連携を、どの月に行うかを決めます。外部の救助を待つスペースや階段室の排煙設備がある場合は、その訓練と確認の月も決めます。

  5. 入居する建物の防火管理を確かめる

    3階以上の建物で管理の権原が分かれ、建物全体の収容人員が30名以上になる場合は、統括防火管理者の選任の要否を建物の管理者と消防署に確かめます。

よくある質問

避難訓練と消火訓練は、どちらも毎月必要ですか。

条例第20条第2項と施行規則第5条は、避難訓練と消火訓練を少なくとも毎月1回実施しなければならないと定めています。

訓練は、屋内の避難経路の確認だけでもよいですか。

解説は、避難訓練は避難先を屋外(地上)とする訓練を基本とすると書いています。

保育室が低い階にあれば、高層階向けの国通知は関係ありませんか。

解説は、保育室等の設置階に関わらず、国通知の内容に留意した災害への備えと避難訓練を実施するよう求めています。

この試算で、訓練や防火管理の適合を判定できますか。

判定できません。この試算は公定価格のモデル計算で、訓練の実施状況や防火管理の適合は扱いません。

訓練の条件を確かめたうえで、公定価格を試算する

市町村に確認した利用定員と、所在地、年齢別の園児数を入力します。避難訓練や防火管理の適合は試算結果に含まれません。

利用定員を入れて公定価格を試算する

次に知りたいこと:非常災害対策と毎月の訓練の根拠、東京都の2階以上の設置と待避スペース、東京都の非常口2方向と耐震性能

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